前回は、サーカディアンリズム(概日リズム)と光の関係をお伝えしました。
おさらいすると、
・強い光は、「朝」に浴びることで、24時間にリセットできる
・生体時計は脳の視床下部の「視交叉上核」にある
さて、今回はその「光」と「深部体温」との関係をご説明したいと思います。
「深部体温」ってなんだか聞きなれませんね。
「深部体温」というのは直腸温と言って、内臓の体温のことを言います。
入眠時には、この深部体温が下がり、眠くなるのですが、この下がり方が急激になるほど眠りやすくなります。
朝の覚醒に向けて、この深部体温は上がっていくしくみです。
眠くなるときは、体中の血液が手足に集まり、放熱することで血液を冷やし、体中に戻ったときに急激に1℃くらい深部体温が下がって、眠くなります。
↓過去ブログ参照
そして、この深部体温と密接にかかわるのが、光です。
深部体温は
・夜に光を浴びると、深部体温リズムが後退する
・朝に光を浴びると、深部体温リズムが前進する
という特徴を持っています。
光を浴びるタイミングが重要。
朝か夜かで、睡眠と覚醒のリズムにも影響を及ぼしてしまうのです。
夜間・交代勤務でお仕事をされている方は、強い光を浴びるタイミングを意図的に操作し、睡眠と覚醒のリズムをずらすということも、できないわけではないのですが・・・。
それはまた!
この光を浴びるタイミングですが、私たちが普段やってしまいがちな習慣を少し変えるだけでも睡眠の質を上げることができます。
みなさんは、夜寝る直前まで、スマホやパソコン、テレビをしているということはありませんか?
実は私も最近やりがちなので、夜は意識的にデジタルデトックスしないとと、反省しているところです。
「ブルーライト」という言葉を最近耳にすることはあるのではないでしょうか。
電子機器はLEDの技術が進化したので、明るくはっきり見やすくなってきていますよね。
とくに、青色LEDが発明されたことで、色の三原色と呼ばれるR(赤)G(緑)B(青)の組み合わせで全ての色を再現できるようになりました。
RGBを全て混ぜると白い光になります。
この、白っぽい光、夜浴びると睡眠にとっては良くないのですっ!
光とは、強度分布で表すことができます。これを「光のスペクトル」と言います。
「光のスペクトル」は、波長が短い紫外線(目には見えない)、目で見ることができる可視光(400~800nm)、波長が長い赤外線(目には見えない)という強度分布です。
「ブルーライト」は、波長が短く、ちょうど可視領域と紫外線の間くらいに位置し、波長は380~495nmです。
紫外線って、皮膚や目にダメージを与えるので有害とされていますよね?
「ブルーライト」はこの紫外線に近く、エネルギーが強い光のため、身体の健康への影響が問題となっているのです。
身体への健康被害は、眼精疲労で目がショボショボしたり、かすんだりということがあります。
それに加えて、睡眠に及ぼす影響が大きい のが問題になっています。
この強い光を夜に浴びることによって、深部体温リズムが後退してしまい、睡眠と覚醒リズムが狂ってしまったり、質の良い睡眠をとることができなくなります。
そして、寝る前に精神活動をバリバリしすぎると、脳が興奮してしまい、なかなか寝付けません。
副交感神経が優位にならねばならないときに、交感神経が優位になってしまう。
眠れたとしても、熟睡感が得られず、せっかく寝たのに朝スッキリしないことも。
あと、蛍光灯の光も睡眠には良くありません。
夜煌々(こうこう)と明るい部屋にいる方は、ご注意くださいね。
大人の方は、夜遅くや寝る直前のコンビニはなるべく避けてください。
赤ちゃんやお子さんの就寝時にも気をつけてあげてください。
夜寝るときに、天井から照明が降り注いでいませんか?
とくに寝返りのできない赤ちゃんは、モロに光の影響を受けすぎてしまいます。
小さなお子さんの睡眠習慣が気にかかるママさんは、夜の照明を薄暗くして、間接照明などにしてみるのもおすすめです。
私もデジタルデトックスとして、「 寝室にスマホを置かない! 」ということをしてみます。
夜間の充電は別の部屋にして、目覚まし時計代わりに使わない。
睡眠をとるか?スマホをとるか?
ですっ。
次回は、夜はどのような環境で過ごすと睡眠が取りやすいかということについてお話します。
光とメラトニンとの関係も明らかにしていきたいと思います。
<光を味方にして質の良い睡眠をとるレシピ>
・強い光は夜見てはダメ。特にスマホのブルーライトはNG!夜寝る前はデジタルデトックスをしましょう。
・朝の光は朝浴びるのが◎!
・赤ちゃんの夜の睡眠環境に気をつける。明るいところで寝かしつけていないかチェック。