前々から時々だが地震が起きた時のシュミレーションをやっていた。
シンプルなもので揺れがやばそうだったら財布と携帯と保険証の入ったバッグをつかんで裸足で近くの田圃まで逃げ出すのである。
落下物の危険はないが冷静に考えると田んぼまでそれなりに距離がある。
脚力に自信のない俺は焦りすぎて車道で自動車に跳ね飛ばされるだろう。
ただ東北大震災が起きて以来その状況は変わった。なにせ大津波の心配もしなければならないのである。
大津波が襲ってきた時の浸水被害予想図を見てみたが我が地域も含まれており絶望してしまった。
一応小高い山が近辺にあるのだが津波が襲いかかってくる時間までにどれほど辿りつけるだろうか。順調にいっても中腹くらいで遭遇しそうである。
ただしこれは自分が自宅にいる時の話で市街地にバイトなりアニメイトでダンタリアングッズを買い漁っていた場合はこの限りではない。まさに俺の命運は天災が握っているのである。

前々から書きたかったことでもあり俺の志望先の一つに入っている自衛隊の馴れ初めについて。
自分の故郷は香川県であるが昔から香川は四国の経済、そして軍事の中心と位置づけられることが多かった。特に故郷が旧陸軍第十一師団の本拠地だったこともあり軍隊についてとやかく嫌悪感というものは持たなかった。俺のババアの家系は広島・毛利元就直属の武士に端を発するものらしくそのためか軍人、そして血の気の多い人が多かった。ババアの大量にいる兄弟姉妹の内男は全員帝国陸軍の軍人であった。ババアも自分では温厚だと言っているが子供心に相当恐ろしい存在だった。なにかをするたびにすぐにビンタやほっぺたをひねしられる(これは方言なのか?)のだから痛いことがなによりも嫌な子供時代はそりゃ気を使った。親父の場合は一発一発が重かったが俺は速射砲のように繰り出されるババアの攻撃のほうが怖かった。
ババアの親父(義理の曾祖父さん)は陸軍の軍曹辺りだったらしい。詳しい背景は知らないが東条英機が嫌いだったらしく東条内閣ができた時に勝機がなくなったとかなんとか呟いたそうな。そのまま南方に送られてなんとか生きて帰ってはきたが原因不明の病気(それか腸捻転だったかも)で死んでしまったらしい。写真でしか見たことはないが立派な軍馬に乗っていた。なぜか顔は思い出せない。
それ以外にもババアの兄弟や伯父さん(こっちのほうが階級が上だった気がする)が中国大陸でとっつかまって処刑寸前になった話やババアが機関銃乱射から生還した話などなかなか興味深い話がある。
だから俺は昔からババアの昔話はよく聞いていた。爺の話はよくわからない。師範学校のモヤシ野郎(ただ喧嘩無敗らしい)でなんか色々やっている内に戦争が終わっていたらしい。
いつの間にか俺のジジババの話になっているので戻すことにしよう。
戦後も相変わらず防衛の拠点とされた我が故郷には陸上自衛隊第十四旅団が設置されている。あんな人口三万を切ったしょぼくれた街に曲がりなりにも四国の陸上防衛の本拠地があるのである。
こんな環境なので「自衛隊なんてどこにでもあるんだろ」とか「基地があるくらいでなにをそんなアピールしてんだよ」と思っていたがまあこの年になって俺はなんちゅう伝統ある街に住んでたんだと思うようになった。大学でこちらに移ってきた時自衛隊の基地を一目見ようと目指したがなにせ遠い遠い僻地にあるもんだから途中で膝が悲鳴をあげて断念してしまった。アクセス的にも我が故郷は抜群であった。
中学の時総合格闘家を本格的に目指していた男から一緒に自衛隊の試験を受けようと真剣に持ちかけられた時はビビったし家の上空をブルーインパルスが飛ぶたびに「有事じゃ!」と家から逃走する準備をしたり自衛隊祭りの時に戦車のあまりの五月蝿さに疲労困憊したり俺としてはそれなりに上手く付き合っていたのだと思う。
正月に讃岐宮護国神社に参拝しにいくのだがその横には乃木希典を祀った乃木神社がある。親父が王貞治を未だに王選手というようにジジババは未だに乃木希典のことを乃木将軍と言っているから相当なカリスマ性があるのだろう。第十一師団=乃木希典のイメージが強いが乃木が師団長をしていたのはたかだか三年である。日露戦争では乃木ゆかりだからと203高地攻略戦に参加して壊滅状態になったのにもかかわらずその後奉天攻略戦まで参加し(この時は乃木軍と逆進路から追撃していた)なかなか勇猛果敢な戦果を上げた。ただその後満州やシベリアに本拠地を移したりなんなりで我が故郷に第十一師団がいた時期も思いの外短い。それでもなんとかネームバリューがあるのも乃木将軍と日露戦争の奮闘が大きいのだろう多分。
ここまで陸軍及び陸上自衛隊の話ばかりしていたが正直いうと陸軍というものはあまり興味がない。昔から漠然とだが海軍というものを俺は好んだ。そして俺が進学先に選んだこの地は帝国海軍及びその末裔(or残党)の海上保安隊、海上自衛隊に相当な影響を残しているところだったのである。あと忘れてはいけない四国の北に位置するあの一大軍事都市の話もしなければならない。ババアの親類にも少なからず関係しているので。まあそんな感じで次回に回します。あとやっと行政法のアウトラインが見えてきて嬉しい。