「人はどうして働くの」
親ならば、こどもに1度は聞かれたことのある質問ではないでしょうか?
過去を振り返っても、進路を決めるとき、就職活動中、仕事が辛い時や
退職するときなど、人生の節々で自問自答してきたテーマです。
先日、自分がモヤモヤと感じていたことをズバリ表現していた記事に出会いました。
内田樹の研究室
「人はどうして労働するのか」
http://blog.tatsuru.com/2009/12/16_1005.php
全文素晴らしいのですが、この中でも大好きなエピソードを引用します。
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私の大学の同僚の島﨑徹さんは少年の頃カナダに渡り、ダンスのレッスンを受けながら、
レストランで皿洗いのバイトをしていた。そのとき、島﨑少年は独創的な皿洗いシステムを思いついて、
それを提案して、受け容れられた。それから何十年か経って、世界的なダンサーになった後、
島﨑さんはかつて働いていたそのストランを訪れてみたことがあった。
ふと厨房を覗いてみると、人々は「島﨑システム」で皿を洗っていた。
佳話である。
このとき、島﨑さんにとって、皿洗いの経験は、その言葉の本来の意味において、
労働になったのだと私は思う。ある仕事が数十年経って、「労働になる」ということが
ありうるのである。その人がなしとげたことの意味は、仕事そのものではなく、
それが他者に何を贈ったかで決まるからである。
島崎さんは皿洗いを通じて見知らぬ人々に(効率的で気分のよい皿洗いシステム)
という「贈り物」をした。その「贈り物」を現に享受している人々がカナダの一隅に
現に存在している。その事実によって、少年時代の労働は(当時受け取った賃金の他に)
いくばくかの価値を加算されたのである。
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文末近くに、著者は
労働の目的は「人間の人間性を基礎づけること」である。
端的に言えば「大人になること」である。
より具体的に言えば「適切なしかたで贈与が行える人間になること」である。
と表現しています。
この文章、私の子どもたちが進路を考える時期にきたら
必ず読ませたいと思います。
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