転入テストを受けて1週間半頃山田先生に職員室に呼ばれた。
(テストの結果が出たのかな?)
そう思いながら職員室に向かい、山田先生を探す。
山田先生の方から私を見つけてくれて嬉しそうに手招きした。
「こないだのテスト、合格したよ。」
「ホントですか?よかった~。」
「先生としては大原が授業に出なくなるのは寂しいけどな。」
私はこそっと他の先生に聞かれない様に小声で、
「でも、転校しても時々先生のお宅に伺って日本史の勉強はさせて下さいね。」
先生はOKサインを出して笑った。
「それであっちの高校に行けるのはいつからですか?」
「来週の月曜日からだよ。それまでに制服とか教科書をそろえておきなさい。」
「はい。」
合格したのも嬉しかったけど、守がいる学校に一緒に行けるのも嬉しかった。
教室の戻ると井上君に声をかけられた。
「転校、決まったのか?」
「うん。来週の月曜日から向こうの学校に行く事になった。」
「あ~あ、つまんねぇの。大原がいない学校なんて。」
「井上君は望んでここの学校に来たんでしょ。私よりここで勉強したら?」
「そうだけどさ。」
そう言うとふてくされた様に自分の席に戻って行った。
私としてはこれ以上井上君と関わらなくて済む様になったから嬉しいんだけど。
あっ、そうだ。守に合格したの教えなきゃ。
昼休みにいつもの所でお弁当を食べて、守に電話をした。
「聞いて!聞いて!試験、合格したよ。」
「やったじゃないか。これで俺達の同級生だな。」
「うん。この事真吾達にも言っといてくれる?」
「分かった。」
「じゃぁ、あんまり長電話してると先生に見つかっちゃうから電話切るね。」
「あぁ、とにかく合格おめでとう。」
私は電話を切るとポケットにしまって一人で笑ってしまった。
そんな私の所に三浦さんがやってきた。
「その表情だと転入テスト、合格したみたいね。」
「うん。来週の月曜からあっちの学校に行く事になったの。」
「あ~あ。ただでさえ女子が少ないんだから、私も転校しようかなぁ。」
「でも学校の外でも会えるじゃない。ほらこないだ言ってた紅茶フェアとか。」
「そうだったね。それっていつ?」
「まだ案内状が届いてないからわからないけど、近いうちにあると思うよ。」
私が女友達とこんなに話せるとは思ってなかった。
きっと三浦さんの性格と私の性格が似てるからかもしれない。
うちに帰ってお母さんに合格したのを教えようとしたら、
「山田先生からご連絡頂いてるわよ。よかったじゃない。」
「うん。」
「後は制服探しと教科書の注文ね。明日、制服を見に行きましょう。」
守達が通ってる学校ってどんなのなんだろう。
そんなに生活指導も厳しくないって聞いてたから、少しは気楽な気分で登校出来るかもしれない。
そして何よりも守がいる学校だもん。学校でも会えて、学校帰りの正也ん家にでも会えるのは
私にとってとても嬉しい事だった。