いささか長居し過ぎた。

僕らはお礼を言い、
玄関で「また今度!」と約束とも言えない
約束を口に出そうとした時、
呼び止められた。


「・・あのねっ。
 2人とも来週の金曜の夜って予定ある?」


「ん~ 今のところないかな」

「俺もないかな」


そう答えると、渡邉さんがチケットを2枚
差し出した。


「正直どうしようか迷ってるんだけど・・・
 志田くんたち一緒に行かない?」


「昨日、バイト先の店長にチケット
 もらったんだけど、どお?」


えっ、誘ってくれてるよね。

マナカを見ると、その目はチケットを
見据えていた。


チケットにはこうあった。


 Vegetable Bar eccentric   
     
 新作ベジタブル・パフェ試食会 
 
 (※ドリンクご注文した方に限ります)
 
 開催日:○月×日金曜日 20:00~

 ※チケット1枚2名様まで有効
 ※当日チケットをお持ちでない方は試食会
  に参加できませんのでご了承下さい
 
 電話番号 xxx-xxx-xxxx
住所 xx区xxx町 x-xx


ベジタブルバー・エキセントリック・・・

なんていう店名を付けたんだ。
エキセントリックな飲食店を想像してみる。
まぁ程度次第ではアリだな。うん。

あれ・・その店の住所って、
歓楽街を通り抜けないと行けない場所に
あるな。


マナカが、(どうする!?)
と目で聞いてくる。


(どうしよ、夜に出歩くとリスク増すよね)

(そこなんだよな、場所が場所だし)

(えーどうしよっ)

(とりあえず保留か?)


「あっ、ごめんね無理に誘ったりして」


僕たちが返答できずにいると、
渡邉さんが少し残念そうに言った。


「いやぁ、そこって歓楽街通らなきゃ
 行けないよねぇ・・・
 いざというとき二人を守れるか
 わからないし・・・・・なあ、ユリナ」


「・・そうだね、歓楽街にいるのは
 ヤモリってわけじゃないし・・・」


ヤモリって・・
何言ってるんだろう・・・
あーあ。相当なチキンだと思われてるよな。
幻滅してそう・・・


「ボディーガードについてきて欲しい
 わけじゃないんだけど・・・」


そう言ってくれるのは
なんか少し嬉しいけど、
絶対にボディガードしなきゃ
いけないんです、仕事ですから僕たち。


「そっかぁ、じゃあ二人で行ってこよっか」


いや、それはやめて下さい!!

そっかぁって、
何を受けてのそっかぁですか?
長濱さん!


「二人だけじゃあねぇ・・・
 やっぱり行くよっ」


「えっ本当に!いいの?」


「実は恥ずかしくて
 言えなかったんだけど、
 パフェに目がなくてさぁ・・・・・
 特にユリナが!」


おいっ!!!その振りはズルいよ。


「・・・そうなんだよねっ。
 僕、下戸だからパフェとか結構好きで・・
 野菜のパフェって食べたことないし、
 楽しみだね・・・ハハハッ」


乾いた笑いが出てしまった。

「平手くん可愛い」と言われて
赤面している自分が恥ずかしかった。
たけど、何が可愛いんだ?
わかんない?



僕らは金曜日の夜出掛ける約束をして
今日の食事会はお開きになった。





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