日本企業が韓国に進出する方法として、必ずしも株式会社を設立しなければならないわけではありません。
しかし、韓国で本格的にビジネスを行うためには、結局法人を設立しなければなりません。
会社とは?
「会社」とは、商行為その他の営利を目的に設立した法人です(「商法」第169条)。
「商法」では会社を①合名会社、②合資会社、③有限責任会社、④株式会社、⑤有限会社の5つに分類しています(「商法」第170条)。
合名会社とは?
「合名会社」は2人以上の無限責任社員で構成されます。 無限責任社員は会社に対して出資義務を持ち、会社債権者に対して直接·連帯して無限の責任を負います(「商法」第212条参照)。
「無限責任社員」は合名会社の業務を執行します。 無限責任社員は業務執行を担当する社員を決めます。業務執行社員を決めていない場合には、各社員が会社を代表し、複数の業務執行社員を決めた場合には、各業務執行社員が会社を代表します(「商法」第200条及び第207条参照)。
合資会社とは?
「合資会社」は1人以上の無限責任社員と1人以上の有限責任社員で構成されます。
「無限責任社員」は、会社債権者に対して直接·連帯して無限の責任を負う反面、「有限責任社員」は、会社に対して一定出資義務を負担するだけで、その出資価額から既に履行した部分を控除した価額を限度として、責任を負います(「商法」第268条及び第279条参照)。
「無限責任社員」は定款に他の規定がない場合には各自が会社の業務を執行する権利と義務があり、有限責任社員は代表権限や業務執行権限はありませんが、会社の業務と財産状態を監視する権限を持ちます(「商法」第273条、第277条及び第278条参照)。
有限責任会社とは?
「有限責任会社」は共同企業や会社の形態をとりながらも、内部的には私的自治が幅広く認められる組合の性格を持ち、外部的には社員の有限責任が確保される企業形態に対する需要を満たすため「商法」に導入された会社形態です。
私募投資ファンドのようなファンドやベンチャー企業など新しい企業に適した会社形態です[「商法」(法律第10600号、2011年4月14日改正、2012年4月15日施行)制·改正理由書参照]。
「有限責任会社」は、1 人以上の有限責任社員で構成されます。 有限責任社員は会社債権者に対して出資金額を限度に間接·有限の責任を負います(「商法」第287条の7参照)。
有限責任会社は、業務執行者が有限責任会社を代表します。 したがって、定款に社員、または社員でない者を業務執行者として定めなければならず、定款または総社員の同意を得て、2人以上の業務執行者が共同で会社の代表を定めることもできます(「商法」第287条の12第1項および第287条の19参照)。
株式会社とは?
「株式会社」は1人以上の社員(株主)で構成されます。 株式会社の株主は会社債権者に何の直接的な責任も負わず、自分が持っている株式の引受価額限度内で間接·有限の責任を負います(「商法」第331条参照)。
「株式会社」には株主という多数の利害当事者が存在するため、意思決定機関として「株主総会」を設けて、定期的に招集しなければならず、業務執行機関として「取締役会」及び「代表取締役」を置いて会社の業務を執行します。 また、取締役の職務執行を監査し、会社の業務と財産状態を調査するために、監査機関の「監査」を置きます(「商法」第361条、第365条、第382条、第389条及び第409条参照)。
※ 株式会社は株式を単位に資本が構成されるので資本集中が容易で、株主が有限責任を負担するため、事業失敗に対するリスクが少ないます。 現在、韓国の会社形態のうち、株式会社が占める割合は約95%に達しています[国税統計>細目別検索(2020)>8-1-2.法人税申告現況II、国税庁国税統計]。
有限会社とは?
「有限会社」は 1 人以上の社員で構成されます。 有限会社の社員は株式会社と同様に会社債権者に直接的な責任を負担することなく、自らが出資した金額を限度で間接·有限の責任を負います(「商法」第553条参照)。
有限会社の組織形態は株式会社と類似していますが、株式会社とは異なり取締役会がなく、「社員総会」で業務執行および取締役を選任します。 選任された取締役は、定款または社員総会の決議により特別な定めのない場合、それぞれが会社の業務を執行し、会社を代表する権限を持ちます(「商法」第561条、第562条および第547条参照)。
※ 有限会社の組織形態は株式会社と類似していますが、株式会社とは異なり閉鎖的で非公開的な形態の組織。 また、株式会社より設立手続きが比較的簡単で、社員総会招集手続きも簡素だという特徴があります。
結局のところ、特別な事情がない限り、韓国へ進出する海外企業は「株式会社」を選びます。地元の企業も選択しないほかの企業形態は、わざわざ選択する必要はすくないとおもうんでしょう、、 (笑)
弁護士シン
mgshin@jipyong.com