こんにちは。ファイナンシャルプランナーの茂木です。
投資をされている方の中には、
日本の自動車株を保有されている方も多いのではないでしょうか。
今回は、2025年上半期の自動車メーカー各社の決算から見えてきた、
注目すべきポイントについて解説していきます。
各社軒並み減益という厳しい結果に
2025年4月から9月の半年間、主要自動車メーカーの業績を見ると、
全社が営業利益の減少という厳しい結果となりました。
投資家の皆さまにとっては気になる状況ですね。
では、なぜこのような結果になったのでしょうか。
主な要因を3つに整理してみます。
1つ目は、アメリカの関税政策の影響です。
現在、日本からアメリカに輸出する車には15%の関税がかかっています。
メーカーとしては、この分を販売価格に転嫁したいところですが、
アメリカ市場は競争が非常に激しく、簡単には値上げできない状況です。
結果として、メーカーの利益が圧迫される形となっています。
2つ目は、グローバルでの販売動向の変化です。
ホンダや日産は北米市場では健闘したものの、
日本国内や中国、インドといったアジア市場で販売が伸び悩みました。
特にインドでは、税制変更を控えた消費者の様子見姿勢が強まり、
販売台数が減少しています。
3つ目は、想定外のコスト増加です。
品質管理費用の増加や、EV関連の政策変更への対応費用が発生しました。
例えば、ホンダではEV補助金打ち切りを受けて生産計画を見直し、
約2,200億円もの一時費用を計上しています。
これは短期的な利益を大きく押し下げる要因となりました。
トヨタグループの明暗
一方で、トヨタとその関連企業の多くは、
ハイブリッド車の好調な販売と円安効果により、
比較的良好な業績を維持しました。
ただし、グループ内でも品質管理やエンジン認証関連で想定以上のコストが発生した企業は減益となっており、
一枚岩ではない状況です。
注目すべきポイント
各社とも、通期の業績予想については慎重なスタンスを維持しています。
関税分の価格転嫁は徐々に進んでいるものの、
そのペースや時期が不透明なため、様子見姿勢が強いようです。
また、新たなリスク要因として、オランダと中国の対立による半導体供給問題も浮上しています。
自動車部品に広く使われている半導体の供給が一時停止されましたが、
現在は両国の協議により再開に向けて動いているとのことです。
ただし、地政学リスクは今後も継続する可能性があります。
まとめ
自動車セクターへの投資をお考えの方、あるいはすでに保有されている方は
現在の自動車業界は、企業の経営努力だけでは
コントロールできない外部要因の影響を大きく受けています。
関税政策、補助金制度、国際的な規制、そして地政学リスク。
これらの要素が複雑に絡み合い、業績を左右する状況です。
短期的には不透明感が強いものの、
各社とも価格転嫁や生産体制の見直しなど、着実に対応を進めています。
投資判断においては、こうした構造的な変化を理解した上で、
中長期的な視点を持つことが重要だと考えます。
ポートフォリオ全体のバランスを考えながら、リスク管理を行っていきましょう。
個別のご相談については、いつでもお声がけください。
それでは、また次回のブログでお会いしましょう!