児玉教授の擧げて下さった、正しい除染のマニュアルが、PDFファイルな為見れないという声があったので、日記にあげます。
ご参考になさって下さい。










生活空間における放射線量低減化対策に係る手引き


ふくしまの子どもたちを放射性物質による影響から守り抜くため
わたしたちに今、何ができるかを自ら考え、自ら行動していこう。

福島県災害対策本部
平成23年7月15日


はじめに
現在の生活空間における放射性物質のほとんどはセシウムである。
セシウムは土壌の表面に吸着されているため、雨水(濁水)の流れる場所は線量が高いという特徴がある。
これら線量の高い場所は、通学路などの身近な生活空間にも存在しているが、除染することにより子供たちの被ばくの危険性を減じることができる。
この手引きは、通学路などの身近な生活空間において放射性物質による汚染の除去の
ための活動を行う際に必要な事項等を定めたものである。
各地における活動の成果や反省を踏まえ、逐次改訂を加えることとする。


目 次

第一 地域における放射線量低減化対策を進めるための準備

1 線量の詳細な把握

(1) サーベイメータの操作方法・注意点
(2) 測定の場所や測定方法
(3) 測定結果の記録

2 除染及び清掃活動の準備

(1) 除染及び清掃活動を行うときの服装や個人装備
(2) 除染及び清掃活動で使用する用具類と資機材


第二 除染及び清掃活動の実施方法と発生した廃棄物の処理

1 除染及び清掃活動の具体的な方法

(1) 除染及び清掃活動の手順
(2) 特に注意すべき場所における作業の手順
(3) 除去効果の確認
(4) 作業終了時の措置

2 除染及び清掃活動により発生した廃棄物の当面の処理方法

(1) 可燃物の処理
(2) 今回の活動により発生する土砂等の一時保管場所
(3) 焼却施設又は一時保管場所への運搬
(4) 一時保管場所における保管方法と管理


第三 除染や清掃活動以外の被ばく量低減化対策

1 不用意に近づくべきでない区域の目安

2 学校や外出先からの帰宅時等において励行すべき行動


**************************************************


第一 地域における放射線量低減化対策を進めるための準備

1 線量の詳細な把握

(1) サーベイメータの操作方法・注意点

① サーベイメータを用意の上、サーベイメーターの取扱い説明書をよく読み、
校正されていることを確認した上で正しい測定を実施する。

② サーベイメーター本体に放射性物質が付着しないようビニール袋に入れ、
測定の際には直接土砂等に触れないようにし、サーベイメータの汚染を防止する。

③ 電源を入れて数十秒程度、安定化させた後に測定を開始する。

④ 測定した位置が後からわかるよう、地図や記録用紙に記入する。


(2) 測定の場所や測定方法

① 測定場所
・ 最初に、玄関先などの線量の低い場所で測定し記録する。(バックグラウンドの計測)
測定は、針(値)が安定するまで数十秒そのままの位置で行い、ある程度落ち着いた段階で指示値を記録用紙に書く。針が振れている場合は、平均値を記入する。
(針(値)は常に上下変動しているが、故障ではない。)

・ 土砂や落葉が堆積した排水口や側溝、雨樋、雨樋の直下(雨樋からの排出先の土砂等やコンクリートやレンガなどの表面)、苔、道路の脇で雨水により土砂等が堆積している箇所などに放射性物質が留まりやすいので、注意深く測定を実施する。

・ サーベイメータの針が振り切れる場合はレンジを切り替えて測定する。
(レンジ切り替えがある場合)

・ 最大レンジでも振り切れた場合(30μSv/時で振り切れる装置もあり)には、そのレンジの最大値以上と記録する。(電離箱サーベイメータも準備すると、高い放射線量も測定可能。)

・ そのほかにも付近の代表的な箇所で測定を行う。

② 測定方法

・ 放射線量の高い箇所での測定は、測定対象の表面(1 ㎝)及びその直上50 ㎝、1mの場所とする。

・ 数十秒(20 秒~30 秒程度)は同じ場所で動かさずに測定する。

(3) 測定結果の記録

① 測定結果を基に地域における汚染マップを作製するとともに、除染や清掃箇所を選定し、作業計画を立案する。(別添「汚染マップと作業計画の記入例」を参照。)

② 後で実施する除染活動で対象箇所が分かるように、ガムテープ等により簡単な目印を付けておくなどするとよい。




2 除染及び清掃活動の準備

(1) 除染及び清掃活動を行うときの服装や個人装備作業を行う全員に必要な装備と特定の作業に必要な装備については、以下の装備を参考に状況により判断する。(通常の場合、重装備は必要ない。土埃がたつ所ではジョーロで水まきをし、心配であればマスクをする等、状況により判断する。)

① 作業を行う人数分必要なもの(全員共通のもの)長靴、布手袋(軍手等)、ゴム手袋、作業環境により、長袖、長ズボン、服の上にする腕カバーや足カバー、帽子、マスク(サージカルマスク、防塵マスク等)、タオル

② それぞれの作業を行う人数分必要なもの(行う作業の内容によって変わるもの)

ア 水を扱う作業を行う人
例)高圧水洗浄、ブラシ・タワシでの洗浄等、カッパ(高圧水洗浄作業は上下必須。その他は
下だけでも可)、ゴーグル(めがね)

イ 高所で作業を行う人 例)雨樋、屋上で作業をする人(一緒に作業する人も含む)、ヘルメット、安全帯、脚立・はしご等

   (2) 除染及び清掃活動で使用する用具類と資機材

① 掃除用具
草刈り機、ハンドショベル、草とり鎌、ホウキ、熊手、ちりとり、スコップ、ゴミ袋(可燃物用の袋、土砂用の麻袋(土のう袋))、集めたゴミ等を運搬する車両(トラック、リアカー等)

② 水洗浄用具
ホース、シャワーノズル、高圧洗浄機※、ブラシ(デッキブラシ、車洗浄用ブラシ、高所用ブラシ等)、タワシ(亀の子、スチールウール製など))、水を押し流すもの(ホウキ、スクレーパーなど)、バケツ、洗剤(中性洗剤、クレンザー、洗剤含浸タワシや 10%程度の酢またはクエン酸溶
液等)、雑巾、キッチンペーパー
※ 電源、水源を事前によく確認しておく。

③ その他
救急箱、飲料水、ポケット線量計(作業時の被ばく管理用)など
※ これらはすべて必要というわけではなく、それぞれの作業環境に合わせて用意する。




第二 除染及び清掃活動の実施方法と発生した廃棄物の処理

1 除染及び清掃活動の具体的な方法

(1) 除染及び清掃活動の手順
ゴミ(ゴミ、刈草、落ち葉等)や、土砂等に放射性物質が含まれ、付着していると考えられるため、まずはこれらをできるだけ除去し、次に、水による洗浄を周りに飛び散らないよう周囲から内側へと行い、ある程度洗浄が完了した段階で最後に高圧洗浄することで、その除去の効果を高めることができる。
また、水はけの悪い場所では、水を排除しながら行うようにする。

① 作業の効率化及び放射性物質による被ばく量を低減化するため、班分けを行う。
作業人数が少ないなど分けられない場合は下記の順番を参考にしながら分
担して作業を進める。

ア 清掃班
・ 草刈りとゴミ集め、取り残したゴミを掃き集める。

イ 水洗浄班
・ デッキブラシや洗浄用タワシ、高圧洗浄機を用いて洗浄を行う。

ウ 運搬班
・ 袋詰めされたゴミ、土砂等を仮集積場へ運ぶ。

エ 拭き掃除班
・ ガードレールなど子どもが手を触れることがある場所がある場合、適宜設置する。

② 作業にあたっての注意事項

ア清掃
・ ごみ等を集める際には、丁寧に行い周りに散らさないように作業を行う。
・ 草刈りを行う場合、草は根から取らないとセシウムを除去できないため、地中か
ら1~2㎝を浅くはぎ取る。根についた土はビニール袋の中でよく払い落とし、払い落とした土は、土砂等と同じ扱いをする。

・ 道路は、縁石の土砂、草を丁寧に取り除く。
・ 側溝が非常に深く、底の土砂等から距離が十分とれている場合や、コンクリートの蓋があるものは、無理に作業を行う必要はない。
・ 高いところから低いところへ、外側から内側(排水の流れる方)へ向かって作業を行う。
・ 風上から風下に向かって作業を行う。
・ 最初に落ち葉、ゴミ、コケや草を取り除いておく。
・ 雨水排水孔にはゴミ等がたまりやすくなっており、放射性物質も集まる傾向があるため丁寧に取り除く。
・ 掃く作業、拭く作業は、外から内へ散らさず、取り除くことを基本に作業を行う。

イ 水洗浄
・ 水で洗浄する作業は、ゴミ等を取り除き掃除した後に行い、バケツ水とブラシ、タワシで排水孔に向かって周りから集めていくように洗う。
その際にゴミ等が排水孔にたまったら、流さずに集めて取り除く。
・ 洗浄水が流れる経路を事前に確認し、排水孔までの経路途中のゴミや土砂をあらかじめ取り除き、それらが洗浄水の排水周りに広がらないようにする。

・ 高圧水洗浄では、泥等を水圧で散らさない様 、最初から高圧水で洗浄せずに
通常の水圧で排水孔までの水の流れを確認しながら洗い流す作業を行う。
次に、作業者自身への跳ね返りや周囲に掛かからないように注意しながら高圧水に切替え、周りから中心へ、高いところから低いところ(排水孔)へ向かって押し流すように作業を行う。

ウ 運 搬
・ 直接手に触れないよう手袋を必ずつけて作業を行うとともに、できるだけ衣服に汚れが付かないように留意する。
・ 荷台にシートを敷くなどして、運搬途中での水の垂れ落ちを可能な限り少なくする。

(2) 特に注意すべき場所における作業の手順

① 排水溝、側溝やコンクリートの割れ目などのゴミ等に放射性物質が溜まりやすいので、これらをできるだけ取り除く。

② 水が流れたところや雨だれのある部分は丁寧に取り除く。

③ 波板・トタン板の上や樋などを清掃する場合は、高所作業になるため十分な安全装備で行う。


(3) 除去効果の確認
事前確認で行った測定地点における線量測定を行い、記録するとともに除去効果の判定を行う。

(4) 作業終了時の措置
① 作業に使用した服や手袋等作業に伴う汚れが残っているところは、入念に洗浄を行うとともに、内部線量の測定表土、落ち葉等の除去(集めて丁寧に取り除く) 除染終了後7
被ばくを防止するためにうがいを行う。また、シャワー、お風呂で汗と汚れを流す。
作業に使用した服や手袋等については、以下の写真のようにして取り外す。

② 使用した用具、資材
ア 手袋、マスク、タワシや雑巾など使い捨てのものは廃棄し、一般廃棄物として適正処理を行う。
イ その他の用具類は、使用後よく洗う。また、作業に使用した衣服等は洗濯して再使用することが可能。(普通の洗濯で十分。)

2 除染及び清掃活動により発生した廃棄物の当面の処理方法

(1) 可燃物の処理
除染作業で除去した刈草、落葉及びごみ類等可燃物については、市町村等の焼却施設における焼却処理を原則とする。(土がついているものは土砂等と一緒に一時保管とする。)

(2) 今回の活動により発生する土砂等の一時保管場所土砂等については、市町村と協議の上、地域の実情にあわせて、地域ごとに小規模な一時保管場所を設けるか、市町村等の既存の施設を活用するかなど適切な場所を選定する。

(3) 焼却施設又は一時保管場所への運搬
① 刈草や落葉等可燃物については、市町村等が指定するゴミ袋に回収して、荷台へのシート掛けを確実に行い、運搬中の飛散や流出を防止する。

② 土砂等はできる限り水を切った後に運搬する。

③ 運搬を恒常的に行う作業者については、被ばくを測定し、記録しておく。

   (4) 一時保管場所における保管方法と管理
① 一時保管の方法
敷地境界から十分な距離を確保した上で、次の方法によることとする。
ア ブルー・シートなどによる養生を行い、線量の高いものを中心に置き、周りに線量の低いものを並べた上で、土を20~30㎝かぶせる。
イ コンクリート製の遮へい物(ボックスカルバート等)内に保管する。

② 定期的な管理
一時保管場所には人がみだりに立ち入ることのないように囲いを設け、表示をするとともに定期的に線量を測定し、記録しておく。



第三 除染や清掃活動以外の被ばく量低減化対策


1 不用意に近づくべきでない区域の目安
雨水が集まりやすい箇所や雨水の排水溝(特に土砂等が堆積している排水孔の上部)、樹木の下で草等が繁茂している場所、落葉等が堆積している場所などは、放射性物質が集積しやすく高線量を示す場合があるので、できるだけ近づかない措置を講じる。

2 学校や外出先からの帰宅時等において励行すべき行動
原則として清潔・清掃を心がけ、具体的には以下の項目を励行するようにする。

① 手や顔をよく洗い、うがいをする。
② 土や砂を口に入れないように注意し、土や砂が口に入った場合には、よくうがいをする。
③ 靴の泥をできるだけ落とす。