「それで?このまま友達ん家に直行?」
「うん。」
「それって女友達?男友達?」
「三人共男友達。二人は小学生の時からの付き合いなの。」
「ふ~ん。私も行っちゃダメ?」
この判断は正也にしてもらわいないといけない。
「ちょっと待ってね。今から行く友達に確認してみる。」
私はスマホを出すと正也に電話した。
「あっ、正也?今ねいつも行ってる紅茶の店にいるんだけど。私には珍しく女友達も一緒なの。」
「本当に珍しいな。」
「その子が正也ん家に行ってみたいって言ってるんだけど…。ダメ?」
「待ってろ。真吾達の意見も聞いてみるから。」
電話の先では正也や真吾が話してるのが聞こえるけど、何を話してるか分からなかった。
「オッケーだって。でも今日、お前守に数学教えてもらうんだろ?
琴音が相手しなかったら居心地が悪いだろ。」
「大丈夫。結構サバサバした子だから。」
「じゃぁ連れてこいよ。琴音の初の女友達にも興味があるからな。」
「ありがとう。」
スマホを切ると、
「いいって。ここから2駅隣だからすぐだよ。」
「良かった。うちの男子ってバカばっかりだから他校の生徒も見てみたかったんだよね。」
そこへ貴美子さんが私が頼んだ紅茶を持っていてくれた。
今思えば、もうちょっと安いのにしとけばよかった。
「琴音ちゃん。来月から紅茶フェアするからおいで。」
私は1枚の紙を渡されそれを受け取った。
へぇ。紅茶の上手な入れ方とかもするんだ。来てみよう。
私と三浦さんが正也ん家に着いた時には妙子さんはいなかった。
玄関で、
「正也~。来たよ。」
と声をかける。妙子さんがいたら勝手に上がっちゃうんだけど、いないと少しは遠慮する。
上から、
「俺の部屋にいるから上がって来いよ。」
正也が顔も出さずに返事をした。
女子二人で、
「お邪魔しま~す。」って挨拶をしてから正也の部屋に入った。
相変わらず煙草を吸っていてショッピングモールから来た私には少し煙たかった。
でも三浦さんは平然としていた。…。そうだよね。学校で煙草を吸おうとしてた位なんだもん。
「初めまして。大原と同級生の三浦 桜です。」
「なんだか時代劇に出てきそうな名前だな。」
最初に三浦さんの印象を言ったのは真吾だった。当然手には煙草がある。
「琴音、数学教えてやる約束だろ。教科書は持ってきたか?」
「あっうん。」
「へぇ、大原さんって男友達には『琴音』って呼ばれてるんだ。」
「この三人は特別。付き合いが長いからね。」
私は数学の教科書を出しながら答えた。
「ホント、珍しいな。琴音が女友達連れて来るなんて。ねぇ琴音って学校じゃどんな感じ?」
三浦さんの相手は真吾がするらしい。正也は相変わらず中国史の本を読んでいて
彼女に見向きもしない。