ある目的を達成するために、
感情や行動を起こす。
人は感情そのものではなく、
必ず先に隠れた目的がある。
それがアドラー心理学の目的論です。
怒ったり泣いたりするのは、
相手をコントロールしたいという
目的があります。
病気になることさえも、
動かなくていいという状況を
つくり出すための目的がある、
という考え方です。
現実社会で生活していれば、
好きな人がいれば、
嫌いな人もいます。
好き嫌いというのは、感情です。
でも目的論では、
感情は目的の後にくるものでしたね。
ということは、
感情が生まれる前に、
僕たちはその人を好きでいるか
嫌いでいるか決めていることになります。
その人がどんなことをしようとも、
信じたい、好きでいたいと
思うことがあるかと思います。
その人がどれだけ善行を重ねようとも、
「決して認めてなるものか!」
と思ってしまうことも。
嫌われ始めた人がどんなに弁明しても、
評価がくつがえることはありません。
なぜなら、相手は嫌いになると
決めているからです。
結局のところ、
答えは最初から決まっています。
ある人の嫌なところだけが
目につくようになったら、
それは縁を切りたいと感じているのが
正直なところではないでしょうか。
距離を置きたい、縁を切りたいという
目的を正当化するために、
嫌いという感情をつくり出す。
目的論によって人間関係をみると、
こういうメカニズムになっていると思われます。
好きな人が嫌いになった、
嫌いな人が好きになったというケースも、
目的が変われば、
自然に起こりうることです。
「好きな人が嫌いになった」
→自分を好きになってくれないから、
プライドが傷つかないように嫌いになる
「嫌いな人が好きになった」
→自分が共感できる一面を見つけた、
もしくはエゴや執着を手放して、
嫌う必要がなくなった
人や状況によって、
僕たちの目的は様々に変化します。
感情だけにとらわれるのではなく、
なぜそう感じるようになったかに目を向けると、
自分でも気づかなかった目的が見えてきて、
自己理解が深まります。
自分や他人を正確に理解し、
関係を望むように変えたいなら、
目的論で考えてみると役に立ちますよ。