木村俊一 『算数の究極奥義教えます―子どもに語りたい秘法』 | 東海雜記
- わからんパワーを炸裂させよう!
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- 著者: 木村 俊一
- タイトル: 算数の究極奥義教えます―子どもに語りたい秘法
世の中には二種類の人間がいます。
- 算数(数学)が好きな人と算数(数学)が嫌いな人。
ちょっと乱暴ですか。決め付けてますか。
これが他の科目だとはっきり二分できない。国語、理科、社会、英語などは好きでも嫌いでもどっちでもいいや、という人が少なからずおります。だのに算数(数学)はわりとはっきりと分かれてしまう。それほど算数(数学)には「勉強」というイメージが付きまとっているんですね。また日常でよく使うものだけに学校を出た後でも縁が切れることがないのですね。
かく言う私めも算数は嫌いでした。
- 苦手なもの、嫌いなものは読書でカバーしてきた私。算数・数学本が目に付くと思わず手にとってしまいます。「読書」の対象ですから、問題集や参考書ではありません。算数本、数学本です。
数学の先生方も「算数嫌いな人が多い」と思ってらっしゃるのか、いろいろ面白い本を書いております。
- 私の書棚にも矢野健太郎さんの本が何冊かあります。
そんな中で最近のお勧めがコレ。
- なにせ「究極奥義」ですからね。しかも数学でなく、算数、というのが嬉しいじゃあないですか。
- 表紙にはアラビアンナイト風な美女のイラストが。これまた
インチキ臭くて怪しげで嬉しいじゃあないですか。
- この本ではストーリー仕立ての前半と解説文の後半の二部構成で、数学ならぬ算数の楽しさを教えてくれます。
数学と算数の違いは人によりさまざまだと思うんですが、私は「手探りで実感できるのが算数」だと勝手に思っております。
- だから
- ・なぜ0で割ってはいけないのか
- ・なぜマイナスかけるマイナスはプラスなのか
- ・なぜ分数の割り算は逆さにしてかけちゃうのか
なんて疑問を
- 「そういうルールなんだ」
- と割り切ってしまうのは数学で、
- 「これこれこうだから」
- と実感させるのが算数かな。ちょっと分かりにくいですか。
- ちなみに「マイナスかけるマイナスはなぜプラス?」の疑問でよく反論として
- 「借金に借金を重ねても借金が膨らむだけやんか(涙)」
- なんて言う人がいますが、この本では
- 「それはマイナス同士をかけてるんじゃなくて足してるんじゃないか!」
- とバッサリ。誤解をといています。確かにその通り。
- かけ算に例えるならば
- 「100円ずつ3人からもらう」
- となりますから、マイナス同士なら
- 「マイナス100円ずつマイナス3人からもらう」
- となり、この場合答えは明確に、、、あれ? ややこしいな。おかしいな。木村さんはもっとスマートに説明してくれてたはずなんだけどな。。。
- 。。。どうやら私もまだ充分にわかってないようです。もう一度読み直そうっと。
さてさて、本書は二部構成となっておりますが、面白いのはストーリー仕立ての第一部よりも第二部の
- 「わからん力(パワー)炸裂!―怒涛の解説編(算数という言葉)」
- の方。 文字通り怒涛のごとくさまざまな問題(先ほどの疑問を含む)を解説してくれています。
- わからん力炸裂! とは解説がわからんようになってるわけではもちろんなく、わからんときはわからんとはっきり意思表示をすること。そして説明を聞いたり自分で考え直したりすることの大切さを言っているのです。
- その実例としてアメリカでの大学での講義中に
- 「4分の1足す4分の1が2分の1になるのがワカリマセン」
- という質問を受けたことを語っています。これが日本なら
- 「そんな計算がワカラヘンなんてとてもじゃないけど聞けないじゃあないか」
- と殻に閉じこもってしまう。そしてそこに引っかかっちゃって後の講義が上の空になる。これがよくない、というんですね。
- 木村さんは黒板にざっと円を描き、それを4分割して説明したそうです。質問した学生も、他の学生も、当たり前のように講義を聴き続けたとか。
- しかし授業中にこのような根本的疑問が出てもきちんと説明ができなければいけないとすれば教師はなかなか大変ですね。
少し難しい式や証明、話も出ますけれども、そこは「ひょいと一跨ぎ」しても大丈夫なように、ちゃんと「ひとまたぎ」の印までついてます。だから安心して読むことができます。
- 算数の究極奥義、身につけてみたいと思いません?