415 酒あってのわが人生
ドイツ文学者の中野孝次さんの文章に「酒あってのわが人生」というエッセイがある。
私はこの中野さんの気分がよくわかる。中野さんの気分とは、一人酒である。
・・・外で飲むとつい深酒してしまう・・・「だから私にはさびしいようだけれども、犬たちを傍らにはべらせてのひとり酒がなによりも向いている。」
そして結局は、陶淵明になってしまうのである。
余、閑居して歓び寡(すくな)く、兼ねてこのごろ、夜すでに長し。
たまたま名酒あり、夕べとして飲まざるなし。
影を顧みて独り尽くし、忽えんとしてまた酔う。すでに酔うてのあとは、すなわち数句を題して自ら楽しむ。