膝内側側副靱帯(以下膝MCL)損傷は、

スポーツで起こる膝の外傷の中でも

発生頻度が比較的高いです。

膝MCLが損傷すると、関節の不安定性が出現し、

それが基で膝機能の低下や異常動作が

出現しやすくなります。

加えて損傷した靭帯の周囲に腫脹が広がるため、

周りの組織との滑走不全

(組織間で摩擦が起こりやすい状態)が

生じやすくなります。

この滑走不全が曲げ伸ばし等の可動域制限や、

運動時の違和感を引き起こすこともあります。

今回はそんな膝MCL損傷について、

詳しく解説していきます!

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1.膝MCLとは

2.発生メカニズム

3.応急処置

4.リハビリから復帰へ

5.予防トレーニングのご紹介

 

 

1.【膝MCLとは】

 

膝MCLは大腿骨の内側上顆という突起から斜め前へと

走行し、脛骨の内側顆という突起に付着します。

(筋や腱の下に隠れてしまってわかりにくいですが、

下記図の青い部分です)

 

 

膝MCLは膝の外反(X脚になる動き)と外旋

(つま先を小趾側に捻る動き)が過剰になりすぎないよう、

強力なストッパーとして働きます(下記図参照)。

 

 

 

2.【発生メカニズム】

 

膝MCLは膝の外反と外旋のストッパーとして

働くことを説明しました。

つまり、膝MCL損傷はこの外反や外旋といった外力が、

靱帯のストッパーとしての能力を超えて加わると

発生してしまいます。

膝MCL損傷は、膝MCLのみが損傷する単独損傷と、

他の靭帯等の損傷と合併して生じる

複合損傷に分けられます。

単独損傷の多くはコンタクトプレーで生じます。

例えば、膝の外側からタックル等を受け、

膝外反が強制されてしまった場合です。

ノンコンタクトでの発生例としては、方向転換の際に

スパイクが芝に取られてしまい、膝外反・外旋の力が

共に強く加わってしまった場合等が挙げられます。

複合損傷は前十字靭帯(以下ACL)損傷と

合併して生じることが多いです。

ACLと膝MCL、そして半月板が一度に損傷してしまうことを

アンハッピー トライアド、もしくは不幸の三徴候と言い、

こちらは復帰までに1〜2年ほどかかってしまいます。

 

 

3.【応急処置】

 

炎症による周囲組織の二次的損傷を最小限に抑え、

痛みを落ち着かせるために、まずはアイシングを行います。

膝MCLの周囲には鵞足や内側広筋、半膜様筋や膝窩筋

といった筋などの組織が多く存在します。

腫脹が大きく広がってしまうと、痛みが引いた後も

膝MCLとこれらの組織との間で滑走不全が生じ、

可動域制限や動作時痛の原因になることもあります。

RICE処置をしっかり行い、腫脹の発生を

最小限に食い止めましょう!

アイシングについての詳細な方法は

下記Instagramの投稿をぜひご参考下さい。

https://www.instagram.com/p/CykMshPvWvb/?igshid=MzY1NDJmNzMyNQ==

氷嚢を当てる場所は膝MCLの真上です!

 

 

4.【リハビリから復帰へ】

 

膝MCLの単独損傷の場合、原則的に保存療法

(手術ではない治療)となります。

また、損傷の重症度によって目安となる

復帰時期が異なります。

I度は炎症や痛みが消え次第、可及的に復帰が可能です。

II度は4〜6週間、Ⅲ度は8週間以降での復帰を目指します。

部分断裂(Ⅰ〜Ⅱ度)では日常生活において

装具やテーピングを行うことはあまりありませんが、

痛みや不安定感がある場合には

1〜2週間ほど行うこともあります。

完全断裂(Ⅲ度)の場合は膝にストレスが加わらないよう、

装具を1ヶ月ほど装着します。

ただ、その期間中可動域制限は設けず、

歩行も可能とします。

 

リハビリのポイントは以下になります。

①できるだけ早く炎症を落ち着かせること

②膝のアライメントと可動域、筋機能を改善すること

③両脚および片脚スクワット等の基本動作を安定させること

上記を炎症や痛み、靭帯の修復度合いに合わせて

段階的に進めていきます!

 

 

5.【予防トレーニングのご紹介】

 

 

 ①股関節ストレッチ

 

動作中に膝が内側に入ると、膝MCL損傷の原因となる

過度な膝外反につながりやすくなります。

こちらはその予防のために行いましょう!

脛の内側と肘を地面に着き、膝が恥骨よりも

上にくるような姿勢を取ります。

背中を丸めないようにしながら、お尻を後ろに向かって

リズミカルに突き出していきます。

10回×2〜3セット行いましょう。

 

 

 ②ヒップリフト+チューブ

 

こちらは膝外反に抵抗するための筋力を

鍛えるトレーニングです。

チューブを膝のお皿の上に巻き、踵に体重をかけながら

お尻を挙げます。

膝が内側に入らないように気をつけて下さい!

10回×3セット行います。

 

 

 ③内側ハムストリングストレーニング

 

動作中の過度な膝の外旋を防ぐために、

この動きに拮抗してくれる

内側ハムストリングスの機能を高めていきます。

膝を曲げる動きと、つま先を内側に捻る動きを

同時に行いましょう!

15回×3セットの負荷で行います。

 

 

 ➃.壁押し片脚スクワット

 

片脚で行う動作の安定性を改善するために行います。

スクワットする側と逆の腕で壁を押し、その反力に

抵抗するように体幹や骨盤を安定させつつ

片脚スクワットを行います。

10回×3セット実施しましょう!

 

既に膝MCLを怪我したことがある人も

まだ怪我をしていない人も

是非チャレンジしてみてください!!

 

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