中指を傷つけてしまった。
やきとりの「福ちゃん」の暖簾をくぐり、いつものように、出入り口に近いカウンターの端に席を取った。
生ビールを注文するとドレッシングが僅かにかかった生のキャベツが出てくる。
「今日は、スープ餃子とジャーマンポテトと焼き鳥を・・・・焼き鳥はレバーと皮とベーコン巻き、2本ずつ」
大谷洞で汗を流してきたので、ビールがうまい!
ここの生ビールは鹿屋で一番と保証されているそうだ。
付け出しのキャベツをバリバリ食べていると、鶏になったようである。
この店は、おやじさんの「やきとり」と、おかみさんの「手料理」と、息子の「ビール・焼酎・酒・ワイン」で構成されている。店の作りも、カウンターに座ると、真ん前の棚には、焼酎と日本酒がズラリと並んでいて、窓に面した左隅には親父が無口に「やきとり」を焼いていて、右の一角にはオープンキッチンがあって体格の良いおかみさんが堂々と調理しているのである。
息子には美人の許婚がいて、注文をとったりサービスしたり、息子と一緒に働いている。
おかみさんが「スープ餃子」を持ってきて、耳打ちする。
「ジャガイモがなくて、今、蒸かしてるから、20分くらいかかるからね・・・」
中ジョッキ2杯ですっかり良い気分になって、アパートに帰って玄関をあけようとするのだが、何時ものように鍵がスムーズに抜けない。力を入れて引き抜いた拍子に鍵がキーホールだーから取れて、その時に中指を傷つけた。
化膿しなければよいのだが・・・・・・。