第八話 精霊の子
エルプが部屋に戻ってきた時、疲れと呆れが入り混じった表情を浮かべられた。それもそのはず、オフェレンの残骸が床に散らばっていたのだ。ほとんどは精霊のピュミリオによるものだが、エルプには精霊が見えないらしいので、ディンによる行いだと勘違いされたのだ。
「何をしているのですか…」
「お、俺じゃない」
「では誰のせいなのですか」
「えっと…」
手のひらに乗っけていたピュミリオを見るが、呑気に口笛を吹いていた。心の底からにじみ出た怒りに思わずピュミリオの額にデコピンをした。
≪あふっ≫
なんとも言えない悲鳴を上げて前方に転げ落ちた。それを見たエルプはディンを蔑みかけていた。そして肩を落とした。弁解しようにも彼にとって精霊は見えない存在だ。そして原因であるピュミリオは胸を張っていた。頭がおかしいように見られるのも癪なので正正直にエルプに話してみることにした。
「精霊のピュミリオ」
「…幻覚でも見たのですね。早く食事をとりましょうね」
子供のようにあやされて、何も話せず食事をとったのだった。
食事が一段落着いたとき、エルプが目尻を吊り上げた。ディンの方はそれを感じて姿勢を正す。それはサキザに現れる賊についてだった。賊の名前は『紅輪群』と言うらしい。赤い腕輪をしているのが特徴とのことだ。いつも金目のある人々を狙っているので王家のサテラはその条件に見事当てはまっている。そこで彼らは盗賊を崩壊させようと考えたのだ。
エルプとディンは二手に分かれ、情報収集することとなった。主に紅輪群のことだ。ディンが聞いたことには金目のものを狙うこと、作物を略奪することだ。そのなかでも一番気になったことが人身売買だった。そしてサキザの街を歩いていると建物の裏に数名の若者で込み合っていた。あまり人通りもなく、せいぜい三人が肩を並べられるかの広さで、その場を見やると一人の少女を数名の男子が囲っていた。飛び交う罵声に対し、少女は首を傾げている。
「テメェ、なんで逃げた!!」
「逃げた?我は散歩していたのだが」
「…奴隷だってこと、自覚あるのか」
「我は“ドレイ”ではない。イエンだと言っただろう」
『奴隷』という言葉に耳を尖らせ、聞いていた。奴隷と言えば人身売買の紅輪群しか思い当たらないため、思わず彼らに声を掛けた。
「おい」
「あぁ?」
「奴隷って言ったな?」
「なんだ、そんなことかよ。ああ、言ったぜ」
相手は馬鹿なのだろうと思いながら、彼らのうち一人に回し蹴りをくらわす。それを機に彼らはディンに殴り掛かってきた。鍛錬13年の経験あって、懐にしまい込んでいた木刀で一人、また一人と薙ぎ払っていく。その様子を見て彼らのうちの一人が少女を人質に取ろうと彼女の右腕を掴もうとすれば、拒まれた。掴む前にその場に膝を崩し倒れたのだ。
「な、なんだ!」
そうおびえている相手に対し、彼女はこちらに手を向けて何かを唱えだした。
「 曇天にそびえし雷の矢よ
我が声に答え姿を現せ
いでよ 雷魔矢!! 」
すると空から雷の矢が落ちてきた。それはディン以外の若者に当たり、体に火柱が走っていた。思わず木刀を握る力が緩まった。
≪雷魔法か、珍しい魔法使いもいるな≫
いつの間にかディンの肩に乗っかっていたピュミリオがつぶやく。ディンには冷淡に彼に聞いた。
「って魔法は絶滅したはずじゃないのか」
≪そっちでは、な。≫
会話していることに気付いたのか、イエンと言う少女はこちらに向かってきた。木刀を再び握り返すもピュミリオがそれを遮った。彼はイエンに偉そうに話しかけた。
≪こんなところで会えるとは思わなかったな。同胞か≫
「あぁ。我もこんなところまで同胞が来ていると思わなかったぞ」
≪訳あって、この間抜けに恩返ししているところだ≫
間抜けとは自分の事だろう。料理好きでやると決めたことには絶対に遂げる勇気ある若者を馬鹿にしたので、ディンはピュミリオにデコピンをくらわした。先程より幾分強めに。すると後ろに転がり落ちて行った。
「我は雷の精霊、サンダーバードの子、イエンだ。同胞のよしみで以後、よろしく申し上げる」
どうやら彼女はとてつもないほど堅物であった。
おはようございます
絵を更新するといってから結構空いてしまいました
とっても後悔中です
絵のほうはできていたのですが
…線画が納得いかない
ので
載せてませんでした(~_~;)
書いておきながら
やらないという荒業こと最悪
納得いったらにしていただきます
すみません
さて次回の更新は
イエンを扱いましょうね
イエンだけデザイン画が決まっていた子でして
気に入ってます
ただし、私が中二の時に描いていたので
書き直しが必要ですね
…頑張ります!
ではまた日曜日