先日、NHKクローズアップ現代「不登校12万人のかげで~広がる子どもの睡眠障害~」を見ました。
放送の19時半~20時というのは、我が家の息子をちょうどお風呂に入れて20時半に寝かすために、集中して見られないので、録画してみました。
30分の番組ですが、3時間以上かけて、メモをとりながらじっくり見ました。
そもそも私が「+Sleep(プラススリープ)女性と子どもの眠育サロン」を始めようと思ったきっかけは、私が所属している、日本睡眠改善協議会での研修で、たびたび子どもの睡眠状況が悪化していることを聞いて問題意識を持ったからです。
ちょうど私が睡眠改善インストラクターの資格をとった2011年というのは、私の息子が自閉症とわかってから半年くらいしか経っていなかったこと、その上、重度のてんかん発作を起こし、薬が合わなくて、しょっちゅう倒れては入退院を繰り返していた頃でもあり、時を同じくして東日本大震災が起こり、入院生活や日常生活も大変不安の多い時期でもありました。
そんな息子のために、生活リズムだけはしっかりとさせたいという思いから、睡眠をたっぷりとらせて、日中は元気に過ごしてもらいたいという母心から始まったのが、「眠育」でした。
正直、子どもに適正睡眠時間を確保するのは、親の努力がかなり必要で、大変なことは間違いありません。今は特別なことがあるとき以外、極力夜の外出もほとんどできませんし。
しかし、親の責任でやらなければいけないことは最低限、この「生活リズム」をきっちり作ることだと私自身思っているのです。
私は資格をとってからも、常に睡眠の正しい知識を得ようを勉強を続けていたのですが、だんだん、他の子どもたちの睡眠にも目が向くようになりました。
私の息子だけでなく、他の子どもや、そしてママも正しい睡眠の知識がなく悩んだり戸惑っているかもしれないということ。
そして、最新の科学的知見に基づいた正しい睡眠の知識を、同じ子育てママの私が伝えたり、サポートしたいという気持ちが強くなり、+Sleepは発足したのです。
放送のゲストには、日本睡眠改善協議会の理事の白川修一郎先生が出ていらっしゃいました。私は白川先生のところで勉強してきました。
私は日本睡眠改善協議会の睡眠改善インストラクターの資格を取っているのですが、今年は5年目となるので、秋の上級資格取得を目指しているところです。
今回の放送では、小中学校で今、12万人もの不登校の子どもがいて、その原因は生活リズムの乱れによるものということがわかっているというのです。
それは、夜の塾や朝の部活動の朝練で、本来必要な睡眠時間より2時間ほど少ないという実態を浮き彫りにするものでした。
そして、朝起きたくても起きられないので、どんどん起きる時刻が遅くなって、睡眠のリズムが狂ってしまうという「概日リズム睡眠障害」と診断される子どもが増えているそうです。
「概日リズム」とは、このブログで何回か出ていますが、「サーカディアンリズム」のことです。
約24時間のリズムなのですが、体内時計は朝の強い光でリセットされるので、起きる時刻が遅くなればなるほど光を浴びるタイミングを失ってしまいます。すると、体内時計はリセットされずに、どんどん睡眠のリズムが後ろへずれ込んでしまいます。
ですので、睡眠改善の治療のために病院に入院する場合も、朝に強い光を浴びて体内時計をリセットさせるために「高照度光治療」が行われています。
私たちは、普段の生活の中で、朝起きたら必ずカーテンをあけ、朝の強い光を浴びて体内時計をリセットする必要があります。これをないがしろにしてはいけません。
しかし、子どもたちの睡眠障害による自律神経の乱れの弊害はとても深刻なものでした。
一度睡眠のリズムを取り戻す治療のために入院をして、良くなったと思って退院しても、日常生活に入ると再び体内時計が狂って朝起きられなくなるという実態が浮き彫りになりました。
また、睡眠不足は糖尿病になるリスクが高まるということも放送されていました。
わかっているのは、子どもたちは何も怠惰のために起きられないというのではなく、本当に心と体が言うことをきかないほどに、睡眠のリズムが狂っていて、学校に行きたくても行けない現実があるということに目を向けてほしいのです。
私は今、体内時計のしくみにとても深い関心があります。きちんと科学的な知見から体内時計を知り、普段の生活に落とし込んで睡眠改善をするため、真剣に取り組んでいるところです。
子どもの心と体と発達のために、睡眠はとても重要なのです。
大人はつい、子どもの生活リズムを大人に合わせようしてしまいます。大人の私がこれぐらい寝ているのだから、子どもも大丈夫と、大人が睡眠の知識すらないままに子どもの睡眠リズムを知らぬうちに奪っているという事実が背景となっているということを多くの方に知っていただきたいです。
子どもが睡眠障害になる前に、大人がきちんと睡眠の知識を身に着けて、子どもの睡眠を守るという活動がより一層必要になると感じました。
そうしないと、大変なことになってしまう。小中学校の不登校のつまづきは、大学生になっても続きます。もしくは大人になっても一生続く・・・。ひきこもり、バーンアウト。
睡眠を軽んじると恐ろしいことになるということに、そろそろ気づなかなければいけない時代になってきているのです。
私は、未就学児、つまり乳幼児からの早期のサポートが必要になってくると感じているのです。
ママも子どものために睡眠の知識を学ぶ時代が来るでしょう。
その知識は決して無駄になりません。睡眠を正しく知ることは、体のすみずみにある本来のリズムを活用して生活することですから、病気にならない体を自ら育むということにもなるのです。
番組では、社会が子どもの睡眠を守るという取り組みを地域ぐるみで行っている活動も紹介していました。
元校長をされていた、NPO代表の前田勉さんは、三池輝久医師に協力を仰ぎ、地域の小中学校の子どもの睡眠表をチェックして、睡眠の問題のある子どもの親への睡眠の個別面談を行い、習い事のある夜の過ごし方をアドバイスしているそうです。
その面談のあと、子どもが睡眠時間を獲得できるように工夫しているご家庭を紹介していました。
地域のスポーツクラブ活動の終了時間をなるべく早く終わらせるように教育委員会に働きかけたということも紹介されていました。
地域や学校、つまり大人が中心となって、もっと大きな視野や、社会的な活動として「眠育」を普及させていかなければ、睡眠に対する社会の甘い認識は変わらないと感じました。
短時間睡眠信仰もあるのですが、私はきっちり睡眠をとることは脳と心に重要だと感じています。だから、本当に真面目に地道に「眠育」活動をしていこうと、迷わないで進んでいこうと、放送を見て、気持ちが引き締まる思いがいたしました。
とても良い放送でした。
私が行おうとしている+Sleep(プラススリープ)の活動を通して、「眠育」をより身近に感じてもらうことこそが、使命だと番組を見て感じました。
最後に、三池輝久医師の本は子育てママ世代にとても読んで欲しい本がありますのでご紹介させてください。
この2冊は大変おすすめです。
『子どもの夜更かし脳への脅威』
『子どもとねむり 乳幼児編 良質の睡眠が発達障害を予防する』