My Dear 83話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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Takuyaさんは私を追っかけてきた賢治に気づくと、

「なんだよ、奈々子ちゃんと喧嘩でもした?」

「お前には関係ないだろ。いいからさりげなく奈々子の肩に置いてる手をなんとかしろよ。」

気がつけばTakuyaさんは私の肩に手を置いていてさりげなく私を引き寄せていた。

「賢治、今からお前のマンションに行ってから話そうと思ったけど、奈々子ちゃんもここにいる事だし、

はっきりこの場で言うよ。」

その言葉に賢治は警戒したのか、一歩前に進んで、

「なんだよ。」

ふてくされた様にTakuyaさんの次の言葉を待った。

「こんな風に奈々子ちゃんを泣かせると、俺が奈々子ちゃんをもらっちゃうよ。」

「え?」

私は思わずTakuyaさんの顔を涙でぐしゃぐしゃになってる顔のまま見てしまった。

「ふざけんなっ!お前みたいに女にだらしないヤツに奈々子なんか渡すかよ。

それに俺達は結婚の話も出てんだよ。」

…。その結婚の話で喧嘩になったんじゃないの。

Takuyaさんは肩をすくめると、

「今回ばかりは奈々子ちゃんに本気で惚れちゃったんだよね。」

賢治はずかずかと私達の所へ来ると私の手首をつかみ、

「さっきの話はまだ済んでないなんだ。俺も考えてみるから部屋に戻ろうぜ。」

「…。でも。」

Takuyaさんは私の肩から手を離そうとしなかった。

「奈々子ちゃんはどっちを選ぶの?僕と賢治。」

そんな事今、簡単に決められる訳じゃない。ここは一回賢治のマンションに戻って

さっきの話し合いの続きをした方がいいのかもしれない。

私が感情的になって部屋を出たから賢治も私の仕事に対して、

少しは理解を示してもらう可能性が出てきたのかも。

私はさりげなくTakuyaさんから離れると、

「ごめんなさい、さっきは少し感情的になったみたい。もう一度賢治と話し合ってみます。」

Takuyaさんは本当に残念そうな顔をしながら、

「奈々子ちゃんがそう言うならしょうがな。でも僕も奈々子ちゃんに本気って事忘れないで欲しいな。」

「…。はい。」

さっきと比べると冷静になってる賢治だったけど、自分の意見ばっかり押し付ける賢治より

Takuyaさんみたいな大人の人が私には合ってるのかもしれない。

賢治は私の手を握ると、

「さっきは悪かったよ。菜々子の事をよく考えないでものを言っちゃって。

だからもう少し話し合おう。」

「うん。」

Takuyaさんが背後で私達の事を見ているのが気になったけど、一度Takuyaさんにお辞儀をしてから

賢治のマンションに戻った。

賢治は私の為にコーヒーを入れてくれて、結婚に対して改めて話始めた。