インフレと聞くと、「デフレでは?」と思うかもしれませんが、今回は目先の話ではなく、20年後、30年後の老後へ向けた資産運用という観点から見たインフレのお話です。
老後に向けた資産運用では、老後の生活費を「インフレ」も考慮に入れてプランニングしておく必要があります。では、インフレが起こった際に、老後の生活費はどの程度割増しになるのでしょうか?
例えば、1978年から2008年までの過去30年間の平均物価上昇率は約1.42%なので、仮に今後の30年間で同じ位の物価上昇が起きたと仮定したら、
現在月27万円の生活費は・・・・
なんと約41.2万円(計算式: 27万円×(1.0+0.0142)30)です。
したがって、老後の必要資金を考える際や老後に向けた資産運用を考える際には、インフレ率も加えて考えることが重要ですね。
例えば、30年後に迎える老後、65歳の時点で3,000万円老後資金を準備するとして、現在手元に1,000万円あるとします。物価上昇を考えなければ、30年で3倍にするには年率約3.7299%(複利)での運用が必要です。
仮に今後30年間で1.42%のインフレが起きたとしたら・・・
必要運用利率は、約5.2%に跳ね上がります。
もちろん将来のインフレ率を予測することはできませんが、インフレがあるかもしれない、という考えを持ったうえで資産のポートフォリオを組む必要がありますね。
ここで、「インフレになればそれなりにお給料も上がるし、預金金利も上がるから特にインフレ対策は必要ないのでは?」と思う人もいるかもしれません。でも実は、インフレが起きても、「預金金利の上昇」「給料の増加」「物価上昇率の年金額への反映」といった我々が直接恩恵を受けられる結果に到達するまでには遅れが生じるのです。したがってやはり長期で考えた場合にはインフレ対策は必要ということですね。
インフレ対策のひとつとして一般的に有効と言われるのが株式投資です。
というのも通常のインフレの場合、原材料価格などの上昇は、ある程度インフレ分を価格にオンできます(もちろん需給関係にもよります)。価格への転嫁ができれば利益もその分増えるので、企業収益は増加、結果株価も上昇し、これがインフレヘッジになるわけです。
もちろん株式投資にはリスクはありますが、長期にわたって継続的に株式投資を行うことはインフレヘッジとして有効といえるでしょう。
ちなみに、東証第一部における過去の収益率(加重平均)は以下の通りです。
【2008年まで投資した際の投資期間別市場収益率%(加重平均)】
投資 期間 |
1年
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3年
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5年
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10年
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15年
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20年
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25年
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30年
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35年
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収益率 |
-26.2
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0.2
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8.5
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4.6
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2.3
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0.4
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5.9
|
7.0
|
7.0
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*データは、財団法人日本証券経済研究所「株式投資収益率2008年」より
1978年から2008年までの約30年間でのインフレ率は約1.42%(A)、同じ期間の東証1部市場に収益率は7.0%ですから実質収益率は約5.58%、インフレヘッジの効果はあったといえるでしょう。もちろんこれはあくまで過去のデータで将来的にも同じことが言えるとは限りませんが、長期にわたって継続的に充分に分散したうえで株式投資を行うことはインフレヘッジ対策のひとつとして考えても良いかもしれませんね。
インフレになって老後の生活費が足りない、という事態になった際、もちろん例えば退職を遅らせる、あるいは生活費を切り詰めるなどの対応策もあります。でもやっぱり老後は豊かに安心して過ごしたいもの、今はデフレだからインフレになってから考えれば・・・・というのではなく、早め早めの対策が安心した老後への一歩といえるでしょう。