バスが駅のロータリーに入る。
半無人になって久しい駅、
昔はこんな大きなバスも
普通に入っていたんだろう。
駅の構内はバスが回転するのに
ちょうど良いサイズ感だった。
タクシーが2台
ヒマそうに客待ちしていたんだけど
とにかくアタマに血がのぼると
そのエネルギーをどこかに発散させないと
収まらない私である。
たった2キロの道のりだ。
結局、重いスーツケースを
ガラガラ引っ張り家まで歩いた。
なにしろばあばが
今年の初搾りの柚子の酢を持って行け
というので
1Lサイズのペットボトルまで
入っているスーツケース。
コマの音が結構うるさい。
ちょっと荒い舗装道路の右側は
豪雨で不通のまま一夏越した
芸備線の線路。
ワンシーズンとり置かれただけで
線路には
草が生えたり木が倒れたり。
や、
このままぬるっと
廃線になったりしないよね。
と、少し不安になる。
実家に着くと母親、
私が心配していたほど
寂しがりもせず
不安がりもせず。
前回会った時と同じ調子で
マイペースに過ごしていた。
なあんだ。
だいぶホッとしながら
入院の荷物とか書類とか
どうなってるか尋ねたり
「なんとなくやってるわよ。」
という母の荷造りを確認したり。
母の"なんとなく"な荷物は
確かになんとなく
という出来栄えだったので
もう一回必要なものと
不要なものを分け、
手続きに必要なものはまとめて
取り出しやすい場所に入れ
足りないものを買いに出かけた。
ゆめタウンのポイントカード
持って来れば良かった。
レジで思っていたら
スッと横から母親がポイントカードを
差し出す。
さすが、ウチの母、
なにしろそれで1000円分の
値引きチケットを手にした我々。
買い物で疲れたらしい母は
「お父さんはどうせ
鯛ばかり釣ってくるんだから
サラダと天ぷらとお寿司でも
買って帰って、
あとは、鯛の刺身で
晩ごはんにしよう」
と、もらったばかりのチケットを握って
お惣菜コーナー。
買い物を終えて
2人ホクホクと家に帰ると
既に父も帰ってきていた。
父、
「これまで釣れたこともなかった
こんなに大きなサワラが釣れたぞ!!」
と意気揚揚。
加えて船頭さんがこんなハマチも
くれたぞ!と
意気揚揚倍増。
サワラは父の手によって
既に刺身となっており
嬉しそうに
「これでまだ1/4の分量じゃけんの。
まだ、あと3/4もあるんだよ〜ん。
お母さん!
このアラも炊いてくれ。」
とサワラのアラを持って
母の元へやってくる。
母、
なんともかんとも…
はぁ〜〜。
父の得意そうな顔を見ると
誰も何も言えない。
確かに本日の父の獲物は
見るからに美味しそうだ。
昔から言うじゃないか。
男と女の間には
深くてくら〜い川がある…。
けどまあ、
ウチの父も亭主も
男として間違ってはおらず
獲物を持ってくる。
と言う役割的に
むしろ優秀な人たちとも言える訳で
まあ、
深い川はあるけれど
決して暗くはない。
母が冬瓜とサワラのアラを
炊いている間、
買ってきた母のパジャマの
裾上げをしながら
まあまあ、
みんな今日やるべきこと
ちゃんと終えて
母の荷物もまとまって
父の魚も美味しく頂いて。
昨日、愚痴をこぼした弟には
ちゃんと顛末報告したし
なんとか無事明日を迎えることが
出来そうだと一安心。
なにしろ、準備と
心構えは勝利への第一歩。
明日からのことは
また明日!だ。
