子のいない夫婦が同時に死亡した場合の保険金の帰属先
業界新聞を読んでいて見つけた記事ですが、なかなか興味深い内容です。
夫が、配偶者である妻を受取人とする生命保険契約を結び、その二人が同時に死亡した場合において、妻の唯一の相続人である妻の兄が、商法676条2項の規定により保険金受取人になったとして、夫の唯一の相続人である夫の弟が、上告人である保険会社に対して保険金の支払いを求める一方、その契約を包括承継した保険会社は夫と妻の両遺族に配分すべきとして最高裁に上告したものです。
結論から言うと上告は棄却され、妻の相続人である妻の兄のみが死亡保険金の相続権を有するものとされました。
ここで争点訴されたのは、夫の弟と妻の兄は『保険金額を受け取るべき者の相続人』となるかどうかという事です。
このケースでは、民法32条の2の規定により、保険契約者兼被保険者である夫と指定受取人である妻は同時に死亡したものと推定され、夫は妻の法定相続人にならないから、夫の相続人である弟が保険金受取人となる事は無く、この事案の保険金の帰属先は妻の相続人である兄のみとされるというものです。
事故などで家族(夫婦)間で同時に亡くなった場合の相続関係と保険金の帰属先の最高裁の考え方が初めて明らかにされた事案であり、注目されるところです。