借りても大丈夫? もう一つの判断基準とは?
さて、前回の続きです。
住宅購入時の確認事項として次の6項目が紹介されていました。
・物件価格は年収の5倍以内
・頭金の割合は20%以上
・年収に占める年間返済額の割合は20~25%
・完済時年齢は定年退職まで
・金利のタイプはリスクをとれない人は固定
・ボーナス返済の割合は3割まで
該当項目が多い人は物件が高過ぎるという訳です。
この6項目の内容が問題だと言いたいのではありません。
要は「住宅ローンをこの金額で借りても大丈夫?」かどうかには
上記の6項目とは全く角度の違うもうひとつの判断基準があることを知って下さいということです。
仮に6項目をすべてクリアしている人がいたとしても、もう一つの判断基準を無視しては借りて大丈夫といい切れません。
その、もう一つの判断基準とは「未来の収支を予測する」です。
今、安全圏にいたとしても将来家庭の状況が大きく変わったら、一気に資金繰りは悪化します。
逆に、6項目のほとんどをクリアできなかったとしても、将来の改善幅が大きければなんら心配はないということになります。
具体的にはこうです。
・収入が減少した。
・ボーナスが減った。
・妻が仕事をやめた。
・教育資金を準備していなかった。
・子供の数が増えた。
・車のローンが加わった。
・病気になった。
・生活水準が上がった。
他にも例をあげればきりがありません。
では、どうやってこれを予測し、返済が困難な事態になることをいかに避けるか?
それは、未来の家計を予測し、生涯を通じて返済不能になることがないかどうかあらかじめ計画を立てる事で可能になります。
これを、ライフプランニングもしくは未来家計簿を作成するといいます。
そんなの無理だよという声が聞こえてきそうですね。予測なんてしたって実際どうなるかはわからないって。
確かに、将来起こるすべてのことを言い当てることは私たちにはできません。しかし、予測を立てずに行動するのと、予測をたてて起こりうる事態に備えて行動するのでは、大きな差があります。
ちょうど企業が中長期計画を立てて運営されるようなものです。中にはドンブリ勘定でもなんとかやっている企業もあるでしょう。家計でも今までの時代はそれで良かったかも知れません。
しかし、これからの時代はそんな悠長な事は言っていられません。時代は既に大きく変わったのです。誤解を恐れずに言えば、これまではなんとなく過ごしていても給与は右肩上がりに増え、定年まできちんと勤めあげれば、退職金や公的年金でそれなりの暮らしができた。
しかし、今は違います!家計にも中長期計画の考え方を導入すべき時代が来たのです。無計画にやっていて後から気付いても遅いのです。
だから、現状分析や統計だけで判断してはダメなんです。銀行にはコストや経験則といった観点から大数の法則により融資判断をしています。つまり、一定の割合で破たんすることを見込んでいるのです。
ビジネスとしては効率的かも知れませんが、借り手にとってはたまったものではありません。銀行が貸してくれたから大丈夫なのだろうという誤解をしてしまうくらいなら、はっきりダメですと言ってくれる方がマシというものです。
でも銀行は将来のことについては一切聞いてきません。将来の事は自分で身を守るしかないんです。既に返済が困難に陥っている人は、もっと早く知りたかったと思えるでしょう。
しかし、私たちは自らの知恵で将来起こりうるリスクの匂いを嗅ぎ分けて事前に対処しなくてはなりません。甘えてはいられないのです。
残念ながら、低成長、少子高齢化に代表される経済問題について真剣に考えて来なかった政府は適齢期の私達に適切な教育をしてきませんでした。
しかし、この大きな問題は私達の足元に既に忍び寄ってきています。そして多くの人がそれを薄々は感じながらも、どうしていいのかわからず諦めムードになっているのではないでしょうか。どうせ年金なんかもらえないでしょといった具合に。
でも、それでいいのでしょうか。適切な対応をすれば豊かな暮らしを確保できる方法があるというのに、はじめから諦めるなんて。
確かに30年先を見通せというのはあまりにも酷かも知れません。しかし、住宅ローンで破たんしている人は借りてからわずか数年もしくは10数年でそういう事態に陥っているのです。
でも、先人の知恵や有識者のアドバイスがあれば何も鼻っから諦めることなんかないんです。ただ方法を知らないだけなんです。ほんのちょっとした知識を授かるだけで人生が大きく変わるとしたら、これは経済問題ではなくて教育問題かも知れません。
しかし、残念ながら既にそこまでわかっているのに、国も学校も企業も本腰を入れて私たちが遭遇するであろう困難について教えようという姿勢が全く感じられません。
私は、この事態を心底憂慮しています。もはやお上が動くのを待っていてはダメだ、私達の中で気づいた有志が一人でも多くの人にこの事態について理解してもらい、一日も早く対処してもらうよう働きかけなければいけないんだと思い至るようになりました。
私がFPという仕事を始めた時にそこまで考えていた訳ではありません。仕事をしていくうちに、事態の深刻さとそこに気付いていない人がたくさんいることがわかってきたのです。
さらに、ちょっとした知識さえあれば乗り切れる方法もわかってきました。特に住宅については家計に与えるインパクトが大きい。また、逆にちょっと立ち止まって考えてくれるチャンスでもあります。
日本人すべての人にこれを伝えていくのは難しいかも知れない。でもせめて住宅ローンを目の前にしている方からこの話を伝えていきたい。そんな想いで今住宅ローンという一つのテーマを通じて豊かな暮らしの実現サポートに取り組んでいます。
対照的な記事が並んでいるのを目にして、長々と書いてしまいました。最後までお読み頂き本当にありがとうございました。
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