映画『栄光のバックホーム』を観ました。
結末は分かっていたので、物語が始まったその瞬間から、涙が止まりませんでした。
スポーツ映画であり、実話であり、そして病気と向き合う物語。
この三つが重なった時点で、感動は避けられないと分かっていたはずなのに、実際に心を打たれたのは、もっと根源的な部分でした。
試合の結果や記録、勝ち負け以上に描かれていたのは、「生きる」ということそのもの。
必死に前を向き、仲間と時間を重ね、限られた命を全力で生き抜こうとする姿でした。
観終わったあと、しばらく席を立てませんでした。
胸がいっぱいで、言葉が出てこない。
ただ、ぼんやりとスクリーンの余韻に包まれながら、一つの事実だけが心に残っていました。
この世界には、生きたくても生きられなかった人がいる。
夢や希望を抱えたまま、「まだ生きたい」と願いながら旅立っていった人がいるということ。
そう思うと、今こうして息をしていること、今日も目が覚めて、当たり前のように一日を過ごせていることが、どれほど尊いことなのかを突きつけられます。
私たちは、「生きている」というだけで、すでに多くのものを与えられている存在なのだと。
では、その命をどう使えばいいのだろう。
どう生きれば、彼らに恥じない生き方になるのだろう。
この映画は、その答えを分かりやすく示したり、感動を押しつけてくることはありません。
ただ静かに、深く、胸の奥に問いを残していくだけです。
だからこそ、観終わったあとも余韻が消えず、自分の生き方を、そっと見つめ直したくなる。



