「俺は母親を早くに亡くしていて、
父親が再婚したんだ。
父とその再婚相手の間に生まれたのが
ユリナ」
嘘です。
「うん。だけど僕が生まれてすぐに
2人とも事故で死んじゃった」
これも嘘です。
「そのあと俺らの引き取り手がいなくて、
結局施設に預けられた」
これは本当。
「僕ら欅園っていう児童養護施設で
育ったんだ」
これも本当。
長濱さんと渡邉さんが完全にフリーズして
しまった。
嘘と本当を織り交ぜて話したのだけれど、
重かったか?
「あー、でもちゃんと養親が見つかって、
俺は志田、ユリナは平手になったわけ」
嘘です。
僕は元から平手で、
マナカは元から志田です。
「別々の養親に引き取られたけど、
けっこうお互いの家を行き来させて
くれたから寂しくはなかった。
父も母も優しいし何でも言い合える」
これは理想です。
「おれの親父もお袋もすげー優しくて
おもしろい人だから(笑)」
これはマナカの理想かな?
「弟の僕が言うのもあれだけど、
マナカって面倒見がよくて格好いいから、
小さい頃憧れだったんだよね」
これは本心です。
マナカを見ると少し驚いた顔をしている。
「マナカが高校卒業して警察官になった
って聞いて、僕も警察官目指そうって」
「それ初耳なんだけど(笑)」
「うん、はじめて言った(笑)」
一通り僕らのことを半分嘘で話し終えると、
長濱さんと渡邉さんは、
ほっとした表情に変わっていた。
「やっぱり2人はすごいよっ」
「うん。すごい兄弟!」
嘘が入り交じった話を褒められるのは、
少し気が引けた。
「話してくれてありがとっ」
そんな二人の言葉に恐縮してしまった。
気がついたら4時間経過していた。
いささか長居し過ぎたみたいだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー