『離婚辞典vol.1:税金編「(解決)財産分与など離婚時の税金について」』

※はじめに本ブログの情報は、2025年2月末時点のものですので、ご注意ください。

 

 

「離婚して財産分与するとき税金ってそもそもかかってくるの?」

「慰謝料の受け取りに税金って関係あるのかしら、、、」

「財産分与で受け取る予定の自動車、株券、学資保険の一部に税金かかってきますか?」

「財産分与で取得予定の自宅不動産にいくら税金がかかってくるのかしら?」

 

そんな人に簡単に聞けないお悩みお持ちでないでしょうか?

それ本ブログで解決できます。

今回から『(解決)離婚辞典』と称し、新シリーズとして記していきます。

第1回目は、確定申告シーズンにあわせ『離婚辞典vol.1:税金編「(解決)財産分与など離婚時の税金について」』です。離婚時に税金かかるの?というご質問にお答えします。

では、早速始めます。

 

【目次】

1 離婚にまつわる主な税金13種

2 例1 財産分与 自宅不動産

3 例2 財産分与 自動車

4 例3 財産分与 株券

5 例4 財産分与 学資保険

6 例5 財産分与 預貯金

7 例6 慰謝料

8 例7 養育費

9 まとめ&結びに

 

 


 

1 離婚にまつわる主な税金13種

 

 

税金の種類は50種類を超えます。そして、税金は国に納める国税と地方自治体に納める地方税、さらに直接税を負担する直接税と、直接でない間接税に分け、主に分類されます。

中でも特に離婚にまつわる可能性の高い税金をこのあと記します。

 

1 所得税(国・直接)

所得税とは、給料や商売の利益、あるいは土地を売って得た利益などに対して課される税金

例 財産分与で不動産(自宅)を贈与した場合

土地や建物などの財産分与が行われたときは、分与した人に譲渡所得の課税が行われることになります。この場合、分与した時の土地や建物などの時価が譲渡所得の収入金額となります。次に、分与を受けた人は、分与を受けた日にその時の時価で土地や建物を取得したことになります。なお、参考ですが、将来分与を受けた土地や建物を売った場合には、財産分与を受けた日を基に、長期譲渡になるか短期譲渡になるかを判定することになります。

 

2 贈与税(国・直接)

贈与税は、個人から贈与により財産を取得したときにかかる税金です。

離婚時の財産分与は、夫婦の財産関係の清算、生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受けたもので、贈与とは考えないので原則として贈与税はかかりません。ただし、分与された財産の額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額などを考慮しても多すぎる場合には、その多すぎる部分は贈与とされ贈与税がかかりますし、離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合には、受け取った財産すべてに贈与税がかかります

 

3 住民税(地方・直接)=市区町村税+道府県民税

住民に身近な行政サービスに必要な経費を、住民にその能力(担税力)に応じて広く分担してもらうもの

補足 上記1の所得税がかかれば、住民税もセットでかかっくるものと考えておきましょう。

 

4 消費税(国・間接)

消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。

補足 離婚に関わらず、商品やサービスを受ける際に支払う必要があるもの。

 

5 地方消費税(地方・間接)

上記4のうち地方に納付するものを地方消費税と言います。

なお、ご存じかと思いますが、2019年10月1日以降は「消費税7.8%+地方税2.2%相当=10%」、軽減税率は、2019年10月1日以降は「消費税6.24%+地方税1.76%相当=8%」となっています。

補足 離婚しようがしまいが、購入時等に広くかかる税金

 

6 固定資産税(地方・直接)

固定資産税とは、個人や法人が所有する一定の固定資産に対して、市町村など自治体が課税する地方税である。

毎年1月1日時点の固定資産所有者に対し、その時点における固定資産の評価額から計算した税額が通知されます。

課税例 財産分与で土地を譲渡した場合

 

7 自動車税(地方・直接)

自動車税とは、毎年自動車の所有者に対して排気量に応じて課税される税金です。

課税例 財産分与で車の譲渡を受けた時

 

8 軽自動車税(地方・直接)

毎年軽自動車(軽自動車の規格は、排気量660cc以下、長さ3.4m以下、幅1.48m以下、高さ2.0m以下の三輪および四輪自動車)の所有者に対して排気量に応じて課税される税金です。

課税例 財産分与で軽自動車の譲渡を受けた時

 

9 自動車取得税(地方・間接)

取得金額に応じてディーラーや中古車販売店で車を購入した時にかかってくる税金です。

課税例 離婚後車の売買等で携わる

 

10 印紙税(国・間接)

印紙税法で定められた所定の文書を作成した際に課される税金です。文書を作成することは契約内容が明確になることを意味するため、文書作成の当事者に軽度の税負担を求めています。20種あり、よく目にするのは、不動産の譲渡に関する契約書

株券、出資証券もしくは社債券または投資信託、貸付信託、特定目的信託もしくは受益証券発行信託の受益証券、保険証券も同様です。
課税例 財産分与時 不動産、有価証券(株券、投資信託など)の譲渡時

 

11 自動車重量税(国・間接)

車体の重量に応じて新車購入時と車検取得時に納付する税金です。

課税例 財産分与で取得した車の車検時

 

12 不動産取得税(国・直接)

土地や建物の購入、建物の建築、贈与などで不動産を取得したとき課税される税金です。

税率は「固定資産税評価額×3%(土地の場合はその1/2)」です。建物については固定資産評価額から1200万円を控除できます。

課税例 財産分与で不動産を取得した時

 

13 登録免許税(国・直接)

登録免許税は、分与された不動産の所有権移転に伴って法務局に支払う税金です。「固定資産評価額×2%(100円未満切り捨て)」で税額を算出します。こちらは土地建物に関係なく課税されます。なお、分与された側の負担を減らすには、離婚協議書などに「分与した側が支払う」等の内容を入れておけば、分与された側の登録免許税の支払い義務はなくなります。

課税例 財産分与で不動産譲渡

 

 

2 離婚時の一般例から税金を考察しよう

 

 

次に一般的な例で考えてみていきましょう。

 

例1 財産分与 自宅不動産

 婚姻期間中に夫名義で自宅を購入し、離婚を機に売却するケースです。

購入価額が3000万、売却価額が8000万、購入して20年と仮定。利益を財産分与で均等に分けるこの場合、土地建物等譲渡所得とされ、上記1の所得税と上記3の住民税が分与側である夫にかかります。

「課税譲渡所得金額 = 不動産の時価-(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額」

不動産がマイホームの場合は、一定の要件を満たせば3000万円を控除することができます。

譲渡費用を0円とすれば、「2000万=8000万-(3000万)-3000万」

課税譲渡所得金額が2000万ですので、(10%国+5%地方)= 30万

なお、居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例が肝となってきますので、必ず確認しておきましょう。

 

制度等詳細は私の過去のブログ↓をご参考ください。

離婚前に第三者へ自宅不動産を売却が揉めない離婚に通じる5つの理由 | 離婚マネー相談室:財産分与・年金分割など離婚に伴うお金の問題解決! 

 

 

例2 財産分与 自動車

自動車をそのまま分けることはできないため、通常は以下の方法が取られます。

1(代償分割一方が自動車を取得し、他方に代償金を支払う。

2(換価分割)自動車を売却し、売却代金を分ける。

車の売却でかかる税金は、

・消費税(事業者が支払う)

・自動車税(支払いでなく、前払いしていればお金が戻る可能性あり)

所得、住民税購入時より50万以上高い価格で売却した場合、一時所得とされ、課税の可能性有り。)

ほか、参考に自動車にかかる税金としては、(軽)自動車税(所有)、自動車重量税(車検時)、自動車取得税(取得)です。ちなみに、自動車税の場合は、廃車時期に応じて返金がありますが、軽自動車税の場合はもともとの税金が安いため、廃車しても返金はされません。

 

例3 財産分与 株など有価証券

婚姻期間中に夫婦のいずれかが株・国債・投資信託などの有価証券を保有した場合、夫婦共有の財産とみなされ、離婚時の財産分与の対象となります。

分与方法は、3つあります。

1現物分割 現物をそのまま分ける方法

2代償分割 一方が株を取得しもう一方には相応の財産または現金を譲る方法

3換価分割 株を売却した代金を分割

なお、分与した人に株式等譲渡所得として所得税と住民税双方が課される場合があります。

 

例4 財産分与 学資保険

婚姻し、子どもが生まれ、将来の教育費に備え、学資保険をかけているご家庭は多いかと思います。これも離婚となれば、基本的に夫婦共有の財産とみなされ、離婚時の財産分与の対象となります。

方法は、主に3つ

1 解約し折半

2 受取人変更等のうえ、学資保険を継続し、養育費代わりに保険料を納付してもらう

3 離婚時の返戻金の半分を支払い、契約者・受取人変更等のうえ、学資保険を継続。

解約返戻金と満期金は、所得税・住民税の一時所得に該当し、受け取った保険金と支払った保険料の差額が50万円を超えると課税されます。

 

 

3 離婚時の一般例:税金の影響がないもの

 

 

例5 財産分与 預金

 婚姻期間中に夫婦のいずれかが貯蓄した場合、預貯金等も当然に夫婦共有の財産とみなされ、離婚時の財産分与の対象となります。良い点は、分与・取得しても税金がかかりません。よって、可能な限り現金の分与が理想です。

 

例6 慰謝料

 離婚の際に一方から支払われる慰謝料には、税金がかかりません慰謝料は、損害賠償請求権の行使であるためです。

 

例7 養育費

 養育費に税金はかかりません。なぜなら、子どもが生活費や医療費などで困ることがないように、法律上の「扶養義務」に基づいて支払われるものであり、所得税を課さないとされいえます。

 

 

 

4 まとめ&結び

 

 

 離婚時の財産分与で原則贈与税が課せられないとは言え、分与の種類等により、他の所得税などの税金がかかる場合があります。今回は、それらを離婚辞典としてまとめました。参考になれば幸いです。もしものとき、焦らないようにしっかり備えておきましょう。
 

今回のまとめ

no

売買費目

所得税と住民税

他税目

1A

土地・建物(譲渡)

土地建物等譲渡所得

1B

土地・建物(取得)

不動産取得税

登録免許税

2A

自動車(譲渡)

一時所得

2B

自動車(取得)

(軽)自動車税

自動車重量税

3A

有価証券(譲渡)

株式等譲渡所得

3B

有価証券(取得)

税でなく手数料

 

4

学資保険(受取)

一時所得

贈与税

相続税

 

(補足及び注意事項)※スマホでは上記表が正しく表示できません。

1A 譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除=課税譲渡所得金額 ※居住期間・譲渡先・宅地等の区分等に応じ税率設定

1B 他 契約書に印紙税が必要です。

2A 総収入金額 - 収入を得るために支出した金額(注) - 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額 ※よって50万超の利益がなければかかりません。

3A 総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)=課税譲渡所得金額 ※購入時に新NISA制度の選択等あれば、課税免除有り

3B 証券会社等により差有り

4 被保険者、受取人、契約者に応じ、所得(住民)税・贈与税・相続税のいずれかがかかる場合があります。

1から5全て契約金額に応じ契約書に印紙税がかかる場合があります。

購入・サービス提供時に別途消費税(地方消費税含む)がかかります。

 

 

 

いかがでしたか?

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

お力になれれば、幸いです。

また良ければ、次回お会いしましょう。

 

なお、今回も「離婚マネーアドバイザーFP.Daiki」のX(旧Twitter)(リンク有)の補足です。

月に一度は、お金の勉強に関する情報を更新予定です。

X(旧Twitter)、ブログ共にフォローいただけますと今後の励みになります。

 

 

 

【執筆者】離婚マネーアドバイザーFP.Daiki

・AFP

・社会保険労務士有資格者

・年金アドバイザー2級

・離婚カウンセラー

産後クライシスを乗り切れず、離婚。離婚を機に「同じ苦しみを味わう人を救いたい」という思いで再起。

現在は、家計診断・勉強会・個別サポートでお客様の離婚×お金の問題を二人三脚で解決しています。