地下駐車場に足を踏み入れた瞬間、
車の扉が勢いよく閉まる音がした。
その方向を見ると、清掃会社の車があり
織田班長が車の窓を叩いていた。
僕らも駆け寄ったが、
車は急発進して駐車場を出ていった。
その窓からは、長濱さんと渡邉さんが
乗っているのを確認できた。
「ハァハァハァングッ 生きてる ハァハァ」
「ハァハァ 大丈夫!生きてる」
僕らは息を切らしながら
二人がまだちゃんと生きていることを
確認し合った。
「奴ら銃を持ってるぞ!!」
織田班長の言葉が脳天に突き刺さった。
「銃!?・・・マジかぁ」
「奴らってことは複数犯ですか」
「少なくとも3人いる。
その筋の人間だろうな」
班長はそう言うと本部と連絡を取った。
息を整えていると
マナカがスマホの画面を見せながら言った。
「渡邉さんたちスマホ持ってるかなぁ。
ほらっ、先週お招ばれの時に」
「ん、ああっ、そうだ!」
僕らはお招ばれされた時、
万が一のことを考え、彼女たちの目を盗み
二人のスマホに鈴本お手製の追跡アプリを
仕込んでおいた。
純粋に警護のためだ。
下心は微塵もない。
マナカのスマホでアプリを起動させると、
赤い点が二つ地図上にあった。
ひとつはマンション地点で動かず、
もうひとつは点滅しながら動いていた。
二人のうちどちらかがスマホを携帯している
ようだ。
アプリを入れをおいて正解だった。
ただ、万が一のことが起きてしまった
ことに動揺していた。
織田班長が落ち着いた声で言った。
「本部に連絡したら、
一度戻ってくるようにと言われた。
早く戻るぞ」
「えっ!?
ここから追跡しないんですか」
「一度戻る。これは命令だ!!」
「でも、もう一刻を争う事態になってる
じゃないですかっ」
「だから戻るんだ!!
調査対象者の命はもちろん大事だ。
だけどなっ、お前たちの命も大事だ。
一度本部に戻って体制を整える」
「・・・わかりました」
班長の言ってることはもっともなのだろう。
先走ってはいけない。
訓練生の時に散々言われたじゃないか。
僕たちは車に乗り込み急いで本部に戻った。
戻る途中に考えた。
なぜその場で殺さず拉致したのか?
坂尾上は自らの手で殺す為に拉致を
依頼したのか?
どんなに軍資金があっても
ずぶの素人があんなに手際の良い玄人を
雇えるものなのか?
考えているうちに本部に着いた。
張りつめた空気が充満していた。
班部屋にはすでに僕らの防弾ベストと
拳銃が用意されていた。
訓練で身につけたことはあっても、
実践では初めてだった。
防弾ベストとホルスターを装着し、
拳銃を取ると手が少し震えていた。
深呼吸してからホルスターに銃を納めた。
追跡アプリの赤いマーカーはまだ動いてい
た。
織田班長が班員の顔を見渡すと言った。
「これから追跡を開始する。
場所が特定出来次第、二手に分かれる。
俺と小林、志田と平手。
今泉と鈴本は本部でナビを頼む。
信号機の操作なんかもお願いな。
じゃあ行くぞ!!」
僕たち三班はそれぞれ車に乗り込み追跡を
開始した。
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