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※この記事は、洋書配信サービス「エグゼクティブブックサマリー」から記事提供を受け、抜粋を掲載したものです。サービスを運営するストラテジィエレメントのコンサルタント、鬼塚俊宏氏が中心となり、独自の視点で解説します。
●3分で分かる「俳優に学ぶ、営業テクニック」の要点
・営業マンと俳優は、解決策の似通った同じような問題に直面する。そのため、営業マンは演技のテクニックを借りることができる
・演技から得た手法—「説得とエンゲージメントの究極の形」—は、従来の営業手法より効果的である
・売り込むには、第一印象を良くしなければならない。それには3つの演技手法を活用すること。それは、堂々とすること、影響力のある話し方をすること、相手に特別な経験をさせることである
・営業の台本を、自分の個性と見込み客の状況に合わせて調節すること
・見込み客に会う前に、自分の態度を完全にコントロールできるようにすること
・自信を持つには、営業電話をかける直前に、成功した時のことを思い出すこと
・見込み客と信頼関係を作るには、彼らが発する合図に注意し、適切な形で対応すること
・常にアドリブをする準備をしておくこと
・成功するには、強い粘りが必要である
・エキストラに甘んじてはいけない。スターになること
この要約書から学べること
・営業マンと俳優はどのくらい似ているのか
・営業マンも使える俳優のテクニック
・俳優のテクニックを使って営業目標を達成する方法
●本書の推薦コメント
女優であり営業マンでもあるジュリー・ハンセンは、ナショナル・エンクワイヤラー社とスター・マガジンの営業部長を務めた経験があり、ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」や、ニューヨークの舞台、コマーシャルに出演したことがあります。
この優れたマニュアル本の中で、ハンセンは俳優が観客の心を掴み、舞台の上でもカメラの前でも最高の演技をするために取り入れている特別な手法を細かく教えています。そして、その演技テクニックで、売上を伸ばすために営業マンが応用する方法を説明しています。新しい手法を試したいと思っている営業マンや俳優、そして、舞台に上がらなければならないすべての人に、この面白い本書を薦めます。
「俳優に営業を学ぶのは、どういうこと?」そう思う方も多いかもしれません。しかし、営業とは、人と関わる仕事です。何かを売るためには、その商品やサービスが買い手にとってどれくらいメリットがあるものかを伝えなければなりません。その場所たるものが、顧客の前で魅力的で共感を得るプレゼンテーションともいえます。
なぜなら営業は、プレゼンテーションをするための筋道を書かれた台本を覚えなければなりませんし、顧客のいる場所で、そこは舞台そのものでもあるからです。その場の雰囲気を読みながら、シナリオにないアドリブも時には必要になるわけで、最終的には顧客に絶大なる支持をされなければなりません。つまり、「支持される=売上」となる訳です。
こう考えれば、営業マンは常に俳優である必要があります。なぜならば人気俳優の場合、作品の内容を問わず、多くのファンから支持されます。もちろん営業マンにも同様のことが当てはまります。つまり顧客という自らのファンに支持されるという点では、まさに類するものがあるといえるからです。
ともあれ、理屈では分かっていても、具体的にどういう学び方をしたら良いのか? よく分からない方も多いと思います。
本書「俳優に学ぶ 営業テクニック」では、営業という俳優になるために必要な準備、心がけ、そして台本の覚え方から、アドリブまで、どのようにそれらを使いこなしていくのかといった術が全て網羅されています。
もちろん、これをすべて頭で理解しただけではダメであって、多くの実践を積み重ねていかねばならないのですが、その前のマニュアルの1つとして活用することはとても有意義なことだと思います。では、具体的にどんなことが書かれているのかを一つ一つ見て行きましょう。
●俳優は売り込み、営業マンは演じる
営業マンは俳優に似ています。俳優がオーディションの準備をするように、営業電話の準備をしなければなりません。俳優が観客の前でするように、見込み客の前で魅力的で説得力のあるプレゼンテーションを行わなければなりません。
俳優が一緒に演じている俳優からの合図に反応しなければならないように、顧客からの合図に敏感でいなければなりません。演技から生まれた手法——「説得とエンゲージメント1の究極の形」—— は、見込み客に見抜かれてしまうような、台本のあるプレゼンテーションや、神経言語プログラミングの1つであるミラーリングなどの従来の営業テクニックより効果的です。
「顧客に感動を与える」俳優も、営業もそれがゴールなのです。NLPの様なコミュニケション技法に意外と営業は傾倒しがちなのですが、それよりもより効果の高いのが、「俳優に学べ」ということなのでしょう。
●第一幕:リハーサル
第一印象はわずか7秒で決まります。そのため、俳優は配役の募集が掛けられた時、どうにかして強い印象を与えようとします。営業マンも同じ課題に直面します。もし第一印象が良くなければ、見込み客に追いだされてしまうからです。
最初の売り込みで見込み客の心をつかむには、次の3つの演技テクニックを試して下さい。それは、堂々とすること、影響力のある話し方をすること、そして、商品を購入することのメリットを想像させるなど、顧客にとって特別な経験を生み出すことで、顧客を引き込むことです。
俳優が配役募集に向けて準備するように、見込み客とのミーティングの準備を整えて下さい。親しみやすく穏やかな性格であるという印象を与えて下さい。また、同じ顧客に営業電話をかけるライバルの営業マンよりも目立って下さい。そして、見込み客の細かなところにまで気を配って下さい。自信を持ち、集中することが重要です。
優秀な俳優は、自分の役を自分の性格に合わせます。自分は営業マンの役を演じていると思って下さい。自分の性格を、クローザーや、営業電話担当者、交渉担当者などの型にはまった役割に押し込めてはいけません。自分に合った営業スタイルを見つけて下さい。代償行為などのネガティブな行動は避けて下さい。
例えば、多くの営業マンが営業電話をかけることを苦手としています。そのため、すでに知っている、拒絶をしない人にだけ連絡を取ります。しかし、そのような人から新しいビジネスが生まれることはありません。優秀な営業マンの性格特性を分析して下さい。優秀な営業マンは、例えば、積極的、前向き、快活、粘り強い、自信がある、活動的、集中力があるなどの性格特性を持っています。人生の中でこのような性格特性を発揮した瞬間を思い出して下さい。そして、営業電話をする際は、その性格特性を行動に取り入れて下さい。
ほとんどの俳優がオーディションを渡り歩きます。そして、同じ役を狙っている他の俳優に勝ちたいと思っています。オーディションのプロセスは、営業マンが見込み客とのアポイントメントを獲得するためにかけなければならないエンドレスの営業電話のそれとまったく同じです。では、このような時間がかかり、ストレスのたまるプロセスの中、俳優はどうやって精神力を保っているのでしょう?
いくつかあるテクニックの中で、彼らは特に「直前テクニック」を使っています。そのテクニックとは、大量に発注したいという顧客から電話がかかって来るなど、ポジティブな経験を思い出すことです。
このような記憶とその時に覚えた感情をできるだけリアルに思い出して下さい。そして、心に沸き上がった快感に浸って下さい。同じようなことが起きるかもしれないという期待を胸に、営業電話をかけて下さい。よりやる気を持てるようになります。
俳優は、ステージに上がる前やオーディションに挑む前、念入りにウォーミングアップします。それと同じように、営業マンも営業訪問の準備の一環として次のようなウォーミングアップを取り入れて下さい。
営業マンが行う重要な事前準備とは?
・身体のウォーミングアップ
深呼吸をして、身体の力を抜いて下さい。背筋を伸ばして立ち、ぬいぐるみのように力を抜き、ゆっくりと身体を前に倒し、頭を下に向けて下さい。そのままの姿勢で両腕をゆすって下さい。それからゆっくりと身体を起こして下さい。顔をしわくちゃにし、表情筋をほぐして下さい。
・声のウォーミングアップ
正しく呼吸し話すには、「バ、バ、バ、パ、パ、パ」や「カ、カ、カ、ガ、ガ、ガ」などの発声練習をして下さい。
・心と感情のウォーミングアップ
プレゼンテーションをおさらいする際は、前向きな感情になれた時のことを思い出して下さい。
・待合室でのウォーミングアップ
集中力を維持して下さい。適当な雑誌を読んだりしてはいけません。「直前テクニック」を活用して下さい。エネルギーを浪費したり、精神的鋭さを損なわせたりしてはいけません。
準備段階で大切なこと、それは、自分が「営業」という配役をこれからやるんだと思うことです。そして、その役を演じるにあたって自分の性格を考慮し演じやすいストーリーを予め作ることなのではないでしょうか? もちろん、演じるには誰でも少なからず緊張するものです。より自分らしい役を演じる事ができるようにここに書かれている4つのウォーミングアップを行うことが大切です。
●第二幕:開演
演じる役柄の気持ちや感情、考え方や精神状態を伝えなければなりません。そうするためには、その役柄の動機を理解し、投影しなければなりません。同じように、売り込みをしようという気にさせてくれるインスピレーションを考えてみて下さい。
もちろん、コミッションは大きな動機になるでしょう。しかし、おそらくそれ以上のものが必要なはずです。俳優のように、力強く積極的な姿勢を取って下さい。「私は何が欲しいのだろう?」と自問するだけでは十分ではありません。「何のために戦っているのだろう?」と問いかけて下さい。
何かのために戦う時、人はすべてのエネルギーをつぎ込みます。売り込みが成功することで得られる数多くのメリットについて考えて下さい。そのメリットを常に心の中の一番高いところに掲げて下さい。契約が成立した時に得られる特別な機会を楽しみにし、それに向けて自分を燃え上がらせて下さい。
俳優は、セリフと動きが書かれた台本を必要とします。そして、優秀な俳優は簡単そうに演じます。彼らは「台本読み込み」テクニックを使い、言葉に命を吹き込みます。営業マンもまた、営業の台本を使います。
しかし、台本をありがたいものだと思うことはほとんどありません。なぜなら、ほとんどの営業台本はシェークスピアやマメットの作品の台本のようだからです。つまり、残念なことに、時代遅れだったり、つまらなかったりする場合がほとんどなのです。
営業台本をただ丸暗記してはいけません。セリフの内容を理解して下さい。俳優のように台本を評価して下さい。営業台本が伝えようとしていることは何ですか? 俳優は「役のスコアリング(役の分析)」と呼ばれるテクニックを使って台本を深く理解します。そして、それぞれのセリフの裏にある意味を理解しようとします。また、役者の多くが、演じる役柄の行動やセリフを自分達の生活と結び付けます。同じことを営業台本でも行って下さい。
登場人物が黒の靴を買うか茶色の靴を買うか2時間も迷う映画など、誰も見たくはありません。そこにドラマ性など無いからです。営業の見込み客も含むすべての人が、ドラマが好きです。見込み客は、自分達を楽しませてくれる営業プレゼンテーションを期待しています。売り込みの中に5つのドラマ要素を探して下さい。
5つのドラマ要素とは、興味、不確実性、感情、争い、そしてアクションです。また、見込み客がどこで切迫感を覚えるか見極め、それに沿ってプレゼンテーションを調節して下さい。自尊心、プライド、野心、安全性、人間関係など、見込み客の感情に訴えるポイントを押さえて下さい。
俳優は、相手役と関わり合う必要があります。つまり、一緒に演じる他の俳優と親しい関係を築かなければなりません。同じように、営業マンも見込み客と良い関係を作らなければなりません。営業マンの中には、マッチング6やミラーリングなどの神経言語プログラミングテクニックを使う人がいます。しかし、これらのテクニックは本物ではない、模倣されたテクニックです。
そうではなく、ロシア人の演出家、コンスタンチン・スタニスラフスキー7が考えた「魔法のもし」を使って下さい。「魔法のもし」とは、演じる役の考えや感情、精神的プレッシャーなどを自分に重ね合わせることで、その役柄に感情移入するテクニックです。
例えば、「もし、私が、40歳の独身女性で、競争の激しい市場でもうけを出し続けるのに苦労しているファミリー企業に勤めているとしたら?」と自分に問いかけて下さい。このような状況は自分にどのような影響を与えると思いますか?このように見込み客の立場になって考え、それに沿って適切にプレゼンテーションを調節して下さい。
役を演じるにあたって、緊張をほぐすだけではダメです。その役になりきるために自分のテンションをあげねばなりません。 そのために、ここでは、ゴールを明確にすると言及しています。つまり、営業として売上を上げるというゴールを明確に心の中に持つことです。
それを達成するためにも、台本に書かれたことを覚えるだけでなく、理解し感情を吹き込むというテクニックを使えるようにしなければなりません。いわゆる演技です。それについては、次項に書かれていますので、読み進めていきましょう。
●第三幕:演技
演出家が俳優に出す一般的な指示には、「ステージを支配しろ!」や「スポットライトを自分のものにしろ!」などがあります。俳優はステージを支配し、観客に見ているシーンを現実だと思わせなければなりません。これと同じで、営業マンもプレゼンテーションを支配しなければなりません。複数の人に向かってプレゼンする場合は特にそうです。
ボディランゲージを使って要点を強調するなどして、俳優のようにコミュニケーションを取って下さい。その際、適切な身ぶり手ぶりを使って下さい。また、舞台の振り付けをして下さい。振り付けとはつまり、プレゼンテーションの間どこに立ち、どこを見て、どう動くかあらかじめ決めることです。また、聞き手とアイコンタクトを取り、笑顔で話すことが大切です。
一緒に演じている俳優からの合図を無視すると、その場の空気を壊してしまいます。俳優のロバート・レッドフォードが言うように、「演じる上でとても大切なことは、注意を払うこと」です。見込み客に注意を払っていますか? 多くの営業マンが、線路を猛スピードで突っ走る列車のように急ピッチでプレゼンテーションをこなし、見込み客が無意識のうちに発している合図に気付かないということがあります。
例えば、身構えるように腕を組んでいたり、不機嫌そうに眉間にしわを寄せていたりするかもしれません。そういった合図に気を付けて下さい。一人芝居をするのではなく、見込み客と会話をして下さい。自分がどのような印象を持たれているのか観察し、その場の雰囲気に合わせてプレゼンテーションを調整して下さい。積極的に見込み客の話を聞きましょう。
舞台の上で小道具が上手く使えなかったり、突然壊れてしまったりしては、俳優は恥をかき、演技はぶち壊しになってしまいます。そのため、心得ている俳優は、舞台が始まる前に必ず小道具をテストします。
営業マンも同じことをするべきです。パワーポイントのスライドを実際に映し、フリップチャートや製品モデルなどを確認して下さい。トーストマスターズ・インターナショナルによると、視覚資料の無いプレゼンテーションでは、1週間後には聞き手は聞いたことのわずか10%しか覚えていないとされています。しかし、視覚資料を使った場合、その率は67%になります。
多くの俳優が「舞台負け」に悩まされています。舞台負けとは、演技の前に緊張のあまり体が硬くなってしまうことです。しかし、ベテラン俳優はこのよくある問題を様々な方法で乗り越えています。まず、彼らは舞台の準備を完ぺきにしておきます。目の前の舞台に意識を集中させ、「直前テクニック」を使います。そして、舞台に上がる前に身体の緊張をほぐします。営業マンも、舞台裏の緊張感をエネルギーに変えることで、人の心をつかむパフォーマンスをするために必要な力を手にすることができます。そして、それによって素晴らしいプレゼンテーションを行うことができます。
素早い判断が下せない俳優は、素早く考え対応しないと舞台が台無しになってしまうような舞台中の事故に、遅かれ早かれ見舞われます。また、セリフを忘れたり、合図を見逃したり、台本に書かれていないことをする俳優もいます。そのようなことが起こっても、機敏な俳優はすぐさまその場に合ったアドリブで対応し、観客の注意を舞台上の問題から逸らさせます。
営業マンもまた、営業活動の中で、アドリブで対応する必要がある場合があります。例えば、見込み客側のあるグループ向けにプレゼンテーションを準備して行ったのに、実際に待っていたのは考え方の違う全く別のグループだったという場合もあり得ます。
このような状況に備えるには、俳優と同じ手を使って下さい。つまり、状況に対応しアドリブで演じて下さい。シンガーソングライターのポール・サイモンが言うように、「(インプロビゼーション)アドリブは、偶然生まれるのを待っていてはもったいない」のです。
邪魔者や障害、困難が素晴らしいドラマを生み出します。「ルディ/涙のウイニング・ラン」という映画を考えてみて下さい。この映画は、ノートルダム大学のフットボールチームでプレイするために、小柄な選手が巨大な壁を乗り越えて行く姿を描いたものです。営業マンは障害を回避する方法を見つけなければなりません。営業マンがぶつかる障害には、顧客の異論や、新たな購入を不可能にする恐れのある、予算削減など外部の障壁が考えられます。
できる限りの情報を集めることで、そのような障害物に対処して下さい。障害のせいで契約の成立を妨げられてはいけません。また、調査によると営業マンの44%がたった1度電話をかけただけで、その後その見込み客と連絡を取っていないことが分かりました。しかし、ほとんどの営業が、4度目の電話以降で成功しています。粘って下さい。
演技を成功させるためには、その演技が現実のできごとであると思わせねばならないということです。言葉の抑揚ばかりでなく体全体を使って表現をすることが望まれます。 しかも、自分の演技だけに集中してしまうのでなく、その場の雰囲気、つまり顧客がどういう反応をしているかに常に注意すること。そしてそれに合わせていかねばなりません。また演技に使う小道具をフル活用して行きましょう。プレゼンなら、パワーポイントのチャートや図、そして製品サンプル等が挙げられます。
もちろん、予測のできない突発的なことが発生するかもしれません。そういったときのためのアドリブができるようにすることも営業としては必要なことでしょう。
【エグゼクティブブックサマリー】
(ITmedia エグゼクティブ)