愛の花

「子どもたちは…見ていた」



11月10日は
娘夫婦の結婚記念日
でもありました


「お父さんとお母さんの様な
夫婦になりたいから
結婚記念日を同じ日に
することに決めたの」


それは
娘が私に言ってくれた
言葉でした


母親としての私には
これ以上に嬉しく
幸せな言葉はありません



私が夫に伝えると

「俺たちみたいに
なれるかなぁ」

と、とても嬉しそうに
笑いました






娘たちの挙式が
厳かに行われる中
私は涙が溢れてばかりで
所々しか記憶になく


自分自身の時の半分も
冷静ではなかったように
思います



披露宴が始まり
皆様からの温かい祝福の中
予定通りに進んでいます


ところが突然
会場が真っ暗になったかと
思うと


私にスポットライトが
当てられました


眩しくて何も見えない中

花婿さんの声がして
「お母さん、こちらへどうぞ
と私は手を取られ

何も分からないまま
席を立ちながら
隣りにいる夫を見ました


すると今まで隣りにいた
夫がいないのです



私は何が何だか分からず
花婿さんに
手を引かれるままに
歩いて行きました


すると
ステージが明るくなって


私はステージへと
促されました


今度は
披露宴会場の入口に
スポットライトが当てられ
優しい音楽が流れて


そこには
大きな花束を抱えた夫が
立っていました


夫は
真っ直ぐに私の方へと
歩いて来ると


花束を差し出して

「これからも
よろしくお願いします」
と言いました


会場に
大きな拍手が沸き起こり
ました…



娘の結婚披露宴に
こんなサプライズが
用意されていたなんて
私はまた涙で…



披露宴をつつがなく終えて
娘夫婦は
急ぎ区役所へ行き
慌ただしく
ハワイへと飛び立ち
ました



帰宅して
熱い珈琲を淹れると


数え切れない程の薔薇の花を
いくつかの花瓶に
生けながら


改めて夫に御礼を言うと
私に内緒で娘たちと
話し合っていたのだと
言います



私は言いました

「私へのサプライズは
いつもステージの上なのね
もう3回目だわ」と。



すると
「4回目も5回目も
まだまだあると思うよ」と
夫は笑って言いました



お揃いの珈琲カップを
洗いながら


また涙が静かに
頬を伝うのでした

˚✧₊⁎⁺˳✧༚



私たち夫婦を
一番間近で見ていたのは
誰よりも子どもたち…







2021年11月10日

娘の旦那様が
お祝いの食事の後、娘に

「ありがとう。
これからもよろしく
お願いします」と
幼い子どもたちの前で
美しいブーケを渡して
いました♡*


いつも仲睦まじい二人に
私は目を細めながら
拍手をしていました


すると


娘の旦那様は
テーブルの下に
置いてあったらしい
白い袋から
薔薇のブーケを取り出すと



この花束はお母さんにです
お父さんに代わって」と
言いながら渡してくれました


私は「ありがとう」と
言いながら
泣いてしまいました






愛の花


子どもたちは…

心の目で

その花が

かたい蕾をつけて

少しずつ少しずつ

花ひらく姿を

見ていたのかも知れない

と思いました





*・*・*・*・*・*













女はであれ
賢く優しいとなれ

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