~元カレと 交わすメールにふんわりと 笑みがこぼれる 束の間逃避~



ランチの約束からいくつかのメールのやり取りがあった。


他愛のないやり取り。


こんな状況なのに、心が少しふわっとする自分を感じる。


あぁ、浮気の始まりってこんな感じなのかなー。ふと思う。


その反面、数日前に読んだ、ある記事がどこかでずっと気になっている。



“浮気の原因は、相手に対する満たされない心や

上手くいっていない寂しさであることが多い。

その満たされない心を別の人で満たすことは出来ない。

だからしっかり相手と向き合い、話し合うことが肝心”



その通りだった。


職場恋愛だった私たちは、仕事も同じポジションで、同志のような関係だった。


そこから私が別の世界でフリーランスで働くようになり、


1年目にしては好調の出だしで、軌道に乗り出し、正直浮かれていた。


それに対し夫は、応援する反面、嫉妬のような感情を抱いたと言う。


そして、私の強い口調や性格に、自分が合わせているのが格好悪く思ったと言った。


「でもそれを私に話さず、浮気に走るのは夫婦として反則だよ。」


数日前、そう言った私が、今、同じことをしようとしている。


“間違ってる”、と止める私に、“なるようになれ”、と自暴自棄な私がささやく。




電車の中で、鏡をのぞいた。


これから、積み上げた関係を崩すかもしれない自分の顔はどんな風か。


片手でキャップを開け、その顔を見ながら リップグロスを塗った。