My Dear 75話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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私は会社に行く支度を整えると賢治の方を振りむいた

賢治はのんびりとコーヒーを飲みながらテレビなんて観てる

「賢治も仕事でしょ?早く行く支度したら?」

「ん~。」

ったく分かってるのか分かってないのかはっきりしないなぁ

「奈々子が出たら俺も出る。同じに出ると芸能記者が待ち構えてるかもしれないだろ」

…。賢治が言う事にも一理あるな

「そう、じゃぁ私先に出てるから」

「いってらっしゃ~い。帰り気をつけろよ」

昨日、芸能記者につけられた事を言ってるんだろうな でもあれは気を付けても

どうしようもないと思うんだけど

「とにかく、私ん家から出てきた所をキャッチだけはされないでね」

「分かってるって。遅刻するぞ。」

壁の時計を見ると会社までギリギリセーフの時間だった

「あっ、もう行かなきゃ。」

私はバタバタと部屋を出て走って駅まで行こうとしたら昨日の夜からいた

芸能記者に私が捕まってしまった

「失礼します。芸能ジャーナルの橘と申します

昨夜、嵐山 賢治さんが橋本さんの部屋にお泊りになりましたよね」

朝まで粘っているなんて思いもしなかったから私は黙ってしまった

色々と頭をフル回転させて思いついた言葉は平凡だけど、

「これから仕事ですので、急いでるんです。失礼します」

それでもついてきながら駅の改札にまで来た時はムッとしたけど

通勤ラッシュアワーに彼は私を見失ったらしい

昨日からいた芸能記者が私についてきたって事は

賢治を待ってる芸能記者はいないだろうな。でもそれは私の考えが甘かった

賢治も私が出社してから10分後に私ん家を出たけどやっぱり芸能記者につかまってた

らしい。これは今日の夜に電話をもらった時に聞いた話だけど

でも賢治の発言は私と違って交際してます宣言みたいで次の週の週刊誌に

ばっちりスクープとして載ってしまった

「昨日は彼女さんの自宅にお泊りだったんですか?」

「はい、泊まりましたよ。俺だって24の男ですからね

彼女が出来たら少しでも一緒にいたいって思うのは一般人の方々と同じだと思いますけど」

私はこの雑誌を見て沈没してしまった。また神木さんに嫌味言われるんだろうな