食事は部屋ではなく、宿のレストランにした。
ドライブはふたりだけなので、そのほうが落ち着く。
見渡しただけでもいろんな客が夕食を摂っている。
「さて、もうクルマ乗らないから乾杯ですね」
『そ~ね~、飲みましょう』
食事はたっぷり時間をかけて、大浴場へもゆったり。
部屋に帰ってしばらくすると、彼女も浴場からご帰還。
「今日のワイナリーで多い目に買っておいたので‥」
『いいですね~♪』
肴の用意もなくワインがすすむ。
『ここでひとつだけ、おもしろいからくりを教えてあげましょう。
あなたが幼少の頃、もし自分の意志で時間を止められたら‥
な~んて考えたことあるでしょ?
誰しもが考えるあこがれなのね。
実は、、素晴らしいマジシャン達は、自由に時間を操っているの。
時間を止めて、困難なワザを難なくこなしているわけね。
つまり時間が止まってれば、誰も見てない・感じてないのと同じこと。
自分自身だけが自由に動けるの。
だから厳しくカギをかけた箱の中から男性が外に出て、
替わりに女性が箱に入って再びカギをかける、ってことが容易にできるの。
時間の止まってる間は、マジシャン以外のすべての人が記憶すらないの。
ビデオの一時停止と同じに考えればいいわ。
だからどんなに難しいマジックも簡単にできる・・』
アルコールが入ってる状態、つまり人間に戻った状態で話してくれた。
なるほど‥たしかにその理屈だと、なんにもない畑の真ん中に、
突然トラックがあらわれても不思議じゃない。
「で、、私にそこまでのからくりをお話になって、大丈夫なの?」
『酔ってるからお話できたまで。』
「たとえば‥、、その時間の止まってる空間、
あなたひとりじゃなく、私を連れてって頂くことできないのかな?」
『どうしても行きたいなら、不可能じゃないわ』
『ただし条件があるの』
【続く‥この小説はフィクションであり現実ではない】