お父さんとお母さんが離婚…。
それってやっぱりお父さんが浮気してるからだと思った。
何が何でも離婚なんてさせない。
沈んだ気持ちで正也の部屋に戻ると、
「どうしたんだよ。そんな暗い顔して。妙子さんに説教でもされたか?」
「…。そんなんじゃないけど。1学期が終わる前に転校の話が出たからその話。」
私はちょっと嘘をついた。
だってうちの両親が離婚するかもしれないなんて言えないじゃない。
真吾のうちも離婚してる。確か小学3年生の時だったと思う。
その時真吾はどう思ったんだろう。
「琴音、数学の問題作っておいたから。」
「ありがとう。」
「前より上達したよな。」
「そう?」
「あと1問終わったら今日は俺が送るよ。家で他の教科も勉強しないといけないだろ。」
最近、守がうちまで送ってくれてる事が多い。
それはもしかして私と二人っきりで話したかったのかもしれない。
真吾なんて全然送ってくれないし。
妙子さんが部屋に来て、
「琴音、今日は帰りなさい。試験の勉強もあるでしょ。」
試験の話をしてたけど、本当はお父さん達の事を話す為に帰れって言ってるんだと思った。
「今日は誰が琴音を送るの?」
「俺です。」
「ふ~ん。守がねぇ。」
そんな意味深な事を言わないで欲しい。真吾達にバレちゃうじゃん。
守と一緒の帰り道、守の方から手を繋いできた。
ちょっとびっくりしたけど、なんだか嬉しかった。
「今日からは俺が琴音の事送るよ。そしたら少しだけど二人の時間が取れるだろ?」
「でも毎日、守が送ってくれたらそのうち真吾も守も気づくと思うかもしれないよ。」
「いつまでも隠し通せる事じゃないから、いいんじゃないか?」
「真吾にからかわれそう。」
私は真吾が私と守が付き合ってるのを知ったら絶対、面白がるに決まってるって思った。
そんな事を考えてたらうちに着いてしまった。
「じゃな。」
守は私の頭をぐしゃぐしゃにして帰って行った。
そう言えば前に守は私が髪が長い方がいいって言ってたな。
…。髪、伸ばそうかな。
うちに入るとお父さんはまだ帰ってなかった。
離婚するかもしれないって事を話したかったんだけどな。
「お母さん、私勉強してるからご飯出来たら呼んで。」
「転校に向けて頑張るのよ。すぐ夕飯作るから。」
「うん、わかった。」
私の部屋に入り、普段着に着替えてからさっき守からもらった数学の宿題に取り組んだ。
答えは書いてあったし、解答するまでの説明も書いてあった。
これで少しは数学の勉強がはかどるかもしれない。
守には感謝だな。
私は守と同じ学校に行きたい。そしたら学校でも会えるし。
その為には勉強、勉強。