※人によっては気分を害する表現がありま
す。自己判断でお読みください。
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「・・・あれって、
坂尾上と坂尾翔だよな・・」
「ああ・・・うん、そうだな。
・・えっ・・なんで手足縛られてんの?」
僕らが戸惑っていると、
黒のパーカーを着た人物が係員席から降りて
こちらに近づいてきた。
フードを目深に被っていて誰なのかわからな
い。
僕らは銃を構えた。
その人物は僕らとの距離をある程度詰める
と、フードを取り手櫛でロングヘアーを
かきあげた。
長濱さんだった。
僕らが固まっていると、
ライフルを手に持った渡邉さんが近づいてき
た。
メリーゴーランドよりも高速で頭の中が
ぐるぐると回り出した。
さっきのアナウンスの声は長濱さんだ。
でも何で・・・?
「なに固まってるの(笑)」
「ウケるんですけど(笑)」
長濱さんと渡邉さんは僕らを見て嘲笑った。
「いま良いもの見せてあげるねっ」
「ちょっと待ってて」
そう言って二人は微笑んだ。
長濱さんがメリーゴーランドを停止させた。
坂尾兄妹が乗ったカボチャの馬車は
丁度僕らの目の前で動きを止めた。
僕らが坂尾兄妹に駆け寄ろうとすると、
渡邉さんが威嚇射撃をした。
「いいもの見せてあげるって
言ったでしょっ!!!」
渡邉さんが声を荒げて僕らを睨んだ。
「理佐のこと怒らせないでぇ~」
長濱さんが笑いながら言った。
僕らはどうすることもできず
その場に立ち尽くした。
渡邉さんは坂尾兄妹に狙いを定め
何の躊躇いもなく引き金を引いた。
撃たれた衝撃で坂尾兄妹は後ろに仰け反り
そのまま動かなくなった。
長濱さんが拍手をしながら戻ってきた。
それに答えるように、渡邉さんがにこりと
笑い「すっきりしたぁ」と言った。
「本妻の子供ってだけで
今まで私らよりずっといい思い
してきたんだから、
これくらいどうって事ないでしょ」
どうって事ないって・・・殺しが・・
狂ってる。
「わたし達、あいつに認知して
もらったから、あいつが死んだら
ちゃんと本妻の子と同じ
お金もらえるんだよねぇ」
あいつって・・・坂尾議員のことか。
「だけどね、翔と上がいると
取り分が少なくなるでしょ。
だから邪魔だなぁって」
「あの2人認知したことを知って、
わたしたちのこと
殺す計画を立ててたの。
ヒドくない」
「だからそれを利用してやったの」
「わたしたちには、
ボディーガードがついてたしねっ」
二人は僕らを見て微笑んだ。
不気味なくらい綺麗な微笑みだった。
僕らは何かを言い返す気力が
残っていなかった。
ただ黙って二人の告白を聞いていた。
「何とか言ったら?つまんな~い」
「一緒にパフェ食べに行きたかったぁ~」
パフェかぁ・・・そうだった。
この二人と行くはずだったんだ。
マナカと顔を見合わすと目が血走って赤くな
っていた。
僕もそうなのだろうか。
「まぁいっか」「じゃあねっ」
渡邉さんがライフルをマナカに向け、
長濱さんが僕に拳銃を向けた。
僕の人生ってここまでなの・・・
うわぁ・・思ってた以上に短かったな・・・
よく最後の時は走馬燈のように思い出が
駆け巡るっていうけど、
あれ本当なのか?
頭の中真っ白なんだけど・・・
「ユリナ・・・ありがとな」
マナカがぼそっと言った。
ああ・・やっぱり最後なのか・・・
「うん。マナカ・・ありがとう」
マナカがフフッと笑ったから、
僕もつられてフフッと笑った。
軽く鼻で深呼吸をしながら息を整えた。
目を閉じたその時、
近くのスピーカーから"キーン"という
ハウリング音が鳴り響いた。
「はい、終了~」
へっ・・・・・?
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