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Essen und Singen 中年になってからの声楽お勉強

30で始めた合唱をきっかけに声楽をかじり始め、既に十数年。一向に上達しないのに熱は冷めるどころか、ますますのめり込む。気がつけば結構な時間とエネルギー(とお金)費やし、パートタイムながら音大生になってしまった。せめて記録をつけておこうかと。

オペラ演習クラスの試演会まであと1ヶ月を切り、身の回りが慌ただしくなってきている日々の雑感を書き始め、先週から長々と下書きしているものがあるのだけど全然終わらない。ので今日は先に別の話。

きのう、直腸ポリープ切除の日帰り手術を受けてきた。先週からひどい下血が見られ、なかなかおさまらなくて怖くなり、(大腸の悪性腫瘍とかだと困るので)原因を特定するために近所の病院に行ったところ、直腸にポリープが見つかった。良性だけど場所的に邪魔だし、出血多いし、近くに痔核もできてしまっている。この際ふたつとも切ってしまった方がいいよ、とその場で手術を勧められて、ちょうど日程があいていたこともあって初診からわずか数日で切ることになったというわけ。
日帰りでできる手術はその日安静にしていれば、術後すぐに普通の生活に戻れる、ということだったので、いつまでも悩むよりはと思い切って決断。手術というよりは外科処置という程度、20分で済むものだったけど、強い麻酔が抜けるまでそのあと5時間くらい病院内でお休みして、無事解放された。麻酔が切れかけた一時期以外痛みもなく、昨日からの絶食でお腹が空いていたのでカフェでトーストを食べ、電車で帰宅する頃にはなんで出かけたのかも忘れたくらい。

手術前に当然ながら気になったのは、処置後に声が出しにくくならないか?ということ。発声の時、腹斜筋と一緒にお尻の方までしっかり使って支えを作ることを実践しているのだけど、これは「患部の傷がなくなるまではなるべく下半身に力を入れたり力んだりしないように」ていう術後の注意に反するのか?ていうかそもそも、チカラが入りにくくなったりしないか?
手術説明を受ける時医師に訊いてみたのだけど残念ながら歌に全く興味のない方のようで、「へ?声楽?いやー、歌にお尻は関係ないでしょ」と、わたしの質問がピンと来ないようだったけど、「お腹にチカラを入れたりするのは何ら問題なし」「2週間すれば運動など完全にもと通り」と受け合ってくれたので、であればオペラ演習試演会にも間に合うな、と思いサインしたのだった。
一晩たって、今も痛みは全くない。今週稽古で歌えなかったら手術をしたことを先生方に言わないといけないかなーと思ってたけど、この分だと何事もなかったように参加できそうな気がする。昨日帰宅後少し声を出してみたら特に違和感や痛みはなかったので、今夜しっかり発声練習してみることにする。

直腸ポリープはともかく、痔の罹患者は結構多いらしい。手術が声楽の実践にどう影響するか、せっかくだから観察記録をしてみようと思う。

先週は会議がありソウルに4日ほど行っていた。出張が学校の授業がある日に当たってしまったので登録している授業すべて、後期1回目のお休みを余儀なくされて残念。現役大学生だった頃は講義に出ないことなんてなんとも思わなかったのに、今は一回でも惜しい(笑

 
特に、オペラ演習のクラス。年末に試演会をすることになり、今月から助演の方総出での立ち稽古が始まっている。もう本番まで2ヶ月を切っているというのに、私を含め学生は演出の先生に荒くつけていただいた演技を憶えるだけで精一杯で、自分なりに工夫してやりやすいようにアレンジするなんてまだまだ…なので、自分が出ないシーンであっても、どんな舞台ができていくのか、みんながどんな演技をしているのかはずっと見ていたい。このタイミングでの「一回休み」は本当に惜しい、と思ってしまう。しかも出張中は声を出すこともままならないので自主練もできない。
 
自分の歌うところはまだいい。心配なのは、自分が一切歌わずに、舞台にいないといけない箇所。一幕のケルビーノにはそんなシーンが多い。中でもわたしがいちばん怖いのは、フィガロの一幕最後のアリア「Non piu andrai」。このオペラでいちばん有名、と言っても過言ではないこのアリアは、ほかでもないわたし、ケルビーノに向けて歌われるというか、ケルビーノをからかう歌なので、大抵のオペラのステージでは、フィガロに色々ちょっかいを出されるべく、ケルビーノはアリアを歌うフィガロのすぐ横に立っている。
演出家がフィガロにつけていたアリア前半の荒い動きは、スタンダードに、歌詞に合わせて次から次に、帽子の飾りを外して、帽子をとって髪の毛を引っ張って・・とちょっかいを出してゆくものだった。ケルビーノはそれにひとつひとつリアクションをしていくのだけど、歌に合わせて受けてゆくだけで結構忙しいし、フィガロの動作を最初から予期して息をあわせすぎると、型の付いたダンスをしているように見えてしまう。きちんと反応しているように見せるのは結構難しい。しかもこの歌、繰り返しが多くて結構長い。これを歌いながら正しく動いて、小物を操って…と、フィガロ役の子もおそらく必死になるだろうから、せめて邪魔はしたくないし、できればフィガロがやりやすいようにサポートしてあげたい。なんてことを思うと勝手にすごいプレッシャーを感じてしまう。
 
そんなわけで、最近は練習の他に、というか練習できない時に、Youtubeで色々な『フィガロの結婚』公演の動画や1幕のアリアの演奏を探して片っ端から見ている。学校の小さなプロジェクトで、しかも抜粋公演とはいえ、自分が役をあてがわれた上でそのオペラを見ると、見え方、感じ方が全然違ってくるから不思議。最近流行りのシンプルモダンなステージングや読み替え演出ではなく、王道のスタンダードな演出のものを探してみているけど、どれもそれぞれに、演出の意図や、歌いながら動く歌手の工夫だったり、難しそうに見えるところなどが目に付いてきて、興味深い。
 
チェックしたいアリアのシーンをピンポイントで探していたら、そのアリアを題材にしたオペラ歌手による公開レッスンの動画もいろいろ出てきた。『フィガロの結婚』のなかのアリア、特にケルビーノのものは声楽を学ぶ女子は必ず一度は歌うだろうし、公開レッスンの題材になりやすいのかもしれない。レベルは全く違うけど(大抵こういうマスタークラスの受講者は既にかなり歌えてるし。。)学ぶところ、参考になる情報満載なのでとても面白い(そもそも私は人のレッスンを見るのがとても好きだし、見せ合っていろいろと勉強しあいたいと常々思っている)。
特に気に入っているのはジョイス・ディドナートさん。彼女はカーネギーやイギリスのロイヤルオペラで定期的にマスターコースを持っているようで、感覚的なところから正しい、あるいは望ましい歌い方に近づけてゆくための、非常にわかりやすくて楽しいコーチングをされていて素晴らしい。公開されているマスタークラス動画のなかに、Non so piuを歌う学生に指導しているものがあるのだけど、この中で、ズボン役を歌うときの立ち方、男の子に見えるようなちょっとした姿勢や歩き方の工夫、についてのディドナートさんのアドバイスは非常にわかりやすく素敵だったので、自分の立ち稽古の前後にはこの動画を繰り返し見ている。
歌に関しても、言葉を歌っている途中に息の流れやスピードを止めない(=エネルギーを持続させる)ことがいかに大切か、その練習の仕方(書かれている音符の音価を4分割して全ての音符を歌うように母音をつないでゆく、とか)の説明や、一曲の作品を仕上げるときの理想的な時間の掛け方、使い方についてのアドバイス(”私が1曲の仕上げに時間を使える学生だったら”)など、いろいろと納得できて取り入れたいことが盛りだくさん。私にとってはとにかくありがたい公開レッスン動画となっている。こんな貴重なものをタダで、誰でもどこでも見られるなんてYoutubeって素晴らしいし、いい時代になったものだなーと思う。
 
その気になればどこでも勉強できる、という勉強の質がテクノロジーの支援でどんどん高まっている時代。せいぜい有効活用して、時間もこちらのキャパシティも限られている中で自分に課された歌と演技に向き合いたいと思っている。

発声もそうだけど、ラジオ体操みたいに毎日できる、歌に役立つトレーニングメニューを作って実践したい、と常々思っていた。内容はその都度の課題とか取り組みに応じて変わっていってもいいんだけど、とりあえず基本これはやっときましょう、というような。

 
今年の夏は学校のソプラノ先輩に教わった母音発音の時の口の形、とか、レッスンでやってきた高音(といっても私の場合はGとかAとかだけど)を出す時の喉(気道)の固定方法とか、口〜喉あたりの使い方、そして身体の使い方を見直す機会が多かった。その結果、声のボリュームが増したり、高い音が出やすくなったりという効果を感じられつつあるので、その見直した結果現時点で「こうあるべき」と思われるフォームを常に使えるようなトレーニングにしたい。というわけで、まずはこんな感じでセットを作ってみた。
 
⓪腹斜筋と背筋を意識しながら姿勢を整える
①口を開ける 開けたまま、縦、後ろ、横、奥、上、下、など各方向を意識してひっぱり、さらに開ける
②母音発声の練習 a-e-i-o-u, a-e-a-e, e-a-e-a-, e-i-e-i, i-a-i-a, a-o-a-o, o-u-o-u
③子音→母音の練習 k, f, j, m, n, t, p など
④顎を下げる 10回
⑤声を出せる環境にあるなら、この後スケールで発声練習 (a, o) 
⑥さらに時間があったらピアノ(例のハノン)
 
あくまでも私の経験と目的をベースに師匠方や先輩のアドバイスを参考にして作ったメニューなので、当然万人向けではない(特にうちは女性でも口を開けまくって歌え、という流派で、そんな大口不要、顎下げるな、という指導をなさる方とは正反対)。自分の記録として載せておく。
こういう、基本中の基本のことを本気で守って正しく実践してないのでなんど練習してもうまくいかないこと、安定しないことというのがたっくさんある、ということを最近ひしひしと感じており、最低限それらを正しく全力で実践しておいた上でないと、いくら教本を何冊もやっていろんな曲を歌っても、テクニック云々身につくはずもない。。と痛感するので、常にそれらを守って正しく歌えるフォーム、体勢が取れるように、なるべく習慣化すべきことを毎日ちょっとずつでも実践するのが目的。④までなら10分もかからないので、朝晩家でもできる。学校に行かない日とか、声を出せない日にも、これを最低1セットでもすることで注意しようという意識を持続させられればいいと思う。
 
まあ、④までやるとどうしても歌いたくなっちゃうのだけど。。