学習塾でも、スポーツでも、他の習い事でも、
「保護者は口を出さないでください」
「こちらを信じてお任せください」
という指導、けっこう多いと思います。
私自身は、保護者にはどんな口でも出して欲しいし、私を信じて任せきりにしないでほしい、というのが本音です。
やはり、保護者様がしっかり見守って考えてくださることで、いっしょにより良い方法が考えられますし、なんでもいいから口を出してもらったほうが、要望も汲み取りやすいからです。できることはできるし、できないことはできないという説明もしやすくなります。
信じきってしっかり実行してくださる保護者様も多いので、逆にすごく緊張感を持って仕事をしています。「プランおまかせ」とか、すごい緊張しますよね…
指導者側からの
「信じてお任せください」
「本人に悪影響なので口出ししないでください」
は、特に、保護者がその道の初心者であればあるほど、自覚なさそうな上から目線まで加わってくる、というのも「あるある話」だと思います。
また、保護者が経験者ゆえに指導者と衝突するのもあるあるですね。
空気を読んで「親は手を出していません」という体を装いながら、指導者に相談できずに悩んでみたり、コソ練やダブスクありきの「隠れガツガツ」になってみたり………。
教育産業あるあるです。
そうなると「諦め」にも近い感情で「割りきる」。
学習塾にしろ、スポーツチームにしろ、芸術系習い事にしろ、組織に所属することや、システムを買うことに必要性があって、指導なるものにはもう期待を寄せない。「籍を置くこと」が最大の目的なので、「もっと合う指導」は別に用意する。
物理的にはそんなに悪いことではないと思います。
お金や時間はかかるけど、結果さえ出れば全てうまくいく、Win-Winの関係だと思います。
教える側は、指導の手間は省けるのに結果という名誉は手に入る。教えられる側は、指導者の顔を立てながら、自分の好きなようにできて、結果が出れば所属先での立場もよい。
「口出し禁止」
「ダブスク禁止」
を建前に掲げておけば完璧です。
つまり、実質の指導者が、親だろうがダブスク委託先だろうが、「影の指導者」の存在を封印しておけば、100%お互いの成果にすることができるからです。
そういう宣伝は実によく存在しますよね。
「急に伸びたあの子の秘密」みたいな。
あれです。
影の指導者ポジションをアピールして勧誘するヤツです。結果が出れば次々客があらわれます。もし失敗しても心の中で恨まれる程度ですみます。なんせお客自身の建前が「他からの指導は無い」なんですから、まず表面化することがありません。
私自身も「影」を引き受けることは多々あります。
塾フォローってやつですね。
うまくいくときといかないときがあります。
最初に戻ります。
私自身、教える立場としては、「こちらを信じてお任せください」とはあまり言いたくないですね。(任されても困るというのが正直なところです。)
それを指導者が言うときは、依頼者側に、任せるに値しない、あるいは、任せて本当に大丈夫なのかしら、という不安な空気がすでにあって、それを打ち消すために指導者自身が発していることがほとんどだからです。
生徒側から本当に任せたいと信頼されていたら、あえて「信じて任せろ」というセリフを自分から言うような状況にはならないはずなのです。
それどころか、信頼してくれている生徒に対して、自分の指導に足りないところがないか振り返り、別の指導者の意見を聞いたり、もっと保護者としっかり打ち合わせしようとしたりするでしょう。
「口出ししないで」
「任せて」
は、どうも生徒に信頼されていないなあと感じているからこそ言ってしまうのだと思います。
勧誘時に言ってる場合は要注意。
安請け合いは信頼できません。
信頼されていないことにうすうす気づきながら、それは保護者や生徒が、ものを知らなくて、愚かで、わかっていないからだとみなし、たいした説明もできずに「任せろ」という。
今どきは、だいぶんそんな指導者は少なくなってきたんじゃないかと思います。
少なくとも、そんな勇気、私自身は一生持てそうにもありません。