「文字のない絵本」 宮川ひろ/作 永田治子/絵 | ぼのぼの日記 くろーばー己書道場

「文字のない絵本」 宮川ひろ/作 永田治子/絵

  今月のお勧めは「文字のない絵本」 宮川ひろ/作 

永田治子/絵(ポプラ社)です。

 おばあちゃんがまなみにしてくれた、自分がまだ子どもだった頃の話は、子供向けの本が1冊も無かった山の暮らしのこと。その中で、文字の無い大きな絵本を読んできたと言うおばあちゃんの昔話に引き込まれていく、そんな内容です。

 ほんわかした文章に、優しい色遣いのおとなしい話。とても素敵な絵本なのに、最初読んだ時、正直に言うと面白さがわかりませんでした。少し話がそれますが、先日伊勢原文化会館で行われた河合隼雄さんの講演会で「最近は、残念なことに家族の物語が無くなっている」「会話が、ただの報告会になっている」とおっしゃっていた言葉。これは”今は、家族同士、心がつながっていない”という深刻な問題のメッセージです。そこで取り上げられたこの絵本。まなみが目を輝かせて聞いているおばあちゃんが語る 裸足で優しく麦の芽をふんであげる麦ふみの話。ひと昔前の人々の暮らしを考えるきっかけにもなります。そして、おばあちゃんを取り巻く暖かい家族の風景。当たり前に便利な生活をしている私達は、どうやら何か大切なものを忘れてきたのでは?そして、あらためてこの絵本の面白さがわかりました。