映画「失われた週末」(原題:The Lost Weekend、1945)ビリー・ワイルダー監督。 | fpdの映画スクラップ帖(名作に進路を取れ!)2号館

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失われた週末」(原題:The Lost Weekend、1945)は、ビリー・ワイルダー監督作品。作家を目指す重度のアルコール依存症の男の恐怖と苦悶を描いて、第18回(1945年)のアカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞(レイ・ミランド)、脚本賞と4部門を獲得した名作。ワイルダー作品に外れなしですね。

 

鋭い感覚を活かした独特の映像による心理描写、そして、テルミンを映画音楽において初めて使用したミクロス・ローザ(発音はミークロシュ・ロウジャーらしい。「ベン・ハー」「エル・シド」ほか)の音楽も観客に異常な緊張感を与え、スリリングでさえもある。

 

レイ・ミランドをリアルタイムで初めて見たのは「ある愛の詩」(1970)だった。主人公オリバー・バレット(ライアン・オニール)の厳格な父親役だった。

 

モノクロで、4:3のスタンダードサイズながら、レイ・ミランドはもちろんだが、女優のジェーン・ワイマンが素晴らしかった。ドンの兄が、なんとしても酒を断たせようとするのだが、ドンは、部屋の中のありとあらゆるところに酒を隠すがすべて発覚してしまう。ついには、照明電燈の上にまで隠すが…。

 

いったんアルコール依存症になると、なかなか抜けなくなる怖さをこの映画ではリアルに描いている。主人公の酒に対する禁断症状・執着心は”半端ない!”。

 

 

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最初にニューヨークの情景、カメラがパンするとアパートの窓にぶらさげた酒ビンをとらえ、中の住人を映し出す。

主人公ドン・バーナル(レイ・ミランド)は、33歳で売れない小説を書いているが、今やひどいアルコール中毒である。兄ウィク(フィリップ・テリー)と恋人のヘレン(ジェーン・ワイマン)が八方手を尽くすがどうにもならない。

今度の週末も兄ウィクは弟を旅行に連れ出して酒を忘れさせようとする。

 

しかし、兄とヘレンを音楽会へ送り出し、その間に酒を飲もうとするが、部屋にも一滴もない。掃除婦の給料を横取りして、なじみのナット(ハワード・ダ・シルヴァ)の酒場に行く。

 

ここから、酒を求めて彷徨う描写が始まるが、時々フラッシュバックでヘレンとの関係が示される。彼女は3年前に知り合って以来、彼の酒癖を直すため虚しい努力をしてきたのである。

 

再び現在に戻り、ドンは酒を買って家へ帰り小説を書き始めるが、酒が無くなると動きがとれない。持ち金は全て使い尽くし、近所のレストランへ行き、ふと隣の女のハンドバッグに手をかけるが、見つかって店から放り出される。

 

最後の手段で、命から二番目に大切なタイプライターを質に入れようとするが、ユダヤ人の祭日で休業。仕方なく顔見知りのウエイトレスのグロリア(ドリス・ドーリング)から5ドル借りるが、階段から転げ落ちて気絶してしまう。

気がつくとアルコール中毒専門の病棟であった。

 

強迫観念に襲われて逃げ出し、アパートへ帰るが、ここでも幻覚に襲われて苦しむ。そして遂に訪ねてきたヘレンのコートを質に入れピストルと取り替え自殺しようとする。しかし、ヘレンの愛に留められ、今度こそは更生しようと心に誓った(HPより)。

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アルコール中毒のドンは、オペラに行っても、演技をしている俳優たちがパーティでアルコールで乾杯しているシーンを見ると、禁断症状が出る始末。お金が無くなったら、知り合いから、5ドル、10ドルと借りようとする飲んだくれの最低男。

 

気を失ってアルコール依存症の人間が入る施設に入れられたドンは、病院と刑務所の中間のようなところで、幻覚症状におびえる多くの患者や、狂ったような姿を目の当たりにする。

 

病院の担当者がドンの家族にハガキで知らせたいというと「二度と来ないから連絡するな」というのだが・・・。

その担当は「いや、必ず戻ってくる」と自信を持って告げる。45回も戻ってきた依存症の人間もいるというのだ。

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恋人のヘレンは「(あなた=ドンは)3年間で、あなたが見えた(=ただの大酒のみだということが分かった)」と言いながらも、支え、健気に更生させようとするところがすごい。

 

そして、最後は、希望が見え始めてくる…というところで救いのある映画だった。

 

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