幼馴染み 77話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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今日の食事会は夜の11時頃にお開きになった。


私は途中からお腹もいっぱいになってたから日本史のノートを読んでいたけど


達也は相変わらずゲームをしていた。


「じゃぁ、今日は未成年もいる事だしお開きにしましょうか。」


…。助かった。いつまでも酔っ払いの相手をするのも限界がきてたから。


妙子さんが予約していた代行の車はすでに店の前に来ており


オーナーが住所を言うと出発した。


でも大人チームがお酒を飲んでいたので車の中はかなりお酒臭さっかった。


まず、私とお母さんを家まで送ってくれて妙子さんが、


「転入試験、頑張るのよ。」


って言ってくれた。


「うん。」


大人チームがあんなに飲むんだったら、家で勉強をしてれば良かったかもしれない。


でも、お父さんと二人っきりになるのも嫌だし。


家に入るとお父さんは一人でビールを飲んでいた。


「遅かったな。」


その言葉はなんとなく棘がある感じがした。


「ごめんなさい。妙子さんと話が盛り上がっちゃって。」


「だいたい、未成年の琴音まで飲む場所に連れて行くのは間違ってるんじゃないか?」


「私が行きたいって言ったの。」


「…。飲んでないだろうな。」


「オレンジジュースだけだよ。お父さんだって飲んで帰ってくる事あるじゃない。


お母さんだってたまに妙子さんと話してもいいと思うんだけど。」


「子供が分かった様な口をきくな。」


こういうのを自分を棚に上げてるっていうんだよね。


私は自分の部屋に行くとパジャマに着替えて、こないだ増えた睡眠薬を飲んでベットに潜りこんだ。


本当だったら、転入試験の勉強をしなきゃいけないんだけど


お父さんとの会話でする気がなくなっちゃった。


今度増やしてもらった薬は少し効き目がよくってすぐに私は寝る事が出来た。



翌朝、リビングに行くとお母さんが朝食の準備をしてくれてた。


でも良く見るとお母さんの右の頬が腫れてるみたい。


「お母さん、お父さんに殴られたの?」


「琴音は心配しなくていいのよ。」


否定の言葉がないって事はそうなんだ…。


私はソファで新聞を読んでるお父さんの正面に立つと、


「自分が気にいらない事があるからって暴力はよくないと思うんだけど。」


「何の話だ。」


「お母さんの頬が腫れてるもん。ぶったんでしょ?そんなの子供の私でもわかるよ。


女の人の暴力振るうなんてサイテーだよ。」


お父さんは新聞をテーブルに叩きつけると、


「子供のお前が口出す事じゃない!」


って言って私に詰め寄った。


お母さんが慌てて、


「あなた、辞めて下さい。」


って私とお父さんの間に入った。


いっその事、あのピアスの事とか女の人と会ってるのを見た事を言ってやろうかと思ったけど


朝からそんな事でもめたくなかったから辞めておいた。


私は朝食も食べないで駆け足で家を飛び出して学校に行った。


ホント、お父さんってサイテー。