競泳は、習い事としてスイミングスクールは人気があり、学校の体育でも水泳に取り組むことなどから、とても馴染み深いスポーツの一つだと思います。
しかし、週1~2回の習い事として取り組んだ場合と、競技として取り組んだ場合では、速さに対する感覚が変わってきます。
前の記事で「ベストタイムでも勝手に不機嫌」というのは、私自身、速さに対する感覚が変わってしまっているのが原因です。
それをわかりやすくしてくれるのが資格級です。
水泳資格級とは、日本水泳連盟が制定している、全国統一の泳力評価基準です。年齢区分毎、種目・距離毎、男女それぞれタイムと級が定められています。
学校でも取り組む50mクロールがわかりやすいので例に挙げます。
Kさん(小6)の場合、女子12歳の資格級を見ます。
女子12歳
自由形50〜200m
資格級 | 50m | 100m | 200m | |
---|---|---|---|---|
AA | 15 | 26.10 | 56.53 | 2:01.87 |
14 | 26.55 | 57.52 | 2:04.13 | |
13 | 27.01 | 58.52 | 2:06.38 | |
12 | 27.46 | 59.51 | 2:08.63 | |
11 | 27.92 | 1:00.51 | 2:10.88 | |
A | 10 | 29.11 | 1:03.10 | 2:16.39 |
9 | 30.29 | 1:05.69 | 2:21.90 | |
8 | 31.48 | 1:08.27 | 2:27.41 | |
7 | 32.67 | 1:10.86 | 2:32.92 | |
6 | 33.85 | 1:13.45 | 2:38.44 | |
B | 5 | 35.04 | 1:16.04 | 2:43.95 |
4 | 36.23 | 1:18.63 | 2:49.46 | |
3 | 37.42 | 1:21.21 | 2:54.97 | |
2 | 38.60 | 1:23.80 | 3:00.48 | |
1 | 39.79 | 1:26.39 | 3:05.99 |
小学校の体育では、6年生女子なら50mクロールが50秒を切っていれば水泳は得意なスポーツだと言えると思います。
だから、たとえ1級でも、資格級を得られるスピードはけっこう速いです。
小学校の体育や、スイミングスクールの月末テストで30秒台なら、やはり速いと言えるのではないでしょうか。
しかし、全国大会であるジュニアオリンピックカップは11級くらいが目安なので………
(第42回全国JOCジュニアオリンピックカップ春季水泳競技大会参加標準記録
12歳女子
短水路 27.92
長水路 28.25 )
もうそれはめちゃくちゃ速いです。
資格級は、表のとおり、1~5級までがB級、6~10級がA級、11級~15級がAA級と分かれています。
1級をクリアできれば、競泳選手としての始まり感はありますが、正直、選手としては話になりません……
A級にもなれば、泳ぎ方にも「競泳選手」という雰囲気が出ている気がします。
(個人の感想です。)
また、選手活動を全くせずに、例えば週に1回1時間のスイミングスクールのレッスンのみで、持ちタイムをA級にあげるのはかなり難しいと思います。
競泳選手としてけして速いとは言えなくとも、競技としてじゅうぶん以上に成り立つのが6級というのが私の個人的イメージですが、6級では参加標準記録を切れない公認大会も多いです。
次に、Rさん(中2)の場合です。
女子14歳の資格級を参考にして考えます。
女子14歳
自由形50〜200m
資格級 | 50m | 100m | 200m | |
---|---|---|---|---|
AA | 15 | 25.34 | 54.96 | 1:58.65 |
14 | 25.73 | 55.79 | 2:00.34 | |
13 | 26.12 | 56.62 | 2:02.02 | |
12 | 26.52 | 57.46 | 2:03.71 | |
11 | 26.91 | 58.29 | 2:05.40 | |
A | 10 | 27.91 | 1:00.47 | 2:10.12 |
9 | 28.91 | 1:02.65 | 2:14.84 | |
8 | 29.90 | 1:04.83 | 2:19.56 | |
7 | 30.90 | 1:07.01 | 2:24.28 | |
6 | 31.90 | 1:09.19 | 2:29.00 | |
B | 5 | 32.90 | 1:11.37 | 2:33.71 |
4 | 33.90 | 1:13.55 | 2:38.43 | |
3 | 34.89 | 1:15.73 | 2:43.15 | |
2 | 35.89 | 1:17.91 | 2:47.87 | |
1 | 36.89 | 1:20.09 | 2:52.59 |
逆にいえば、3級以下の泳力だと出場があやしいです。
「県大会に出られる」をどの程度「すごい」と受け止めるかは人それぞれだと思います。
前の記事の試合は、区分の7級が出場資格でした。ある程度参加者を絞っているという感じです。
速い遅いの感覚が、学校の体育のタイム測定とは違ってくるという話でした。
それはどのスポーツでもそうなんだと思います。
スポーツにとどまらず、例えば教科学習や、器楽演奏などの芸術もそうです。
できるできないの感覚、上手下手の感覚が、取り組んでいる人ならではのものになる。
書写書道も…なのかな。
ジュニアオリンピックカップのラインは11級。出場できる選手が全国的に見ればたくさんいるからこそ、このラインに引いてあるのだとも言えるでしょう。
ということは…さらに決勝レベルともなれば………いかに競泳日本代表の選手がすごいか、わかっていただけると思います。
スポーツとの向き合い方を、競泳の選手活動を通してよく考えさせられます。
その機会があること自体がありがたいことなのだと思います。