ある晩、近所の居酒屋に飲みに行った帰り、ラーメン屋さんに
寄ろうと友人と馴染みのお店に行った。
そのラーメン屋さんは銭湯の前にある。
お店に入ると、何だか調子の良い「あんちゃん」が餃子と野菜炒めを
つまみにビールを飲みながら、あれこれ話しかけてくる。
他愛ない世間話に付き合っていると、一緒に行った友人に、なんと!
煙草を一本下さいと言う。![]()
全く初対面の男である。
店主が我々に目配せして首を横に振った。
「あんちゃん」たばこ切らしてるの?
と聞くと、数年前から吸ってないと言う。
後から聞いた話だが、その「あんちゃん」は生活保護を受けている
そうで、月に一度の支給日は必ず店の前の銭湯で昼から入浴し、
この店で酒を呑んで帰るそうだ。
聞くと、他のお客さんに迷惑を掛けることもあるらしい。
病気でも無い、体格も立派な男だ。
私と友人は、折角止めたならタバコなんて吸わない方がいい。
と、言って、その後は友人と話し込んだ。
その「あんちゃん」が店を後にした後、店主が事情を話だして
大層腹が立ってきた。
近所でも有名な怠け者男だそうで、その男が原因で家族が離散し
その後、今般の生活を続けているそうなのだ。
生活保護は弱者の為に国民の税金から補助する制度である。
彼の様な健常者に我々が税金からお金を支払う謂れは無い。
以前、生活の苦しいタクシー運転手の話をテレビで見た。
彼は生活保護者と変わらぬ年収だが、人としてのプライドと
道徳心、他人に迷惑を掛けたくない事から仕事を辞めぬと言う。
近所の私の後輩にも家の事情で中学卒業後、現在に至るまで
ビルの解体などの力仕事をして生業を立てている男もいる。
強く生きるその後輩を男として、人間として立派だと思う。
そんな、一生懸命生きる男たちを見て、仕事に貴賤などない、
働く人は皆尊いのだと思う。
私など、多少のおごりが自身の感覚や行動を鈍らせている。
しかし、それ以前に「ラーメン屋にいた兄ちゃん」の存在には
怒りを通り越し、人としての存在価値を否定したくなった。