肉体的説得力

謎のおっさんに話しかけられた。
話を聞くに昔野球のスカウトをやっていたらしい。それがプロ野球なのか高校野球なのかはよくわからないしそもそもマジモンかどうかもわからない。もしかしたらただの野球観戦好きのおっさんなのかもしれない。
ただこのおっさんは俺を見るなり「君は身長172だね」と身長をドンピシャで答えた。まだ175だとか170だとかならいいがまさか俺の公称身長を正確に当てるとはなかなかだということで少し話をしてみることにした。
見ると顔は赤くなっていないし酒臭さもないのでシラフであることはわかった。ただ「俺の目には悪魔がついとってのお」とマッドなことを言い出したため話を始めたのを後悔してしまった。
その後おっさんはどんなバックボーンのスポーツをしていたのかもわかるというと俺の体をジロリと見始めた。しばらくするとおっさんは「君は肩幅が狭いからなにもスポーツをしていなかっただろ」と言ったのである。「違うんです昔は肩幅広かったんですがダイエットして縮んじゃったんです」と言い訳したかったが特にスポーツをしていなかったことは当たっていたので俺は同意せざるを得なかった。おっさんは満足そうな顔でその場を後にしてしまった。
そういえば某試験の面接でも幾度と無く「君はスポーツ経験ある？」「体力面は大丈夫？」「どんなトレーニングしてる？」と聞かれた。もしや俺のひょろい肩幅が彼らに不安視されていたのだろうか。

スポーツをしてこなかったことは今更取り返せないのでしょうがない。ただ「スポーツ経験ないけど体力は今有り余ってます」アピールのためにも肉体改造をする時期になっていることはよくわかる。おっさん理論を使うに肩の筋肉を鍛え上げれば広い肩幅を取り戻し一見スポーツメンに見られるかもしれない。ただ俺はこの大学四年間、肉体改造肉体改造と言い続けあまり成果をあげたことがないのである。一年で80キロあった体重を今66キロまで落としたはいいが筋肉も一緒に消えてしまったのかがっちりピザから中途半端な肉体のやさ男になりむしろこのダイエットはしないほうがよかったのではないかとさえ思い始めたのである。
肉を食えば血圧が上がる、魚を食えば痩せ続ける。これからの季節冷奴が美味しいが昔冷奴と鶏のささみを食いまくっても全然体重が増えなかった時がある。
むしろこの夏は外で地獄のランニングを決行し体重を60近辺まで落とすのがいいかもしれない。ただ俺としては冬のほうがランニングが捗るのである。というかトレーニング全般冬に重点的にやって夏に貯金を全部吐き出してる野郎なのである。
とりあえず新しいランニングシューズはオーダーしている。これを使う時期は果たして夏なのか冬なのかは俺もわからない。