誰にだって、
ふとした拍子に寂しくなったり、
悲しくなったりすることはあります。
どん底だと感じて、
そこには救いが無いように
思えるときもあります。
それでも、
つらいことも乗り越えられるお守りを、
僕たちはすでに持っているんです。
今回は、すごく印象に残った、
感動した小説の一節を
ご紹介したいと思います。
坂木司 「切れない糸」(創元推理文庫)
この人の作品は、
静けさの中に、
なにかホッコリするものを感じます。
ご紹介したいのは、
次の一節です。
愛されていたという記憶さえあれば、
人は一人になっても生きていける。
大切にされた命だとわかっていれば、
暗い道で迷うこともない。
これを初めて見たとき、
僕はすごく共感できました。
人間は必ず、
愛を受けて成長していきます。
たとえ望まれた子どもで
なかったとしても、
誰かしらからの愛を受けなければ、
生きていけません。
今こうして生きているのは、
たくさんの愛を受け取った
証拠なのではないでしょうか。
家族や友人知人、恋人、
通りすがりの親切にしてくれた人。
いろいろな人の愛が、
心に詰まっていると考えたら、
勇気が湧いてくる気がします。
今の状況がどうであれ、
この人生の中で、
愛を受け取ったという事実は、
身体に刻み込まれているのです。
一人でつらいときにも、
愛された記憶を思い起こせば、
立ち向かうための力が出てくる。
自分は自分でいいんだと思えれば、
迷わず進むことができる・・・
ちょっとロマンティック
過ぎるかもしれませんが、
僕はその通りだと感じました。
人にしてもらって嬉しかったこと、
かけてもらって嬉しかった言葉、
愛されていた思い出。
受け取った愛に支えられて、
今自分が存在していること。
寄る辺もなく苦境に立たされたとき、
いつでもそっと
取り出せるお守りとして、
思い出してみてはいかがでしょうか。