最初に。

 最も簡単な方式の遺言書は,遺言者が自ら自署で作成する自筆証書遺言です。
 遺言者が,適当な用紙を用意して,消えないインクを利用したペンなどを利用して,自署により作成するものです。
 遺言者本人の自署で作成できるので,非常に簡易な方法で作成される遺言ですが,法律に記載された記載事項や方式を守らないと無効となるので,自筆証書遺言の書き方をきちんと頭に入れ,慎重に作成する必要があります。
 用意するものは,便せん等の用紙,ペン(消えないもの),封筒,印鑑。
 

要点1 自署(じしょ)


自筆遺言は,全て遺言者本人が,自筆(手書き)で記載する必要があります。ワープロや他人による代筆は無効です。

 
要点2 日付けは正確に書く


 遺言書を作成した正確な日付を書いてください。日付けの記載が不適当で遺言全体が無効になる例はたくさんあります。

 日付けは西暦,和暦でもかまいません。
   ※ 正しい日付けの記載方法

     2010年1月5日(西暦)
     平成20年3月6日(和暦)

   ※ 有効な遺言にならない日付けの例
     平成16年8月
   平成16年8月大安
     平成16年9月吉日

 また,遺言者が死亡した日以後の日付,昭和70年などあり得ない日付けは,無効となります。ですから,日付けが間違っていないかはきちんと確認しましょう。
 ※日付けとして「○○年の誕生日」というのは書いた日がはっきり特定できるので有効であるとする裁判例がありますが,裁判で争われているとおり,遺言の関係者に有効性の疑義を生じさせますのでやめましょう。
 
要点3 氏名を自筆で記載(自署する)

戸籍上の姓名をしっかり記載してください。
 なお,住所も一緒に記載すると誰が書いたかの特定に役立ちます。
※ 使用する漢字は,戸籍上の正確な漢字でなく,簡略化された漢字でかまいません。例 「澤」→「沢」
※ 氏名は,通称名でもいいとされていますが,わざわざ紛争の種を蒔くことはありません。 


要点4 押印する。印鑑を押す。

 署名のすぐ下や,横書きの場合,署名のすぐ右に印鑑を押します。
 印鑑は実印である必要はありません。印鑑は認め印でもかまいません。また,印鑑登録証明書も添付する必要はありません。しかし,実印と印鑑証明書があれば,遺言を開封した人がすぐに信用できる遺言書だと分かるので遺言執行の迅速化に役立ちますから,実印使用,印鑑登録証明書添付をおすすめします。
押印には朱肉を使って下さい。 
 
要点5 訂正・変更はしっかりしましょう

 訂正方法は誤ると遺言が無効となります。訂正方法は次の通りです。
  1 間違え方書を二重線で抹消し,その脇,上などに正しい文字を加えます。
  2 訂正した箇所に,署名をしたのと同じ印鑑で訂正印を押します。
  3 遺言書の余白に,どの部分を訂正したのかを付記して,その部分に署名します。
 
要点6 契印。遺言書が複数枚にわたる場合。
 
 遺言書が,複数枚の用紙にまたがる場合各用紙を重ねて,割るように印鑑を押す契印をすることによって,複数枚にわたる遺言が一体のもので,全部で1通の一つの遺言書であることを示すことが出来ます。


 要点7 自筆遺言書の封筒に入れ,封緘します

封緘(ふうかん)された,自筆遺言証書は,相続人が勝手に明けてはいけません。
家庭裁判所で,開封という手続きで,開封をしなければなりません。開封の手続きは簡単で,最寄りの家庭裁判所に相談すれば,申立方法を教えてもらえます。
 自筆遺言証書を,開封の手続きによらず,開封した場合,偽造などの主張がされる場合があり,紛争のもととなりますから,遺言書を発見した人が,家庭裁判所の手続きによる開封手続きを行えるように,封書に,開封手続きをするように記載しておくと間違いがないでしょう。また,開封と同時に検認の手続もするように記載するといいでしょう。