前回からの続きです。

原作を読んでいたわたしは、なぜ映画のラストを妻夫木くんの笑顔にしたのかについて考えざるを得ませんでした。

前回も書きましたが、映画の読後感が変わってしまうからです。

小説の最後に対するわたし個人の感想は、救いがない、でした。

(それが良いか悪いかは別にして。)

取り返しのつかないことをした人の結末としては仕方ないのでしょうが

最後に祐一が取った行動と、最後の光代の台詞は重くのしかかってきます。

これが小説の読後感です。

このシーン自体は映画にもあるのですが

このシーンの後に前回触れた映画だけのシークエンスが続くのです。





妻夫木くんの笑顔が。




このシーンがあるだけで、随分印象が変わります。

二人の行く末に変わりはないので、このシーンが挿入されても、ハッキリ言って悲しいことに変わりはありません。逆に悲しさが引き立てられるかもしれません。


しかし、


何か顔を上げたくなるような、前を向きたくなるような、そんな

肯定されたような気持ちになるのです。



それが脚本を書いた二人の意図だったのかもしれないと思うようになりました。

この物語は、人をあやめてしまった主人公とその周囲の人々を描いていますが

それぞれが絶望の中で、それぞれの大切な人を想う、というのがテーマだと思うのです。

前々回に書きました、佳乃の父の

「あんた大切な人おるね?」

という言葉に繋がっているのだと思います。



だからこそ、この映画を観た人には、大切な人を想う気持ちを大事にしてほしい、というメッセージを込めて最後のシークエンスを追加したのではないかと思います。

続く。