西禁野ポタ夫のミラクル散歩

西禁野ポタ夫のミラクル散歩

膝が笑って心は泣いた。

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山田洋次監督の映画に「息子」という作品がある。

見所は田中邦衛である。

劇中自宅でAV鑑賞中に来客があり

片目をつぶってビデオを狙い停止させる邦衛

鉄骨を運搬中渋滞に延々文句をたれている邦衛

「遊びに行くならよ~」

「休みの日に行ってくれよ~」

「電車でよ~」

「まったくよ~」

休憩時間にあきらかに飲み終わっている缶コーヒーを

これでもか!というほど傾け

それでも納得できず飲み口を覗く邦衛

やはり田中邦衛は最高である。




何やら最近散歩コースが騒々しい

それもそのはず選挙の季節である。

選挙の街宣に混じって

どこからともなく聞こえてくるトランペットの音色

THE BOOMの楽曲、風になりたいだ。

天国じゃなくでも~♪の部分で止まる。

若干の間があり再び

天国じゃなくても~♪の部分で止まる。

どうも、も~の部分の音程がおかしい。

5回ほど繰り返したところで

とある候補者の自転車による街宣が

ポタ夫の横を通り過ぎた。

黄色い無地のノボリを立てた集団の中に

一台だけ黄色地に「息子」と書かれたノボリが確認できた。

候補者の息子も大変だなと思っていると

少し遅れて、同じく黄色地に「娘」と書かれた

ノボリを立てた自転車が横切った。

これはあかんやつである。

ポタ夫は笑いをこらえる為

深呼吸してほっぺを膨らませた。

欽ちゃんの仮装大賞のメーターでいうと

あと1点で合格の状態である。

この後「嫁」もしくわ「孫」で合格してしまうだろう。

なんとか黄色い集団をやりすごし安堵していると

再びどこからともなくトランペットの音色が響いた

天国じゃなくても~♪

「まだやっとったんかい!」

ポタ夫の中で仮装大賞のファンファーレが流れた。
中学生の頃

2月14日のバレンタインデーの日には

登校から帰宅までの間そわそわしたものである。

中学の2年間そわそわしつづけ

父親がもらってきた

義理チョコを食うのが毎年の恒例行事だった。

中学も卒業に近づいた3年目の2月14日

この頃になると、いいかげんそわそわしなくなっていた。

帰宅して、なにげなく郵便受けを覗くと

綺麗にラッピングされた見慣れない箱が入っていた。

喜び勇んでアメリカ人の子供のように

ラッピングを引き裂き中身を取り出した。

中には、手紙と共にシャーペンとマグカップが入っていた。

手紙には、使ってくださいというメッセージと

イニシャルが書かれていた。

モーレツなそれじゃない感にさいなまれながらも

ポタ夫はそれを持ち帰り、メッセージ通り

マグカップにココアを注いでシャーペンでまぜた。




散歩に出かけると頻繁に出会う人物がいる。

歩道の端で一心不乱に体を鍛えるその老人は

チョコレートフォンデュをぶちまけた様な

日に焼けたそのボディーと

汗で輝くスキンヘッドが

あたかも丁寧にテンパリングされた

つやのある高級ショコラのようで

いやがおうにも道行く人の視線を集める。

ポタ夫はその老人を尊敬の念をこめて

ショコラ・ボールド先輩と呼んでいる。




先輩は数種類のオリジナル鍛錬器具を駆使し

モリモリと体を鍛えているのだが

ひとつだけよくわからない器具が存在する。

その器具は、長さが50センチ程度の木の棒で

先端には、たいまつの様に布が巻きつけられた器具である。

でかい松居棒を想像していただきたい。

付近を通りかかるたびに、

使用法について様々な考察をしてみるも

皆目見当がつかない。

その日もあれやこれやと考えあぐね

悶々としながら顔を上げると

遠目に先輩が確認できた。

歩道をいっぱいに使い

右往左往している先輩の人差し指には

あの棒がバランスを保ちながら立っていた。

まさかのほうきバランスである。

驚愕の結果にポタ夫は一旦顔を下げ

素早く太ももを強くつねり

腹筋の崩壊を防ぎつつ距離をとった。

落ち着きを取り戻し

フェンスに体をゆだねながらつぶやいた。

「先輩のそこにしびれる憧れるぅ~」
スーパーマーケットとは

超市場

という認識でよろしいのでしょうか?




小雨が降りしきるある日の夕方

散歩帰りに夕食の食材を買いにスーパーに寄った。

前日に見た、弱虫ペダルの悪影響によって

三十路を越えた、むくつけき男が

恋のヒメヒメぺったんこを口ずさみながら

入り口で傘をたたんでいた。

なにげなくゴミ箱に目をやると

無造作に大きな旅行カバンが突っ込まれていた。

サビの部分で鼻歌が止まる。

通常、旅行カバンはスーパーのゴミ箱に捨てない。

残響のテロルが頭をよぎる。

危険を察知したポタ夫は、足早に入店し

夕食の食材を入念に吟味する。

想像力と消去法を駆使した結果

ママーの冷凍パスタ

スパゲティナポリタンを手に取った。

最近の冷凍食品は、お手ごろ価格ながら侮れない。

特に、このスパゲティナポリタンの旨さは異常である。

レンジでチンの簡単クッキングというのも

おっさんには魅力である。

レジで支払いを済ませていると

余計なことを思い出した。

そうそう爆弾、爆弾。

その足でサービスカウンターに向かう。

カウンターのおばちゃんに

不審な旅行カバンについて告げると

隣にいた若い男性店員に見てきてと促す。

ポタ夫は店員をゴミ箱まで案内した。

カバンを見てその店員は


「怖いっすわ~、めっちゃ怖いっすわ~」


と怯えていた。

彼を気の毒に思ったポタ夫は

精一杯のエールを込めて


「じゃっ私はこれで…」と言葉をかけた。


ポタ夫は爆風を避けるため

数十メートル先のメガネ店へ足早に向かった。

すると背後から店員が大声で叫んだ。


「なんも入ってなかったっす~!」


ポタ夫が振り返ると


「このカバンまだ使えそうっす~!」


彼はカバンを高く持ち上げ

産後の女性のような、屈託のない笑顔でポタ夫に告げた。

ポタ夫の散歩コースである川沿いには

少し歩くだけで数種類の野鳥が見られる。

剥製のように川面を眺めて小魚を狙っているアオサギ。

例外なくツーマンセルで泳ぐマガモやコガモ。

レアなところではひもの付いていない鵜が

魚雷のように水中で小魚を追っている。

鳥や動物達による生の営みは

やさぐれたポタ夫の心を癒しつつ視線を釘づけにする。


ビバ!ネイチャーである。


加えて、視線を釘付けにするといった観点から

アートネイチャーも

ある種のネイチャーであると言って良いだろう。




ある日いつもの公園を歩いていると

桜の木の下に馬が立っていた。

現実離れした状況に後ずさっていると、馬の足元に

うなだれて三角座りをしている女性が目にとまった。

おそらくこの女性は調教師か何かであろう。

公園の広場に目をやると、

幼稚園児達が整列して座っている。

状況的に野外学習の余興なのだろうと推測できた。

視線を戻すと、待機時間が長かったのかその女性は

卵サンドを横から見た形状でピクリとも動かない。

その間、馬は何やら草をモグモグとやっている。

ちょっと待てよ…そのモグモグやってる草は

公園のおっちゃんが植えてたやつじゃね?

これは一言物申すべきじゃね?

意を決したポタ夫は鼻息荒く女性に近づく

女性がポタ夫に気づいた瞬間

不意を突かれた形で、

馬の巨大な陰部がポタ夫の視界に入る。

プチパニックである。

勢いを止められないままポタ夫は口走る。


「おっきいですね」


女性が笑顔で答える。


「ですね~」


二人の間にそごが生まれた瞬間だった。
趣味について聞かれる事がある。

しかし西禁野ポタ夫は多趣味であり

これといったメインの趣味はなく

回答に困る事がままあった。




その昔ポタ夫はカラオケ店に隣接するゲームセンターで働いていた。

休憩時間にはカラオケ店で飲み物を支給してもらい

事務所でくつろぐのだ。

気心が知れてくるとカラオケ店の娘にちょっかいをかけたくなる。

カウンターの前をかがみながら洗い物をしている娘に忍び寄り

喪黒福造よろしく、「ド~~ン!!」とやる

娘は目を丸くしてコップとスポンジを握り締めたまま固まる。

一呼吸おいて少し怒った感じで娘が言う。

「西禁野さん、悪趣味ですぅ~」

代表趣味の誕生である。

以降趣味を問われた場合、悪趣味で通している。

胸を張って言おう西禁野ポタ夫は悪趣味である。




職場であるゲームセンターの近くには

警備会社の事務所があり金曜の夜ともなると

松崎しげる色の肌をしたガリンペイロ達が

一週間の労働の対価を受け取りにくる。

額に汗する労働は尊いものだ。

そこかしこで溢れかえる笑顔を横目に

ポタ夫はプリクラコーナーに向かう。

キラキラが売りのプリクラに入る一人の警備員が見えた。

そのノリは後悔するんじゃね?と思いながら

ポタ夫はしばらく眺めていた。

長い…えらい長い…

痺れをきらせたポタ夫がカーテンを開けると

貞子以上に這いつくばった男がプリクラと床の隙間を覗き込んでいた。

完全に貞夫である。

おっさん何しとんねんと問うと

貞夫は「なんもしてない…」と告げ、

そそくさとその場を立ち去った。

プリクラでは何もしないのではなく、プリクラを撮っていただきたい。




散歩をしていると交通整理をしている警備員と出くわすことがある。

その警備員のおばちゃんは元気いっぱいかつ

サザエでございま~す的なニュアンスで

「2台通しまぁ~す」

とトランシーバーで相方に告げる。

「2台了解」

相方の声がトランシーバーから漏れ聞こえた。

しばらく歩き、坂を登り切ると

おばちゃんの相方が神妙な面持ちで

トランシーバーを眺めていた。

すると背後から3台通しまぁ~す。と

トランシーバーを経由しない声が辺りにこだました。

ポタ夫は無言でうなずき家路に着いた。
気まぐれだとか次回はないとか言っておきながら

たかだか2~3日程度でまた書いてしまうなんて

気まぐれが聞いて呆れるぜ!と思われるかもしれないが

恥を忍んで言わせていただく

気まぐれが聞いて呆れていただき
誠にありがとうございます。




ほんのりと春めいてきた3月末日、いつもの散歩道で空を見上げる。

そろそろ入学のシーズンだなぁ・・・・・・

この季節、西禁野ポタ夫も少しセンチメンタルジャーニーである。

食パンをくわえた女子高生には積極的に体当たりしたいと思ってはいるものの

そのような女子高生にはお目にかかったことがない、

仮に出会ってぶつかったとしても

えらく罵られた上110番>任意同行>家宅捜索という一連の流れが脳裏をよぎる

警官の目を盗んでハードディスクだけは何とか破壊しなければ、などと考えていると

ビーグル犬と目が合った。一旦視線をはずし追い抜こうとした瞬間

えらい剣幕で吠えられたのだ。


若かりしころの西禁野ポタ夫はロン毛だった。

当時はもの珍しかったのであろう

ポタ夫の後を子供や犬がニヤニヤしながらついて来たものだ

犬にも親父にも吠えられる事など皆無だった。

バイト先などではバンドやってるんですか?などと聞かれ

やってないと言うと「えっ?」みたいな顔をされることも多々あったが

あえて言わせていただく、すべてのロン毛が

バンドをやっているなどといったマインドは捨てていただきたい。

ポタ夫がやったことのあるバンドといえば

当時の彼女が寝てる間に拝借した乳バンドであり

見よう見まねで装着した後、鏡の前で数回まわったところで

彼女のピュアでまっすぐな視線が

ポタ夫に突き刺さった程度のバンド活動である。



それはそれとして、話をビーグルの件に戻そう

執拗に吠え立てられ目線をあげると飼い主であろう少女が怪訝な顔で

ポタ夫を見つめていた。



ここで全国の愛犬家に申し上げたい。

・愛犬が通行人に吠え掛かったらリードを引いていただきたい。

・プリングルス(緑)を携えたおっさんに偏見を持たないでいただきたい。

・プリングルス(緑)以外はそんなに売れていない事にうすうす感づいていただきたい。


そしてこれが最も重要なことだが

・あれ以来ブラは着用していないので怪訝な顔はおやめいただきたい。

以上である。
とてつもない気まぐれによって、西禁野ポタ夫はブログを書いている。

おそらく長くは続くまい。

髪型が決まらないといった些細な事で書かないだろう。

職場で寝癖を指摘されても

毛先を遊ばせていると言ってしまうのだろう。

だが今日はあえて書くのだ!ミラクルスタートだ!



昨日の散歩の帰り道、不意に餃子を食したくなった。

餃子の王将の入り口に4~5秒立ち、わざとだからなと言いながら

自動ではない扉を手で押したのは、ほろ苦い思い出になりつつある。

入店して餃子を一人前注文する。

店員  「 餃子一人前2370円になります! 」

声高に、「それ食が万里を越えとるがな!」と言おうとした刹那

店員  「 すいません237円です。 」

そこそこ面白い感じの返しを言えなかった消化不良気味の

西禁野ポタ夫だったが、気を取り直して支払いを済ませた。

店員  「 2番の札でお待ちください 」

とにこやかに1番の札を渡す青年。

そこではじめて西禁野ポタ夫は気づいた、

「 こいつただもんじゃねー 」

こっこいつ・・・・・・俺を試してるのか?

湯上り卵肌と言われたこの西禁野ポタ夫を試すなんて大したもんですよ

この状況で最高の返しを望んでいるのだね、よ~し!と前のめりになった瞬間

店員  「 すいません1番でした 」

言わせねーのかよ!

一体なんなのだこのウォシュレットでビデのボタンを押してしまった時のような脱力感は・・・

まさにミラクルである。

といったように散歩をしていると時折このようなミラクルが起きる事がある。

このような出来事を信じられないほどの気まぐれに書いていこうと思う。

次回はないかもしれないということもあえて書き加えておこう

西禁野ポタ夫は気まぐれなのだから・・・