映画「四十七人の刺客」(1994)を見る。30年の時を経て初見。2024年の映画鑑賞第1号。 | fpdの映画スクラップ帖(名作に進路を取れ!)2号館

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四十七人の刺客(しかく)」(1994)を見る。最近「忠臣蔵(ちゅしんぐら)」という言葉もあまり聞かないが、かつては、年末になるとテレビで放送されたり劇場で公開されたりというの年末恒例行事だった。

 

従来の「忠臣蔵」と異なり、討ち入りを「情報戦」「経済戦」「暗殺」という視点で描いた意欲作。池宮彰一郎のベストセラー小説を市川崑監督が映像化した。主要人物数人を除き登場人物の名前や役職などの読み方などを覚えるのに苦労する(笑)。

 

久々の時代劇出演となる高倉健が貫禄たっぷりに大石内蔵助を演じている。共演は中井貴一西村晃森繁久彌浅丘ルリ子宮沢りえ黒木瞳石坂浩二岩城滉一、宇崎竜童、松村達雄、井川比佐志、山本學神山繁石橋蓮司ほか。

 

 

宮沢りえは、この映画の2年前に写真集「Santa Fe」(篠山紀信撮影)を出したばかりで、撮影当時は20歳と初々しい。中井貴一は色部又四郎をシリアスに演じている。

 

 

この映画では、大石内蔵助色部又四郎との間の虚々実々の頭脳戦が繰り広げられるところが要となっている。

色部が籠で移動中を狙って大石が「顔を見知りおきたい」と1対1で会う機会があったが、後に大石が吉良を攻めてきたことを知った色部は「あの時に仕留めておけば…」と後悔する場面がある。

 

それにしても大石ら四十七人が攻め入った吉良の住居は要塞のような構造。迷路のほか、落とし穴や部屋の一角が封鎖され閉じ込められるような構造であったり、堀が深く水でおおわれていたり厳重な造りになっている。

 

赤穂藩の大石らは、正面がダメなら空からということで、雪の残った屋根に上り、屋根を壊して侵入するのだった。このあたりはダイナミックでスリリングでもある。

 

大石内蔵助が吉良を追い詰め、吉良が言い訳、命乞いをするも、容赦なく殺し、首まで斬り落とす徹底ぶりがすさまじい。

 

・・・
(ストーリー)
元禄14年、江戸城内での殺傷の罪で浅野内匠頭(あさの たくみのかみ、橋爪淳)は切腹し、お家を断絶。忠臣・大石内蔵助(おおいしくらのすけ、高倉健)は、主君の仇である吉良上野介(きらこうずけのすけ、西村晃)の暗殺計画を立てる。

 

その陰謀に気づいた大石側の司令塔・色部又四郎(いろべまたしろう、中井貴一)は、食い止めるべく暗躍する。

播州赤穂藩筆頭家老・大石内蔵助高倉健)と上杉藩江戸家老・色部(いろべ)又四郎の戦いは、元禄14年3月14日江戸城柳の間にて赤穂城浅野内匠頭が勅使饗応役(ちょくしきょうおうやく)高家吉良上野介に対し刃傷に及んだ事件から始まった(注:饗応役は今でいう接待役)。

 

内匠頭は即刻切腹赤穂藩は取り潰し、吉良はお咎めなしという当時の喧嘩両成敗を無視した一方的な裁断は、家名と権勢を守ろうとする色部と時の宰相・柳沢吉保(やなぎさわよしやす、石坂浩二)の策略だった。

 

赤穂藩は騒然となり、「篭城か開城か」で揺れるが、大石は既に吉良を討ちその家を潰し、上杉、柳沢の面目を叩き潰す志を抱き、早速反撃を開始した。

 

事件発生後直ぐに塩相場を操作し膨大な討ち入り資金を作った大石は、その資金をばらまき江戸市中に吉良賄賂説を流布させ、庶民の反吉良感情を煽った。

 

また赤穂浪士の討ち入りの噂を流して吉良邸付近の諸大名を震え上がらせ、討ち入りに困難な江戸城御府内にある吉良邸を外に移転させるなどの情報戦を駆使した。

 

思わぬ大石の攻勢にたじろいだ色部も、吉良を隠居させる一方、仕官斡旋を武器に赤穂浪人の切り崩しを図り、討ち入りに備えて迷路や落とし穴などを完備した要塞と呼ぶべき吉良屋敷を建てさせるなど、反撃を開始する。

 

京都・鞍馬で入念な準備に忙殺される大石はその傍ら、一文字屋の娘・かる(宮沢りえ)との恋を知る。かるはいつしか大石の子を身籠もった。

追い詰められた上杉家は最後の策として吉良を米沢に隠居させようとする。その惜別の会が開かれた12月14日、運命の日。

雪も降り止み誰もが寝静まった子(ね)の刻(夜中の0時)、大石以下47名が集まり、要塞化した吉良邸にいよいよ突入した。迷路を越え、上杉勢百数十名との壮絶なる死闘の末、遂に大石は吉良を捕らえる。

 

追い詰められた吉良は大石に、浅野の刃傷の本当の理由を知りたくはないか、と助命を請う。だが大石は「知りとうない」と答え、吉良を討つ。吉良の死に重なるように、かるの腹から新しい生命が生まれた。

 

・・・
従来の忠臣蔵を、現代的な情報戦・経済戦争という視点で実証的に描いた映画誕生100年記念作品でもあった。

 

<第18回日本アカデミー賞
最優秀助演男優賞中井貴一
最優秀美術賞(村木与四郎)
最優秀録音賞(斉藤禎一・大橋鉄矢)
最優秀編集賞(長田千鶴子)
優秀作品賞
優秀監督賞(市川崑
優秀脚本賞池上金男竹山洋市川崑
優秀主演男優賞(高倉健
優秀音楽賞(谷川賢作
優秀撮影賞(五十畑幸勇)
優秀照明賞(下村一夫)

<出演者>
大石内蔵助 … 高倉健
色部又四郎 … 中井貴一
かる … 宮沢りえ
不破数右衛門 … 岩城滉一
堀部安兵衛 … 宇崎竜童
堀部弥兵衛 … 松村達雄
奥田孫太夫 … 井川比佐志
吉田忠左衛門 … 山本學
小野寺十内 … 神山繁
きよ(旧赤穂藩士の未亡人) … 黒木瞳
ほり … 清水美砂
瑤泉院 … 古手川祐子
瀬尾孫左衛門 … 石倉三郎
小林平八郎 … 石橋蓮司
山添新八 … 尾藤イサオ
浅野内匠頭 … 橋爪淳
大石主税 … 尾上丑之助
進藤源四郎 … 小林稔
天川屋儀兵衛 … 板東英二
原惣右衛門 … 中村敦夫
柳沢吉保 … 石坂浩二
りく … 浅丘ルリ子
千坂兵部 … 森繁久彌
一文字屋 … 佐藤B作
わか … 横山道代
大野九郎兵衛 … 小林昭二
土屋相模守 … 久保明
秋元但馬守 … 出光元
高田郡兵衛 … 今井雅之
神崎与五郎 … 塩屋俊
吉良上野介 … 西村晃
磯貝十郎左衛門 … 小林健
脇田主馬 … 井上博一
武林唯七 … 西村譲
潮田又之丞 … 山口真司
前原伊助 … 永妻晃
赤埴源蔵 … 保木本竜也
大高源五 … 渕野一生
富森助右衛門 … 川崎博司
早水勝左衛門 … 清末裕之
近松勘六 … 村山ひろし
片岡源五右衛門 … 田辺年秋
岡島八十右衛門 … 大土井裕二
杉野十平次 … 井上浩
奥野将監 … 原田力
萱野三平 … 大塚和彦
寺坂吉右衛門 … 小林一帥
岡野金右衛門 … 五十嵐裕一
新坂弥七郎 … 佐伯太輔
上杉家の侍 … 宇治川理斉
赤穂の侍 … 玉生祐輔、小林靖永、本田景久、川口洋一、末次真三郎、東健一郎、加藤明広、池田一視、中村美睦、岩本裕之、安保良雄
竹林の子供 … 池田将之、吉本修平、和田崇、古賀秀明
刺客 … 村上久勝、小田島隆、荻原紀、高市好行、山田公男 
空 … 河野由佳
ふう … 徳島更紗
吉千代 … 酒井寿
炊き出し … マキノ佐代子、小田聡、藤井映子、占野しげる
ナレーター … 梶原四郎

 

「DVD」にて鑑賞(DVDは四丁目コレクションより入手)

 

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