立教大学在学中、池袋のボロアパートに住み、朝早く立教大学構内をよく散歩していた。


外人教授の住む洋風建築が並ぶキャンパス西端から、ほぼ中央に位置するチャペルに向かって、プラタナスの道があった。


この並木道で、朝の礼拝に出かける、立教学院のチャプレンで、「鉄神父」というニックネームの、竹田鉄三司祭とすれちがうことがあった。


「鉄神父」は俳句をよくし、後年「鉄神父俳句集」が出版された。

また、軽妙な随筆を書き、礼拝での「説教」は短い方が良いというのが、彼の信条であった。


ある朝、呼び止められて、

「この間、奈良を旅行してきたのだが、君のような顔をしていた人が田んぼ道を歩いていた・・・。その時にできた句だけどね・・・」

『春風や埴輪のような人の顔』

と言って立ち去った。


四国の田舎から出てきたばかりの私は、口を開けてボンヤリ歩いていたのだろう。