(解決)離婚辞典vol.2「よくわからない専門用語の解説と離婚後加入すべき医療保険」

※はじめに本ブログの情報は、2025年3月末時点のものですので、ご注意ください。

 

 

 

「保険者と被保険者って何?どういう意味?」
「協会けんぽってそもそも何なの?」
「支払いが必要な保険料と自己負担金ってどう違うの?」
「保険の専門用語がわからない。でも今更聞きづらい、、、、どうしよう?」

そんなお悩みを抱えていらっしゃいませんか。
離婚後、保険の手続き、見直しは不可避です。

そんな場面に登場するよくわからない専門用語たち。

そして、人に聞きづらいお悩み密かに抱えていませんか。

 

第2回目の『(解決)離婚辞典』は、医療保険編です。

今回は、専門用語の解説に加え、特典としてFPによる医療保険者の評価をお贈りします。

離婚後、保険の手続きを進めるにあたり登場してくる専門用語を、普段馴染みのない皆さんが理解しやすいように解説し、いまさら聞けないというお悩みを解決します。

では、早速始めます。

 

【目次】

一 保険者、被保険者、各医療保険者、一部負担金、医療費助成制度の解説

 1 保険者

 2 被保険者

 3 健康保険

 4 国民健康保険 

 5 後期高齢者医療保険 

 6 国保組合労災保険

 7 労災保険

 8 一部負担金

 9 乳幼児医療

10 ひとり親医療

 

二 保険料、扶養、保険証、保険給付、民間保険、国民年金被保険者、被用者保険の解説

11 保険料

12 扶養

13 保険証

14 保険給付 

15 民間保険 

16 国民年金被保険者

17 被用者保険

 

三 結びに特典 医療保険者の評価など

 

 

 

 


 

一 保険者、被保険者、各医療保険者、一部負担金、医療費助成制度の解説

 

 

 

離婚により保険証を変更せざるを得ない方がいらっしゃいます。

ご自身で(国民健康保険、協会けんぽ、健康保険組合、国保組合、後期高齢者医療保険のいずれかに)保険に加入し、保険料を自ら納めている方は、変更不要です。それ以外の方は、離婚後何らかの変更手続き(他の保険に加入、世帯主、世帯員の変更など)が必要となってきます。手続きを進めるにあたり、今後登場してくる専門用語をよく聞かれる順に今回は、離婚辞典としてご紹介いたします。

 

 

★以下表中の補足

赤色=料金、お金に関すること

緑色=保険の基本各種

橙色=保険を運営する各種

紫色=公的医療保険以外のもの

 

(よく聞かれる順)↓

1 保険者(ほけんしゃ=保険の実施主体。保険の加入者から保険料を集め、加入者等がもしもの場合(負傷、疾病、出産、死亡等の私傷病時)に金銭的な保険給付を行います。

 

2 被保険者(ひほけんしゃ=保険給付を受ける権利を有する方。イメージ的には保険証をお持ちの方。

 

3 健康保険(けんこうほけん)=サラリーマンが加入する福利厚生の一つ。私傷病による病気・ケガ・出産・死亡に備え、加入者が保険料を負担し、集めた保険料を保険者が運用し、加入者がいざというときに保険給付を行う形で運営されている。「健康保険組合連合会」(組合健保、主に大企業の社員を対象)と「全国健康保険組合」(協会けんぽ、主に中小企業の社員などを対象)に大別される。福利厚生の一環の意味合いがあり、保険料は、会社と加入者の折半

 

4 国民健康保険(こくみんけんこうほけん)=一般的に自営業、フリーランス、無職の方が加入する医療保険。各市区町村が保険者となり、運営している。保険料は、全額加入者の負担無職で収入が無くとも毎年保険料がかかるので注意。

 

5 後期高齢者医療保険(こうきこうれいしゃいりょうほけん)=日本の75歳以上の方が強制的に加入しなければならない医療保険。よって、誰でも75歳時に保険証が変わり、給付内容と保険料金も変わることとなる。保険料は、国民健康保険と同様に全額加入者の負担となっている。

 

6 国保組合(こくほくみあい)同種の事業又は業務に従事する者で組織された保険組合。イメージ的には、医業・美容・侍業(税理士など)の方が団結し、組織を作り、もしもの場合に備えています。保険料は、組合により設定が異なり、全額自己負担の場合もあります。

 

7 労災保険(ろうさいほけん)=業務上及び通勤の事由に基づく(=仕事中・通勤中)負傷、疾病、死亡等時に必要な保険給付を行います。つまり、労災保険完備の会社に勤めていれば、仕事中・通勤中の負傷は、労災保険から給付を受けることとなります。しかも、保険料は、全額事業主(会社)負担。サラリーマン生活を希望するなら労災保険完備の会社に是非勤めましょう。

 

8 一部負担金(いちぶふたんきん)保険料とは別に医療機関等の窓口で支払う費用。年齢と所得に応じ、支払割合が変わる。 なお、自治体により助成制度がある。

0歳から小学生にあがるまで 2割 ※残り8割の料金が保険者から給付される

小学生から70歳まで 3割 ※残り7割の料金が保険者から給付される(以下同様)

70歳から75歳まで 原則2割 現役並所得者3割(収入から算出される標準報酬月額が28万円以上)

75歳以上 原則1割 一般2割※A 現役並所得者3割※B の3段階がある

※A一般=所得が28万円以上、又は「年金収入」+「その他の合計所得金額」の合計額が以下に該当する。

・1人の場合は200万円以上

・2人以上の場合は合計320万円以上 

※B現役並所得者 「所得合計―控除合計」=課税所得が145万以上の方が該当

 

9 乳幼児医療(にゅうようじいりょう)=病気やけがなどで受診したときに医療機関に支払った保険診療の↑の8で解説した一部負担金である自己負担分を助成。対象期間は、0歳から中学生まで(一部高校生まで)の間。各市区町村で実施され、自治体により差異が生じている。最近は、大多数の自治体で所得制限は撤廃され、どの子育て世帯でも利用できる傾向にある。

通院 1医療機関(レセプト)ごとに月額500円、ただし調剤薬局は一部負担金無し

入院 1医療機関(レセプト)ごとに月額1000円(14日未満の入院の場合は月額500円)

 

10 ひとり親医療(ひとりおやいりょう)=上のひとり親世帯に特化した医療費助成制度高校生までが対象だが、所得制限が設けられている。乳幼児医療の助成制度の適用を受けれない場合に、利用することが多い。

 通院:1医療機関(レセプト)ごとに月額0~500円

 入院:1医療機関(レセプト)ごとに月額0~1,000円

 

 

 

 

 

 

二 保険料、扶養、保険証、保険給付、民間保険、国民年金被保険者、被用者保険の解説

 

 

 

次に皆さんの頭を悩ます保険料とその算定方法などを解説していきます。

 

 

11 保険料(ほけんりょう加入者からお金を集め、加入者がもしもの場合(負傷、疾病、出産、死亡等の私傷病時)に保険者から給付を行います。この時集められるお金のことを保険料と呼びます。各保険者により保険料金の設定方法に違いがあり、差が生じている。

 

 

★以下主な保険者の保険料算定の考え方↓

 

協会けんぽ標準報酬月額というものを用いて保険料を決定します。標準報酬月額は、従業員に支払われる給料から算定される額で、健康保険の場合は第1等級(58,000円)から第50等級(1,390,000円)までの50段階、厚生年金保険の場合は第1等級(88,000円)から第32等級(650,000円)の32段階に区分され、この標準報酬月額に健康保険料率をかけて健康保険料の金額、厚生年金保険料率をかけて厚生年金保険料の金額を計算します。なお、会社と保険料は折半。参考までに大阪の協会健保の保険料率は、令和7年度10.24%(介護保険有りの場合11.83%)。

 

健康保険組合:協会健保と基本的に同じ算定方法を採る。ただし、料率が上の協会けんぽより低く設定している保険者が多い。保険料は会社と折半。

 

国民健康保険:前年度の世帯の所得に応じ、保険料を決定。加入者数と世帯全員の所得合計が鍵。健康保険と違い、会社と折半でない為、割高感が目立つ。加えて、保険料は、平等割・均等割に加え、所得に応じた所得割がかかるので協会健保より大抵の場合、高くつく。なお、保険者である各自治体により減免・軽減制度が設けられている。ただし、ひとり親に対する減免制度を設けている自治体はほぼ皆無。

 

国保組合:保険組合により料金設定に差有り。保険料は、国民健康保険の計算式に準ずる場合が多い

 

後期高齢医療保険:国民健康保険と同様、前年所得に応じ、保険料を決定。国保との違いは、世帯でなく、個人単位の算定であること。軽減・減免制度があるが、加入者が全員75歳以上であることもあり、ひとり親に対する減免制度は無い

 

 

 

12 扶養(ふよう)税制度の扶養と別に設けられ、組合健保と協会けんぽの社会保険において、一定の要件を満たす者が保険料の負担無しに給付を受けれる仕組み。扶養となるためには、国内居住、生計維持関係、親族関係、所得制限、年齢制限、同居の有無などの様々な要件を全て満たす必要がある

 

13 保険証(ほけんしょう)=カード型の保険加入証明書類。ケガや病気で医療機関にて診療を受ける時に、窓口で保険証を提示すれば、医療費を一部自己負担するだけで、必要な治療が受けられる

 

14 保険給付(ほけんきゅうふ)10種超存在。一般的に中身を全て知る必要は無く、医療機関と保険者で種類分けしている。療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、高額療養費、高額介護合算療養費、傷病手当金、埋葬料(費)、出産育児一時金、出産手当金などの種類が存在する。最低限知っておくべきは、「高額療養費」「傷病手当」「埋葬料」「出産一時金」「出産手当金」の5種

 

15 民間保険(みんかんほけん民間企業が運営する保険加入は任意。具体には、生命保険や、損害保険、火災保険、自動車保険など非常に多種存在する。医療においても自身の加入する保険に上乗せで加入することで、もしもの時の負担を減らすことが可能となる。例 ガン保険や就業不能保険など ただし、別途毎月保険料等の支払いが必要。基本的に離婚となれば、民間保険のものは、全て保証額・受取人の変更や解約が必要

 

16 国民年金被保険者(こくみんねんきんひほけんしゃ)=国民年金第1号~第3号被保険者のこと。年金制度も日本国民は加入が義務付けられており、国民年金に加入する方を3種類に分けている。なお、加入種別ごとに料金が違う。なお、社会保険完備の会社に勤めるサラリーマンは、年金の保険料と医療保険の保険料を併せて給与から天引きされている。よって、下記国民年金第2号被保険者は、同時に健康保険組合などに加入していることとなる。

第1号:国内居住20歳以上60歳未満の第2号・第3号被保険者以外の方・具体には、自営業者、農業者、学生および無職の方とその配偶者の方。毎月保険料を自分で納付する必要がある。令和7年度は1か月当たり17,510円。

第2号:厚生年金保険の被保険者。(ただし、年金受給権を有する者は除く)具体には、厚生年金保険や共済組合等に加入している会社員や公務員の方。会社が年金と医療保険の双方を算出し、加入者から徴収される。

第3号:20歳以上60歳未満の第2号被保険者の配偶者。具体には、配偶者がサラリーマンや公務員で専業主婦の方。保険料は徴収されない。

 

17 被用者保険(ひようしゃほけん)雇われている人のことを被用者と呼び、会社員や公務員、教職員、船員などを対象とした社会保険のこと。具体には、健康保険(組合健保、協会けんぽ)や厚生年金保険、労災保険、雇用保険、共済組合、船員保険など多岐に渡る。

 

 

 

 

 

三 結びに特典 医療保険者の評価など

 

 

よく聞かれる専門用語の解説は、一旦ここまでとし、結びに私からの医療保険者の評価とアドバイスをお伝えします。

 

【FPによる各保険者の評価】

 

・一般的に保険料の安い順 

(安い)健康保険組合>国保組合>協会けんぽ>国民健康保険 番外:後期高齢者医療保険

世帯所得・加入人数により差があり、おまけに算定基準も違いますので絶対ではありません。

一度加入前に保険料を算定してもらいましょう。

 

・一般的にサービス(給付)の良い順

(良い)健康保険組合>協会けんぽ>国保組合>国民健康保険 番外:後期高齢者医療保険

扶養制度の有無と傷病手当・出産手当の給付の差が主にあります。

給付内容についても各保険者が設定しますので、絶対ではありません。

 

(結びに)離婚後、料金が高く・給付種類も少ない国民健康保険への加入は、避けれるなら避けましょう。

また、上乗せの保険(民間保険のもの)は全て見直し、解約等の手続きが必要です。

 

〇手続きや保険料の節約方法に関しては、過去の私のブログを参考にしてください。

 

 

いかがでしたか?

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

お力になれれば、幸いです。

 

なお、月に一度は、お金の勉強に関する情報を更新予定です。

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【執筆者】離婚マネーアドバイザーFP.Daiki

・AFP

・社会保険労務士有資格者

・年金アドバイザー2級

・離婚カウンセラー

産後クライシスを乗り切れず、離婚。離婚を機に「同じ苦しみを味わう人を救いたい」という思いで再起。

現在は、家計診断・勉強会・個別サポートでお客様の離婚×お金の問題を二人三脚で解決しています。