合わせようとすると失敗する | Star☆Off

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自作小説、書いてます。
ところどころに絵も載せてます、

第七話 可視と不可視(2/2)


そして日が真南に傾いた頃、彼らはお腹の虫が鳴り出した。アルタミラを出てからは街道を歩き、中継点の町であるサキザに着いたのだ。サキザとはアルタミラと違って田舎の町だ。農業が発達して人口も結構存在する。中央広場にはいつも市場が広がり、賑わいを保っている。そこで宿を確保した。案内された部屋に入ると木製の部屋にカーペットが敷かれ、窓からは町の中央広場が見えた。寝具の素材も宿屋ならではの肌触りで一瞬にして夢の中へ移動できそうだ。二人は中を物色して怪しいものがないかどうか調べる。安全を確認するための行いだ。確認を終えたところで部屋に置かれた二つの寝具に二人はそれぞれ腰を掛ける。ディンは窓際の、エルプは廊下側の寝具だ。

「それではこれから情報収集と行きたいところですが、『腹が減って戦は出来ぬ』とのこともあるので、食事をとりましょう」

 それを聞くと安堵をもらし、後方の寝具に倒れこんだ。天井の木目を見据えてひっそりと左の拳を握る。エルプは従業員の人に食事を頼みに一度部屋を出て行った。体を横たわると左手首のブレスレットが光を帯びて輝きを増す。そして目の前には先ほどの精霊の一人が自分の荷物の中から飛び出していたのだ。慌てて彼を引っこ抜くと息を大きく吸い込んだ。緋色の髪でとても愛らしい。家に飾る人形のようだった。夕焼けの目でこちらを睨むと突如暴れだす。

≪俺に気付け、馬鹿!生憎、窒息しかけた!

「いやいや、気づかないって」

 入っていた場所が食材のたくさん詰まっていたところなのだから、と言おうとしたが彼の罵声がそれを許さない。こめかみに力を入れているものの、小動物にしか見えないのだ。そんなことは頭の隅にひっそりとしまい込んだ。

「精霊も呼吸するのか」

≪俺ら、精霊は純粋な空気を食すのだ。密閉空間では生きてはいけない≫

 胸を張って堂々と宣言するとディンの近くに飛んできた。綿が落ちたように寝具に落ちると右手でディンの顔を叩いた。それはまさに糠に釘だった。

「此処にいて大丈夫なのか」

 ここは人の住む町の中だ。自然より澄んでいるとは言いきれない。

 小さな小人は眉を曲げて答える。

≪だが、ここの空気は自然に近しいほど澄んでいる。行動する分には問題ない≫

 小さく飛び跳ねる姿も愛らしいものだった。眠りにつきそうになる体を無理やりに起こすとその人を自身の手のひらに乗っけてよく観察した。見られながらも胸を張り続けていた。

「用件は何だ?

≪…礼、だ。先程助けてもらっただろう≫

 先程、つまり大きな獣の事だろうか。改めて感謝されるのも癪なので自身の荷物から菓子『オフェレン』を取り出した。『オフェレン』とは甘い果実をすり潰し、生地に練り込んだカップケーキだ。隠し味に少々のココアパウダーを入れれば、甘みを引き立たせる。それを小さくちぎって右手で彼に差し出す。首を傾げそれを突く。ディンがオフェレンを少し千切って口に含めば、彼もそれを取って、小さく飲み込んだ。途端に目を輝かせ、勢いよく食べていく。まだ食欲が収まらないのかディンの持つオフェレンを見つめる。ディンはそれに気づいてオフェレンを丸ごと渡すと、また勢いよく食べた。

「気にしなくてよかったのに…」

≪精霊は一度受けた恩を忘れない。…だから俺は此処に、来た≫

 食べるのかしゃべるのかどちらかにしてほしい、そう思っているのも束の間だ。つまり彼は恩を返しに来たのだ。鶴の恩返しのつもりなのだろうか。

 ふと思い出したように彼は顔を上げた。

≪俺はピュリミオ。以後よろしくお願いする≫

 そう言うとピュミリオは寝具の中に潜り込み、すやすやと眠りについた。

 ディンはどうすることもなく、帰りが遅いエルプを待つしかなかった。




こんにちわ

録画しておいたフェアリーテイルを見ながらの更新です

キャラが増えてきて、誰だかわかっていませんが(~_~;)

なんとなく理解してます

この小説も

今のところ10人ほど出ておりますが

これからも増えていきそうですね

いずれ彼らを描きます

次はChristmas小説です

季節感に合っていなかったらごめんなさい

では日曜日