前二回に渡って「誰が悪人なのか」について考えましたが

わたしはもっと気になっている問がありました。それは



「なぜみんな孤独なのか」



です。

この物語の登場人物は、みな孤独だと思うのです。

祐一は言いました。

「本気やった。本気で誰かに出会いたくて。」

彼は彼を受け入れてくれる誰かを探していたのです。

また、光代も言いました。

「本気やったんよ。」

光代もまた自分を受け入れてくれる誰かを探していたのです。

命を落とした佳乃も孤独だったと思います。

同じ寮に住み、頻繁に食事も共にする同僚がいながら、実は心を開いていない。

思いを寄せる増尾圭吾との距離は詰められず、出会い系サイトで相手を探す。

彼女もまた自分の心を開ける人がいない、孤独なひとりだと思います。

次、増尾圭吾。彼も孤独なひとりだと思います。

彼には取り巻きがたくさんいますが彼らがいないと寂しい。

自分から離れてほしくないから、注目してほしいから、くだらない話で盛り上がります。



みんな孤独なのです。



冒頭の問いは解決しておりませんが、ひとつの命題に行きつきました。それは



「孤独な人が悪人になるのではないか」



ということです。

祐一をみてください。彼は光代と出会う前に佳乃をあやめてしまいました。でも光代と出会ってから彼は変わりました。

それは彼自身が口にしています。

「(佳乃を殺してしまったことは)仕方ないと思っていた。光代と出会うまでは。

でも光代と出会って、とんでもないことしてしまったんやって。」

(例の如く記憶を頼りに再現。)

彼は光代と出会って(=孤独ではなくなって)自分の悪に気づいたのです。



人は孤独だったら、誰も心を開ける人がいなかったら

自分の頭の中だけで生きてしまう。

そうすると、ものの善し悪しも考えられなくなり、誰にも相談できず、誰にも止められず、制御が効かなくなってしまう。

そして、悪に走ってしまうのではないかと。

祐一のようにおそらくその時は自分では悪いとは思っていないのでしょう。

これは、佳乃の父が口にしていた


「孤独な人間は失うものが何もないから強くなったような気になってしまう。」


という言葉にも繋がっていくような気がします。

この言葉は、前に紹介した「あんた大切な人おるね?」に続く言葉なのです。

続く。