My Dear  10話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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賢治は1週間で退院した

賢治を刺した女優さんは当然ながら逮捕されそっちの方に週刊誌の話題は集中した

退院したとはいえ、傷口はまだ完全にはふさがっておらず芸能界ってつくづく大変なんだなぁって思った

「奈々子、今度歌番組の収録があるんだ。見学に来いよ。」

「そんなの見に行っちゃったら私とあなたが付き合ってるのがバレちゃうじゃないの。」

入院していた1週間分の仕事で忙しらしく私のマンションには来なくて私達は電話で話をしていた

「うちの事務所の人間だと紹介したらそんなに怪しまれないよ。」

どこまでも能天気なんだろう

でも歌番組の収録なんて滅多に見れないからちょっとは興味がある

「それっていつあるの?」

「今度の日曜。これだったら奈々子の仕事に支障はないだろ。」

私は左手の薬指の第一関節を少し噛みながら少し考えた

正直言って行ってみたい。でも大丈夫かなぁ。

「来るだろ。」

賢治の一言が背を押したのか行く事に決めた

「でもどうやってテレビ局に入るの?」

「俺のマネージャーに迎えに行かせるよ。それだったら顔パスだから。」


そして歌番組の収録見学の日。私は少し緊張して賢治のマネージャーさんを待った

10時ピッタリにインターフォンが鳴ってマネージャーさんは来た

でも明らかに不機嫌そう

「嵐山 賢治のマネージャーの谷口です。賢治さんからテレビ局に連れて行って欲しいと言われ

迎えに来ました。…。しかし、今ブレイク中に彼女を作ったなんて呆れてものが言えません。」

なぜか私の方が悪い事をしたみたいで思わず、

「すみません。」

と謝ってしまった。賢治の方から交際を申し込んだのに